2月5日、NYDowとNASDAQは上昇しました。2月6日の日経平均先物は、前日比110円高で寄り付くと、午前中は110円高から10円高の間でもみあい、午後は100円高から0円高と上昇幅を縮めて、結局40円高で取引を終えました。日経平均の終値は29円高の20874円で、出来高は12.50億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
2月5日の米国市場では、買いが優勢となりました。1月のISM非製造業景況指数が、市場予想を下回りつつも好不況の節目である50を大幅に超えたことや、主要企業の決算発表で業績の底堅さが見られたことなどが、投資家心理を強気に傾けました。
2月6日の日本市場では、前日の米株式相場の上昇が好感され、買いが優勢となりました。ただ、心理的な節目の2万1000円を前にして、上値の重い相場となりました。前日に好決算を発表したソフトバンクが売られたことや、トヨタが2019年3月期の連結純利益見通しを下方修正したことなども重石となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は-5.8%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-5.7%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうちマイナスは2つとなり、中期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.6ポイント拡大して-4.9ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1020円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.30ポイント(日経平均で13790円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP速報値は未発表です(7~9月期の確定値は、前期比年率3.4%増です)。また、10~12月期の米主要企業の決算には、貿易摩擦の影響が出始めているものの、おおむね良好です。
経済指標を見てみます。1月のISM製造業景況指数、12月の耐久財受注、12月の鉱工業生産指数、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の小売売上高、12月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方、1月のISM非製造業景況指数、11月の製造業受注、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月のニューヨーク連銀製造業景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝5負で、景気面ではやや強気材料ですが、利上げしやすくなるという面ではやや弱気材料です。
米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比30.4万人増で、市場予想の16.5万人増を大幅に上回りました。一方、失業率は4.0%で、先月の3.9%から上昇しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
住宅関連の指標を見てみます。12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数、11月の中古住宅販売仮契約指数、12月の住宅市場指数、10月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+4.7%で、市場予想の+4.9%を下回りました。住宅関連の指標は0勝6負で、景気面では弱気料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。
米国を除き、全世界的に景気後退リスクが意識されるようになってきました。また、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。ただ、長期金利が下降傾向にあり、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大しています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、1月31日 2.7375% → 2月1日 2.7326% → 2月4日 2.7343%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあり、直近では上昇は一服しています。ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年12月20日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが12.1、PBRが1.11となっています。1~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は-3.1%で、これは3か月前より1.5ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-3.2%となり、日経平均の割安幅は580円から660円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-660円 から-340円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。
日米の長期金利の差は2.73ポイントから2.71ポイントに縮小しました。ドル円相場は小動きでした。
テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。
2月6日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。ゼネラルモーターズ、メットライフ、プルデンシャルなどの四半期決算が注目されるでしょう。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインの近辺で、40円ほど下回り、下値は想定ラインを170円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+1σ+300円(現在21110円近辺)、下値が25日線+100円(現在20590円近辺)と想定されます。
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2月5日、NYDowとNASDAQは上昇しました。2月6日の日経平均先物は、前日比110円高で寄り付くと、午前中は110円高から10円高の間でもみあい、午後は100円高から0円高と上昇幅を縮めて、結局40円高で取引を終えました。日経平均の終値は29円高の20874円で、出来高は12.50億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
2月5日の米国市場では、買いが優勢となりました。1月のISM非製造業景況指数が、市場予想を下回りつつも好不況の節目である50を大幅に超えたことや、主要企業の決算発表で業績の底堅さが見られたことなどが、投資家心理を強気に傾けました。
2月6日の日本市場では、前日の米株式相場の上昇が好感され、買いが優勢となりました。ただ、心理的な節目の2万1000円を前にして、上値の重い相場となりました。前日に好決算を発表したソフトバンクが売られたことや、トヨタが2019年3月期の連結純利益見通しを下方修正したことなども重石となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は-5.8%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-5.7%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうちマイナスは2つとなり、中期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.6ポイント拡大して-4.9ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1020円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.30ポイント(日経平均で13790円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.30ポイント(日経平均で13790円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP速報値は未発表です(7~9月期の確定値は、前期比年率3.4%増です)。また、10~12月期の米主要企業の決算には、貿易摩擦の影響が出始めているものの、おおむね良好です。
経済指標を見てみます。1月のISM製造業景況指数、12月の耐久財受注、12月の鉱工業生産指数、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の小売売上高、12月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方、1月のISM非製造業景況指数、11月の製造業受注、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月のニューヨーク連銀製造業景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝5負で、景気面ではやや強気材料ですが、利上げしやすくなるという面ではやや弱気材料です。
米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比30.4万人増で、市場予想の16.5万人増を大幅に上回りました。一方、失業率は4.0%で、先月の3.9%から上昇しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
住宅関連の指標を見てみます。12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数、11月の中古住宅販売仮契約指数、12月の住宅市場指数、10月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+4.7%で、市場予想の+4.9%を下回りました。住宅関連の指標は0勝6負で、景気面では弱気料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。
米国を除き、全世界的に景気後退リスクが意識されるようになってきました。また、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。ただ、長期金利が下降傾向にあり、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大しています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、1月31日 2.7375% → 2月1日 2.7326% → 2月4日 2.7343%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあり、直近では上昇は一服しています。ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年12月20日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが12.1、PBRが1.11となっています。1~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は-3.1%で、これは3か月前より1.5ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-3.2%となり、日経平均の割安幅は580円から660円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-660円 から-340円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。
日米の長期金利の差は2.73ポイントから2.71ポイントに縮小しました。ドル円相場は小動きでした。
テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。
2月6日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。ゼネラルモーターズ、メットライフ、プルデンシャルなどの四半期決算が注目されるでしょう。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインの近辺で、40円ほど下回り、下値は想定ラインを170円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+1σ+300円(現在21110円近辺)、下値が25日線+100円(現在20590円近辺)と想定されます。
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