[市況]
7月27日、NYダウとNASDAQは上昇しました。7月28日の日経平均先物は、前日比30円安で寄り付くと、午前中は30円安から130円高と上昇に転じ、午後は60円高から80円安と下げに転じて、結局80円安で取引を終えました。日経平均は58円安の22657円で引け、出来高は10.88億株と低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
7月27日の米国市場では、新型コロナウイルスのワクチンの実用化への期待感や、「共和党が1兆ドル規模の景気支援策を発表する見通し」と伝わったことなどが投資家心理を支え、買いが優勢となりました。また、アナリストが目標株価を引き上げたアップルをはじめ、大手ハイテク株にも買いが集まりました。
7月28日の日本市場では、前日の米株式相場が上昇した流れが引き継がれ、買いが先行しました。しかし、国内外の決算発表の本格化を前に様子見ムードも強く、買いの勢いは続きませんでした。新型コロナウイルスの感染者数の増加が続いていることや、外国為替市場で円高ドル安傾向が続いていることも重石となり、日経平均は結局、3日続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+9.9%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+3.2%と前日よりプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYダウは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が、中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より2.1ポイント拡大して-14.0となり、中長期的には日経平均がNASDAQより3170円ほど割安であることを示しています。一方、日経平均とNYダウの比較では、日経平均のほうが1.8ポイント(日経平均換算で410円)割高となっています。
[ファンダメンタルの現状認識]
市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済に与える影響」「英国のEU離脱」「米中貿易摩擦」「トランプ大統の政策が金融市場に与える影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「消費増税が景気に与える影響」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「中東やウクライナの情勢をめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP確報値は前期比年率5.0%減で、改定値の5.0%減から変わりませんでした。米企業の1~3月期の決算は、悪化しています。
米国の6月の耐久財受注、6月の小売売上高、6月の鉱工業生産指数、6月のISM製造業景況指数、6月のISM非製造業景況指数、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月のニューヨーク連銀製造業景気指数は市場予想を上回りました。一方、5月の製造業受注、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝3負で、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です。
米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比480万人増で、市場予測の290万人増を上回りました。また、失業率は11.1%で、前月の13.3%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です。
米国の5月の中古住宅販売仮契約指数、5月の新築住宅販売件数、7月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、5月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+4.0%で、市場予想の+4.0%と一致しました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です。
先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では、景気後退の前兆とされる長短金利の逆転現象も見られました。
米欧日の金融政策に目を向けます。FRBはゼロ金利政策を少なくとも2022年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預ける際のマイナス金利の幅を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「2021年6月までに1兆3500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続していますが、加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大し、ETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。
金融不安の気配を知る上で参考になるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は、3月に急上昇しましたが、ここ3か月は低下しています。直近では、7月20日が0.2577%、7月21日が0.2555%、7月22日が0.2635%と落ち着きつつあり、これは、FRBがジャンク債買い取りを含む無制限の金融緩和を表明したことの効果だと思われます。なお、2018年12月20日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。
日経平均採用銘柄全体では、予想PERが17.9、PBRが1.08となっています。直近の四半期決算発表にともない、予想ROE(企業の今期収益力の見通し)は6.0%となり、これは3か月前より0.6ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸び率は-1.2%で、こちらは3か月前より18.6ポイント改善されています。
イールドスプレッドの日米差(2.3ポイント)と、OECDが発表した2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.4ポイント)とを勘案すると、中長期的には日本市場は米国市場より0.12ポイント(日経平均換算で480円)ほど割高となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYダウが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYダウに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.5%となり、日経平均の割高幅は230円から100円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-510円~+230円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、0.58ポイントから0.61ポイントに拡大しましたが、ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面では、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムに対する懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、国有企業や地方政府を含めた不良債権問題に引き続き注意が必要です。
米国では、金融緩和措置が長期化しそうです。長期金利も低い状態が続いており、対ドルで円高が進みやすい状況です。
欧州経済は悪化しています。ECBはマイナス金利政策を継続しており、また、新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、量的緩和を拡大しました。加えて、EU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。
7月27日の米国市場では、5月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数や、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、ビザ、イーベイ、スターバックス、ファイザー、3M、アムジェン、AMD、シーゲイトテクノロジー、マクドナルドなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大への対応や米中関係なども株式相場に影響を与えそうです。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを180円ほど下回り、下値は目安のラインを220円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-100円(現在22920円近辺)が上値の目安に、25日線-200円(現在22330円近辺)が下値の目安になりそうです。
