9月16日、NYDowとNASDAQは下落しました。9月17日の日経平均先物は、前日比50円高で寄り付くと、午前中は100円安から70円高の間でもみあい、午後は10円安から50円高の間でもみあって、結局10円高で取引を終えました。日経平均の終値は13円高の22001円で、出来高は13.36億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては「買い」が有利の状態ですが、買われ過ぎの水準です。
9月16日の米国市場では、売りが優勢となりました。サウジアラビアの石油施設が無人機の攻撃を受けたことから、企業業績や個人消費に悪影響が及ぶとの懸念が広がりました。また、中国の8月の鉱工業生産や8月の小売売上高の伸びが鈍化したことを受け、中国関連株も売られました。
9月17日の日本市場では、中東情勢の緊迫化やアジア株の下落を嫌気した売りと、外国為替市場で円安ドル高が進んでいることを好感した買いが交錯しました。また、原油価格の上昇を受けて石油関連株が買われた一方、業績への悪影響が懸念される海運、空運、化学株は売られました。日経平均は方向感なく推移しましたが、結局は前日比プラスで引け、10日続伸となりました。
日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+13.3%と前週末よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率は+3.7%と前週末から横ばいでした。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.7ポイント縮小して-2.7ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より590円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.7ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて2.83ポイント(日経平均で12050円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や消費税増税の影響」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP改定値は前期比年率2.0%増で、速報値の2.1%増から下方修正されました。4~6月期の米主要企業の決算は、おおむね市場予想を上回っていますが、貿易摩擦の影響を受けて伸び率は低水準です。
経済指標を見てみます。
8月の小売売上高、9月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月の製造業受注、8月のISM非製造業景況指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月の耐久財受注、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、9月のニューヨーク連銀製造業景況指数、8月のISM製造業景況指数、7月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝3負で、景気面では強気材料ですが、利下げしにくくなるという面では弱気材料です。
米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比13万人増で、市場予想の16万人増を下回りました。また、失業率は3.7%で、先月の3.7%から横ばいでした。雇用は、景気面ではやや弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面ではやや強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
7月の中古住宅販売件数、8月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、7月の中古住宅販売仮契約指数、7月の新築住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.1%で、市場予想の+2.3%を下回り、前月の伸び率を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面ではやや強気材料です。
先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では、景気後退の前兆とされる長短金利の逆転状態も見られます。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示し、市場の関心は「いつ利下げに転じるか」に移っています。ECBは9月の定例理事会で、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を2019年11月から再開することを表明しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、2015年5月までの2年5か月は低下傾向にありましたが、その後は上昇に転じています。直近では、9月11日 2.1272% → 9月12日 2.1185% → 9月13日 2.1393%と推移しています。世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前(2011年5月3日)の0.346%や2012年1月5日につけたピークの0.5825%を大きく上回り、また、米国債3か月物の1.98%をも上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年12月20日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが12.5、PBRが1.10となっています。1~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.8%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+0.6%で、こちらは3か月前より2.7ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.1%となり、日経平均は60円の割安から10円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-60円から+20円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でもやや割安となっています。
日米の長期金利の差は、1.96ポイントから2.00ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標はさほど悪化していません。長期金利は下降に転じましたが、目先は一服しています。対ドルで円高傾向にありますが、直近は円安ぎみです。
欧州市場では、マイナス金利政策が続いています。ECBはこのところの景気後退懸念を受けて量的緩和の再開を決め、各国政府に財政政策をうながしています。
9月17日の米国市場では、8月の鉱工業生産指数や9月の住宅市場指数のほか、アドビシステムズやフェデックスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、金利の推移や貿易摩擦にまつわる報道も株式相場に影響を与えそうです。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを150円ほど下回り、下値は想定ラインを190円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+200円(現在22090円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+300円(現在21690円近辺)が下値の目安になりそうです。
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9月16日、NYDowとNASDAQは下落しました。9月17日の日経平均先物は、前日比50円高で寄り付くと、午前中は100円安から70円高の間でもみあい、午後は10円安から50円高の間でもみあって、結局10円高で取引を終えました。日経平均の終値は13円高の22001円で、出来高は13.36億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては「買い」が有利の状態ですが、買われ過ぎの水準です。
