[市況]
2月3日、NYDowとNASDAQは下落しました。2月4日の日経平均先物は、前日比680円高で寄り付くと、午前中は710円高から470円高と上昇幅を縮め、午後は480円安から20円安と一時下落に転じて、結局、170円高で取引を終えました。日経平均の終値は278円高の38798円で、出来高は21.47億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
2月3日の米国市場では、トランプ政権が週末にカナダやメキシコ、中国に対して関税を引き上げる方針を発表したことから、米経済や企業業績に与える影響が警戒され、リスク回避の売りが優勢となりました。ただ、午後に入り、メキシコへの関税発動が1か月延期されることが明らかになると、一時的に買い戻しが優勢となりました。結局、NYDowとNASDAQは続落しました。
2月4日の日本市場では、米政権が3日、カナダとメキシコへの追加関税発動を1か月先送りすると発表したことが安心感につながり、買い戻す動きが先行しました。ただ、午後に入り、中国への10%の追加関税については予定どおりに発動され、加えて、中国も米製品に対して報復関税を課すとの情報が伝わると、景気悪化への警戒感が再燃し、中国関連銘柄を中心に売り圧力が強まりました。日経平均は反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-1.4%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は+0.4%とプラスに転換しました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうちマイナスは2つとなり、中期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の中に入りました。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドも青信号から黄信号に変わりました。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-6.5ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2520円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-6.8ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2640円ほど割安であることを示しています。
日経VIは23.51と前日より低下し、VIXは18.62と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.1、米国+0.1と日本が5.2ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.09ポイント(日経平均換算で69990円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP速報値は前期比年率2.3%増で、予想値の2.5%%増を下回りました。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
1月のISM製造業景況指数、12月の鉱工業生産指数、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、12月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、12月の耐久財受注、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の小売売上高、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月の消費者物価指数、11月の製造業受注、12月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は4勝8負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です
米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.6万人増で、市場予想の16万人増を上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
12月の新築住宅販売件数、12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数、1月の住宅市場指数、11月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。また、11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.3%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は6勝0負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBはトランプ政権の政策を見極める必要があるとし、1月のFOMCで利下げを一旦停止しました。ECBは、3会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を3.0%としました。一方、日銀は、1月の金融政策決定会合で0.25ポイントの利上げを決定し、金利水準を0.5%としました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.72、PBRが1.43となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+3.1%で、こちらは3か月前より1.4ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
前日のNYDowは下落しましたが、日経平均は反発しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.6%となり、日経平均の割安幅は1490円から1030円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1490円~-620円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.29ポイントから3.31ポイントに拡大しました。ドル円相場は方向感なく推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。
2月4日の米国市場では、12月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数や、12月の製造業新規受注のほか、アルファベット、AMD、ペイパル、メルク、ファイザー、エスティ・ローダー、フォックス、ジェイコブス・エンジニアリング・グループなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを230円ほど上回り、下値も想定ラインを480円ほど上回りました。目先は、25日線(現在39310円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ+100円(現在38310円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、目安の20を上回る高水準にあります。また、信用の売り圧力は、弱まりました。日経平均は反発しましたが、日足は陰線となり、下げ止まったと判断するのは早計と思われます。1月17日につけた安値(38056円)を下回らずに済むかどうか、まだ見極める時間が必要なようです。
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