7月27日、NYダウとNASDAQは上昇しました。7月28日の日経平均先物は、前日比30円安で寄り付くと、午前中は30円安から130円高と上昇に転じ、午後は60円高から80円安と下げに転じて、結局80円安で取引を終えました。日経平均は58円安の22657円で引け、出来高は10.88億株と低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
7月27日の米国市場では、新型コロナウイルスのワクチンの実用化への期待感や、「共和党が1兆ドル規模の景気支援策を発表する見通し」と伝わったことなどが投資家心理を支え、買いが優勢となりました。また、アナリストが目標株価を引き上げたアップルをはじめ、大手ハイテク株にも買いが集まりました。
7月28日の日本市場では、前日の米株式相場が上昇した流れが引き継がれ、買いが先行しました。しかし、国内外の決算発表の本格化を前に様子見ムードも強く、買いの勢いは続きませんでした。新型コロナウイルスの感染者数の増加が続いていることや、外国為替市場で円高ドル安傾向が続いていることも重石となり、日経平均は結局、3日続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+9.9%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+3.2%と前日よりプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYダウは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が、中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より2.1ポイント拡大して-14.0となり、中長期的には日経平均がNASDAQより3170円ほど割安であることを示しています。一方、日経平均とNYダウの比較では、日経平均のほうが1.8ポイント(日経平均換算で410円)割高となっています。
[ファンダメンタルの現状認識]
市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済に与える影響」「英国のEU離脱」「米中貿易摩擦」「トランプ大統の政策が金融市場に与える影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「消費増税が景気に与える影響」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「中東やウクライナの情勢をめぐる地政学的リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP確報値は前期比年率5.0%減で、改定値の5.0%減から変わりませんでした。米企業の1~3月期の決算は、悪化しています。
米国の6月の耐久財受注、6月の小売売上高、6月の鉱工業生産指数、6月のISM製造業景況指数、6月のISM非製造業景況指数、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月のニューヨーク連銀製造業景気指数は市場予想を上回りました。一方、5月の製造業受注、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝3負で、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です。
米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比480万人増で、市場予測の290万人増を上回りました。また、失業率は11.1%で、前月の13.3%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です。
米国の5月の中古住宅販売仮契約指数、5月の新築住宅販売件数、7月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、5月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+4.0%で、市場予想の+4.0%と一致しました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です。
先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では、景気後退の前兆とされる長短金利の逆転現象も見られました。
米欧日の金融政策に目を向けます。FRBはゼロ金利政策を少なくとも2022年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預ける際のマイナス金利の幅を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「2021年6月までに1兆3500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続していますが、加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大し、ETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。
金融不安の気配を知る上で参考になるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は、3月に急上昇しましたが、ここ3か月は低下しています。直近では、7月20日が0.2577%、7月21日が0.2555%、7月22日が0.2635%と落ち着きつつあり、これは、FRBがジャンク債買い取りを含む無制限の金融緩和を表明したことの効果だと思われます。なお、2018年12月20日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。
日経平均採用銘柄全体では、予想PERが17.9、PBRが1.08となっています。直近の四半期決算発表にともない、予想ROE(企業の今期収益力の見通し)は6.0%となり、これは3か月前より0.6ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸び率は-1.2%で、こちらは3か月前より18.6ポイント改善されています。
イールドスプレッドの日米差(2.3ポイント)と、OECDが発表した2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.4ポイント)とを勘案すると、中長期的には日本市場は米国市場より0.12ポイント(日経平均換算で480円)ほど割高となっています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYダウが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYダウに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.5%となり、日経平均の割高幅は230円から100円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-510円~+230円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、0.58ポイントから0.61ポイントに拡大しましたが、ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面では、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムに対する懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、国有企業や地方政府を含めた不良債権問題に引き続き注意が必要です。
米国では、金融緩和措置が長期化しそうです。長期金利も低い状態が続いており、対ドルで円高が進みやすい状況です。
欧州経済は悪化しています。ECBはマイナス金利政策を継続しており、また、新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、量的緩和を拡大しました。加えて、EU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。
7月27日の米国市場では、5月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数や、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、ビザ、イーベイ、スターバックス、ファイザー、3M、アムジェン、AMD、シーゲイトテクノロジー、マクドナルドなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大への対応や米中関係なども株式相場に影響を与えそうです。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを180円ほど下回り、下値は目安のラインを220円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-100円(現在22920円近辺)が上値の目安に、25日線-200円(現在22330円近辺)が下値の目安になりそうです。
ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。