9月16日の米国市場では、売りが優勢となりました。サウジアラビアの石油施設が無人機の攻撃を受けたことから、企業業績や個人消費に悪影響が及ぶとの懸念が広がりました。また、中国の8月の鉱工業生産や8月の小売売上高の伸びが鈍化したことを受け、中国関連株も売られました。
9月17日の日本市場では、中東情勢の緊迫化やアジア株の下落を嫌気した売りと、外国為替市場で円安ドル高が進んでいることを好感した買いが交錯しました。また、原油価格の上昇を受けて石油関連株が買われた一方、業績への悪影響が懸念される海運、空運、化学株は売られました。日経平均は方向感なく推移しましたが、結局は前日比プラスで引け、10日続伸となりました。
日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+13.3%と前週末よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率は+3.7%と前週末から横ばいでした。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.7ポイント縮小して-2.7ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より590円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.7ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて2.83ポイント(日経平均で12050円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には大幅に割安です。
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.7ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて2.83ポイント(日経平均で12050円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や消費税増税の影響」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP改定値は前期比年率2.0%増で、速報値の2.1%増から下方修正されました。4~6月期の米主要企業の決算は、おおむね市場予想を上回っていますが、貿易摩擦の影響を受けて伸び率は低水準です。
経済指標を見てみます。
8月の小売売上高、9月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月の製造業受注、8月のISM非製造業景況指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月の耐久財受注、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、9月のニューヨーク連銀製造業景況指数、8月のISM製造業景況指数、7月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝3負で、景気面では強気材料ですが、利下げしにくくなるという面では弱気材料です。
米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比13万人増で、市場予想の16万人増を下回りました。また、失業率は3.7%で、先月の3.7%から横ばいでした。雇用は、景気面ではやや弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面ではやや強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
7月の中古住宅販売件数、8月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、7月の中古住宅販売仮契約指数、7月の新築住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.1%で、市場予想の+2.3%を下回り、前月の伸び率を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面ではやや強気材料です。
先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では、景気後退の前兆とされる長短金利の逆転状態も見られます。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示し、市場の関心は「いつ利下げに転じるか」に移っています。ECBは9月の定例理事会で、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を2019年11月から再開することを表明しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、2015年5月までの2年5か月は低下傾向にありましたが、その後は上昇に転じています。直近では、9月11日 2.1272% → 9月12日 2.1185% → 9月13日 2.1393%と推移しています。世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前(2011年5月3日)の0.346%や2012年1月5日につけたピークの0.5825%を大きく上回り、また、米国債3か月物の1.98%をも上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年12月20日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが12.5、PBRが1.10となっています。1~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.8%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+0.6%で、こちらは3か月前より2.7ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.1%となり、日経平均は60円の割安から10円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-60円から+20円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でもやや割安となっています。
日米の長期金利の差は、1.96ポイントから2.00ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標はさほど悪化していません。長期金利は下降に転じましたが、目先は一服しています。対ドルで円高傾向にありますが、直近は円安ぎみです。
欧州市場では、マイナス金利政策が続いています。ECBはこのところの景気後退懸念を受けて量的緩和の再開を決め、各国政府に財政政策をうながしています。
9月17日の米国市場では、8月の鉱工業生産指数や9月の住宅市場指数のほか、アドビシステムズやフェデックスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、金利の推移や貿易摩擦にまつわる報道も株式相場に影響を与えそうです。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを150円ほど下回り、下値は想定ラインを190円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+200円(現在22090円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+300円(現在21690円近辺)が下値の目安になりそうです。
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