[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、欧米で新型コロナウイルスの感染が再拡大し、行動制限の強化による景気後退懸念から、株価指数は下落しました。一方、中長期的には、新型肺炎拡大長期化による景気後退、ハイ・イールド債のディフォルトなどによる銀行の信用力不足と信用収縮懸念があります。また、世界的な自国中心の政治状況から、中国などの景気減速、貿易戦争などによる世界経済の減速懸念もあります。さらに、中東、朝鮮半島やウクライナの地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。
日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2021年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が1.08ポイント割高となっています。割高の要因はS&P500のPERが25.1に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PERの22.4との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
これは、現在の日経平均の価格に対して、2021年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに1.08ポイント縮小するか(日本が上方修正又は米国が下方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PERが18.0程度になるか、又は、日経平均が18500円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は4480円ほど割高です。
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大と一段の円安、
④OECDによる日本の2021年GDP予測値(現在-0.5%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
① 先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NYDowが一目均衡表の雲の上の戻れるか否かに注目したいと思います。
② 四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は4.8%となりました。3ヶ月前に比べて1.0ポイント悪化しています。また、利益伸び率は-22.0%で3ヶ月前に比べて16.4ポイント悪化しています。
③ 米国の長期金利は上昇し、日米の金利差は 0.81%から0.84%と拡大したものの、為替は105円台から104円台で小動きでした。
④ OECDの日米の2021年の実質GDP伸び率予測が発表されて、日本が-.0.5%で、米国は+1.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が2.4ポイント劣ります。
⑤ 10月3週は売り越しで、10月4週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に6.4ポイント(日経平均に勘算すると1470円程度)割安となっています。先週と比べ割安幅は縮小しました。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に3.2ポイント(日経平均に勘算すると740円程度)割高となっています。
日経平均は、25日線と9日線の下にありますので、短期トレンドは、"赤信号"が点灯しています。
短期的には”赤信号"で、中期的には”黄信号"が点灯しています。
米国市場をファンダメンタル面で見ると米国の利上げ、米中貿易摩擦、北朝鮮の問題、などの懸念は後退しているものの、新型コロナウィルスによる肺炎の感染拡大、米国政治の不透明感、世界的な長期金利低下傾向、原油相場の低迷、米企業業績の悪化、ハイ・イールド債市場の下落、信用収縮に伴う金融市場混乱、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、貿易戦争に伴う世界経済減速懸念、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。
また、直近のLIBOR金利は低下しつつありますが、3月は、短期金利が低下しているにも関わらずLIBOR金利は上昇したことから、金融不安再燃の可能性が意識されていました。
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