5月14日、NYDowとNASDAQは上昇しました。5月15日の日経平均先物は、前日比90円高で寄り付くと、午前中は100円高から70円安の間でもみあい、午後は20円高から160円高と上昇幅を拡げて、結局130円高で取引を終えました。日経平均の終値は121円高の21188円で、出来高は15.24億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
5月14日の米国市場では、米政権が6月に米中首脳会談の開催を検討していると伝わり、貿易摩擦への警戒感がやわらぎました。下げがきつかった中国関連銘柄が買い直され、株価指数は上昇しました。
5月15日の日本市場では、上海をはじめとするアジアの株式相場が堅調に推移したことが投資家心理を改善させ、買いが優勢となりました。日経平均は8営業日ぶりに反発しました。もっとも、米中貿易摩擦への警戒感は根強く、戻り待ちの売りに押されて指数は下げに転じる場面もありました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-7.0%と前日よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-3.1%と前日よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、9日線と25日線の下にありますが、200日線を上回りました。一目均衡表では雲の中に入りました。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上に出ました。米国市場の短期トレンドには赤信号が、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.5ポイント拡大して-6.0ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1270円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.59ポイント(日経平均で15740円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP速報値は前期比年率3.2%増で、市場予想の2.5%増を上回りました。1~3月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、今のところ、おおむね良好です。
経済指標を見てみます。3月の製造業受注、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月の耐久財受注、3月の小売売上高、4月のニューヨーク連銀製造業景気指数は市場予想を上回りました。一方、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝5負で、景気面ではやや強気材料ですが、利上げしやすくなるという面ではやや弱気材料です。
米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比26万3000人増で、市場予想の18万5000人増を上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.8%から低下しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。3月の中古住宅販売仮契約指数、3月の新築住宅販売件数は市場予想を上回りました。また、4月の住宅市場指数は市場予想と一致しました。一方、3月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+3.0%で、市場予想の+3.2%を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立材料です。
先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示しています。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大するとしています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、5月9日 2.5352% → 5月10日 2.5278% → 5月13日 2.5180%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向で、その後、上昇に転じています。直近は世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年12月20日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが11.9、PBRが1.08となっています。1~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-1.4%で、こちらは3か月前より1.8ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.5%となり、日経平均の割高幅は170円から100円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-200円 から+170円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。
日米の長期金利の差は2.47ポイントから2.47ポイントと横ばいでした。ドル円相場はやや円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。
5月15日の米国市場では、4月の小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景気指数、4月の鉱工業生産指数のほか、シスコシステムズやメイシーズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、米中貿易摩擦の先行きも株式相場に影響を与えそうです。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを70円ほど下回り、下値は想定ラインを80円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ(現在21470円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-100円(現在20990円近辺)が下値の目安になりそうです。騰落レシオとRSIを見ると、目先の底に到達しつつあると判断できそうです。
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5月14日、NYDowとNASDAQは上昇しました。5月15日の日経平均先物は、前日比90円高で寄り付くと、午前中は100円高から70円安の間でもみあい、午後は20円高から160円高と上昇幅を拡げて、結局130円高で取引を終えました。日経平均の終値は121円高の21188円で、出来高は15.24億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
5月14日の米国市場では、米政権が6月に米中首脳会談の開催を検討していると伝わり、貿易摩擦への警戒感がやわらぎました。下げがきつかった中国関連銘柄が買い直され、株価指数は上昇しました。
5月15日の日本市場では、上海をはじめとするアジアの株式相場が堅調に推移したことが投資家心理を改善させ、買いが優勢となりました。日経平均は8営業日ぶりに反発しました。もっとも、米中貿易摩擦への警戒感は根強く、戻り待ちの売りに押されて指数は下げに転じる場面もありました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-7.0%と前日よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-3.1%と前日よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、9日線と25日線の下にありますが、200日線を上回りました。一目均衡表では雲の中に入りました。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上に出ました。米国市場の短期トレンドには赤信号が、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.5ポイント拡大して-6.0ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1270円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.59ポイント(日経平均で15740円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.59ポイント(日経平均で15740円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP速報値は前期比年率3.2%増で、市場予想の2.5%増を上回りました。1~3月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、今のところ、おおむね良好です。
経済指標を見てみます。3月の製造業受注、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月の耐久財受注、3月の小売売上高、4月のニューヨーク連銀製造業景気指数は市場予想を上回りました。一方、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝5負で、景気面ではやや強気材料ですが、利上げしやすくなるという面ではやや弱気材料です。
米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比26万3000人増で、市場予想の18万5000人増を上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.8%から低下しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。3月の中古住宅販売仮契約指数、3月の新築住宅販売件数は市場予想を上回りました。また、4月の住宅市場指数は市場予想と一致しました。一方、3月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+3.0%で、市場予想の+3.2%を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立材料です。
先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示しています。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大するとしています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、5月9日 2.5352% → 5月10日 2.5278% → 5月13日 2.5180%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向で、その後、上昇に転じています。直近は世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年12月20日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが11.9、PBRが1.08となっています。1~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-1.4%で、こちらは3か月前より1.8ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.5%となり、日経平均の割高幅は170円から100円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-200円 から+170円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。
日米の長期金利の差は2.47ポイントから2.47ポイントと横ばいでした。ドル円相場はやや円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。
5月15日の米国市場では、4月の小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景気指数、4月の鉱工業生産指数のほか、シスコシステムズやメイシーズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、米中貿易摩擦の先行きも株式相場に影響を与えそうです。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを70円ほど下回り、下値は想定ラインを80円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ(現在21470円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-100円(現在20990円近辺)が下値の目安になりそうです。騰落レシオとRSIを見ると、目先の底に到達しつつあると判断できそうです。
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