[市況]
2月6日、NYDowとNASDAQは上昇しました。2月7日の日経平均先物は、前日比110円安で寄り付くと、午前中は330円安から80円安の間で上下し、午後は200円安から290円安の間でもみあって、結局、250円安で取引を終えました。日経平均の終値は279円安の38787円で、出来高は21.65億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
2月6日の米国市場では、長期金利の低下傾向を受けて主力株に買いが先行しましたが、買い一巡後は一転して利益確定の売りが優勢となりました。また、ハネウェル・インターナショナルなど一部銘柄に、決算を手がかりとした売りも膨らみ、相場の重石となりました。もっとも、1月の雇用統計の発表を前に様子見ムードも強く、一方的に売り込まれる展開とはなりませんでした。NYDowは3日ぶりに反落し、NASDAQは3日続伸しました。
2月7日の日本市場では、外国為替市場の円高ドル安進行を受けて輸出関連株に売りが膨らみました。また、値がさの東京エレクトロンが決算を手がかりに売られ、相場を下押ししました。1月の米雇用統計の発表や日米首脳会談など重要イベントを控えて様子見ムードも強まるなか、好決算銘柄には買いが向かい、相場を下支えしました。日経平均は4営業日ぶりに反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-1.2%とマイナスに転換し、200日線との乖離率は+0.4%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下に出ました。3つの要素のうち2つがマイナスとなり、中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-8.3ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が3220円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-7.4ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2870円ほど割安であることを示しています。
日経VIは21.55と前日より上昇し、VIXは15.50と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.0と日本が5.2ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.10ポイント(日経平均換算で65410円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP速報値は前期比年率2.3%増で、予想値の2.5%%増を下回りました。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
1月のISM製造業景況指数、12月の鉱工業生産指数、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、1月の耐久財受注は市場予想と一致しました。一方、1月のISM非製造業景況指数、12月の製造業受注、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の小売売上高、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月の消費者物価指数は市場予想を下回りました。経済指標は4勝8負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です
米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.6万人増で、市場予想の16万人増を上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
12月の新築住宅販売件数、12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数、1月の住宅市場指数、11月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。また、11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.3%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は6勝0負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBはトランプ政権の政策を見極める必要があるとし、1月のFOMCで利下げを一旦停止しました。ECBは、4会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.75%としました。一方、日銀は、1月の金融政策決定会合で0.25ポイントの利上げを決定し、金利水準を0.5%としました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.33、PBRが1.41となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+5.6%で、こちらは3か月前より1.4ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.5%となり、日経平均の割安幅は280円から190円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1490円~-190円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.17ポイントから3.15ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。
2月6日の米国市場では、1月の雇用統計や、2月のミシガン大学消費者信頼感指数などが注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを410円ほど下回り、下値も想定ラインを160円ほど上回りました。目先は、25日線(現在39220円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-300円(現在38400円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、目安の20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は4日ぶりに反落しました。為替やトランプ大統領の発言など、予測困難な要素に左右されており、方向感に乏しい展開がなおも続きそうです。
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