10月15日、NYDowとNASDAQは下落しました。10月16日の日経平均先物は、前日比50円高で寄り付くと、午前中は30円高から270円高と上昇幅を拡げ、午後は70円高から350円高と上昇幅を拡げて、結局230円高で取引を終えました。日経平均の終値は277円高の22549円で、出来高は12.60億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態ですが、売られ過ぎの水準です。
10月15日の米国市場では、中国の消費が鈍化しているとの報道が嫌気され、主力のハイテク株が軒並み下げました。一方で、内需ディフェンシブ株が買われてNYDowが140ドル強上げる場面もあるなど、方向感に乏しい相場となりました。
10月16日の日本市場では、ここ半月で日経平均が1800円あまり下落していることから、短期的な戻りを期待した買いが先行しました。インバウンド関連銘柄への売りなどが重石となり、日経平均は下落に転じる場面もありましたが、午後の半ばからは急速に上昇幅を拡げ、結局は高値引けとなりました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあり、短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-4.0%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は+0.2%とプラスに転換しました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+1.4ポイントとプラスに転換し、中長期的には日本市場が米国市場より320円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.30ポイント(日経平均で16920円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率4.2%増で、改定値の4.2%増から変わりませんでした。また、4~6月期の米主要企業の決算は、概ね良好でした。
経済指標を見てみます。10月のニューヨーク連銀製造業景気指数、8月の製造業受注、9月のISM非製造業景況指数、8月の耐久財受注、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の鉱工業生産指数は市場予想を上回りました。一方、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月のISM製造業景況指数、9月の小売売上高、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は7勝4負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.3万人増で、市場予想の18.5万人増を下回りました。一方、失業率は3.7%で、先月の3.9%から大きく改善されました。また、平均時給は+0.3%で、予想値の+0.3%と一致しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
住宅関連の指標を見てみます。8月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数、8月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。7月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+5.9%で、市場予想の6.3%を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。
全世界的に景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。金利は上昇傾向ですが、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、2018年1月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、10月10日 2.4251% → 10月11日 2.4363% → 10月12日 2.4364%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年10月12日に記録した2.4364%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが13.0、PBRが1.20となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.3%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は-4.0%で、これは3か月前より1.9ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.0%となり、日経平均はNYダウと均衡しました。プレミアム値は、ここ一週間、-260円 から+360円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面ではやや割高となっています。
日米の長期金利の差は3.01ポイントから3.03ポイントに拡大し、ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は縮小されて年内で終了予定です。EUも金融正常化へ向かう様子です。
10月16日の米国市場では、9月の鉱工業生産指数や、10月の住宅市場指数のほか、モルガン・スタンレー、J&J、ブラックロック、ユナイテッドヘルス、IBMなどの四半期決算が注目されるでしょう。
今日の日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを60円ほど上回り、下値は想定ラインを150円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド-1σ (現在22690円近辺)、下値がボリンジャーバンド-2σ+300円(現在22320円近辺)と想定されます。
ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。
世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート
10月15日、NYDowとNASDAQは下落しました。10月16日の日経平均先物は、前日比50円高で寄り付くと、午前中は30円高から270円高と上昇幅を拡げ、午後は70円高から350円高と上昇幅を拡げて、結局230円高で取引を終えました。日経平均の終値は277円高の22549円で、出来高は12.60億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態ですが、売られ過ぎの水準です。
10月15日の米国市場では、中国の消費が鈍化しているとの報道が嫌気され、主力のハイテク株が軒並み下げました。一方で、内需ディフェンシブ株が買われてNYDowが140ドル強上げる場面もあるなど、方向感に乏しい相場となりました。
10月16日の日本市場では、ここ半月で日経平均が1800円あまり下落していることから、短期的な戻りを期待した買いが先行しました。インバウンド関連銘柄への売りなどが重石となり、日経平均は下落に転じる場面もありましたが、午後の半ばからは急速に上昇幅を拡げ、結局は高値引けとなりました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあり、短期トレンドには赤信号が点灯しています。
日経平均は9日線と25日線の下にあり、短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-4.0%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は+0.2%とプラスに転換しました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+1.4ポイントとプラスに転換し、中長期的には日本市場が米国市場より320円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.30ポイント(日経平均で16920円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.30ポイント(日経平均で16920円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率4.2%増で、改定値の4.2%増から変わりませんでした。また、4~6月期の米主要企業の決算は、概ね良好でした。
経済指標を見てみます。10月のニューヨーク連銀製造業景気指数、8月の製造業受注、9月のISM非製造業景況指数、8月の耐久財受注、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の鉱工業生産指数は市場予想を上回りました。一方、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月のISM製造業景況指数、9月の小売売上高、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は7勝4負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.3万人増で、市場予想の18.5万人増を下回りました。一方、失業率は3.7%で、先月の3.9%から大きく改善されました。また、平均時給は+0.3%で、予想値の+0.3%と一致しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
住宅関連の指標を見てみます。8月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数、8月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。7月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+5.9%で、市場予想の6.3%を下回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。
全世界的に景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。金利は上昇傾向ですが、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、2018年1月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、10月10日 2.4251% → 10月11日 2.4363% → 10月12日 2.4364%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年10月12日に記録した2.4364%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが13.0、PBRが1.20となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.3%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は-4.0%で、これは3か月前より1.9ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.0%となり、日経平均はNYダウと均衡しました。プレミアム値は、ここ一週間、-260円 から+360円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面ではやや割高となっています。
日米の長期金利の差は3.01ポイントから3.03ポイントに拡大し、ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は縮小されて年内で終了予定です。EUも金融正常化へ向かう様子です。
10月16日の米国市場では、9月の鉱工業生産指数や、10月の住宅市場指数のほか、モルガン・スタンレー、J&J、ブラックロック、ユナイテッドヘルス、IBMなどの四半期決算が注目されるでしょう。
今日の日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを60円ほど上回り、下値は想定ラインを150円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド-1σ (現在22690円近辺)、下値がボリンジャーバンド-2σ+300円(現在22320円近辺)と想定されます。
ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。