[市況]
2日のNYDowは小幅下落し、NASDAQは小幅上昇しました。5日の日経平均先物は、前日比50円高で寄り付き、午前中は50円高から10円高の範囲で上げ幅を縮める動きでした。午後は同レベルでもみ合う動きとなり、最終的に20円高で取引を終わりました。日経平均は52円高で引け、出来高は14.31億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、110万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
2日の米国市場は、11月の雇用統計で就業者数は前月比12万人増で、市場予測の11万人増をわずかに上回り、失業率が8.6%に改善しました。雇用環境が改善しているとの見方から買いが広がりましたが、短期的な過熱感も強く、取引終了間際に利益確定売りが出ました。
5日の日本市場では、雇用統計の発表後の米国市場が比較的落ち着いていたことを受けて、銀行株や証券株など、これまで下げのきつかった銘柄が買われ、日経平均は一時8700円台に乗せる場面もありました。ただ、材料難から上値の重さも目立ちました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号点灯しています。総合乖離率は-5.4%でマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-7.2%でマイナス幅は縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。
NYDowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは200日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が5.5ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は0.6ポイント縮まりしました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差(3.5ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 3.48ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と金・穀物・原油価格の動き」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況と追加金融緩和の行方」、「欧州の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の7-9月期のGDPは年率で2.0%増と速報値の2.5%から下方修正されました。7-9月期の主要企業の決算発表は好決算が勝ったようです。経済指標では、11月のISM製造業景況感指数、11月のシカゴ購買部協会景気指数、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月の景気先行指標総合指数、10月の耐久財受注、10月の鉱工業生産、10月の小売売上高、11月のNY連銀製造業景気指数、11月のミシガン大学消費者態度指数、9月の個人消費支出、などは市場予想を上回りましたが、10月のシカゴ連銀全米活動指数、11月のフィラデルフィア連銀指数、10月のISM非製造業景況感指数は予想以下となりました。11月の雇用統計で就業者数は前月比12万人増で、市場予測の11万人増をわずかに上回り、失業率が前月の9.0%から8.6%に改善しました。一方、住宅関連では10月の中古住宅販売件数、10月の住宅着工件数、11月の住宅市場指数は予想以上となりました。10月の新築住宅販売件数も予想以下ながら2ヶ月連続増加となりました。9月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で0.6%低下しました。市場予想の変わらずより弱い結果でした。7月に入り景気指標は改善傾向だったものの、8-9月は陰りが出ていました。10月に入り過度の景気後退懸念は無くなりつつあります。ただ、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和継続の主な原因となっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字による国債の金利上昇が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。これは長期的な円高要因です。一方、中国を初めとする新興国の利上げは一服し、景気減速で逆に利下げ方向です。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は11月30日 0.5289% → 12月01日 0.5272% → 12月02日 0.5283%となり久々に下がりった後上昇しています。この下げ傾向が続くか否か要注目です。ただ、2010年の欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を超えましたので、金融システム危機が再燃してもおかしくない状態が続いています。ここ2年のMAXは昨年6月17日の0.539%です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが14.6、PBRが0.96、ROEが6.6%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowに動きに連動して小動きでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は;-0.6%となり、日経平均は50円の割安で、割安幅は変わりませんでした。プレミアム値は、ここ一週間、-160円 ~ +40円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べ弱い動きになっていますが、今日は弱い動きが継続しました。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は0.99に縮小したものの、ドル円は円安ぎみです。日米金利差は米国金利の上昇で拡大傾向となりましたので、この面での円高圧力は緩みそうです。
テクニカルには、米国市場は、中期もみ合いで、短期は上昇トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期は上昇トレンドです。
ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となり金融危機が再来するか否か、世界の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが引き続き、今後のテーマとなりそうです。LIBOR銀行間金利の上昇が一旦止まりましたが、下降に転ずるか要注目です。いずれにせよ、今後もLIBOR金利の動きが注目されます。また、米国の経済指標は良いものも見られますが、雇用の回復は鈍く、世界景気の減速懸念も払拭出来ていません。このような相場環境の中、今夜の米国市場では11月のISM非製造業景況指数が注目されそうです。
今日の日経平均は小動きながら75日線を上回りました。目先の上値の目安は、ボリンジャーバンド+1σ(現在8790円近辺)で、下値の目安は、25日線(現在8560円)近辺が想定されます。
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