4月16日、NYDowとNASDAQは上昇しました。4月17日の日経平均先物は、前日比30円安で寄り付くと、午前中は40円高から80円安の間でもみあい、午後は10円高から40円安の間でもみあって、結局20円安で取引を終えました。日経平均の終値は12円高の21847円で、出来高は13.53億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状態です。
4月16日の米国市場では、米英仏によるシリアへの攻撃が終了したとの見方から、地政学的リスクへの警戒感が後退し、主力ハイテク株を中心に買いが優勢となりました。
4月17日午前の日本市場では、日米首脳会談を間近に控えて積極的な売買が見送られ、日経平均は前日終値を挟んで膠着した動きに終始しました。景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄や内需株には買いが入り、相場を支えました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあり、短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+1.8%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+2.0%とプラス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、9日線と200日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドには黄信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は-3.1ポイントで、中長期的には日本市場が米国市場より680円ほど割安であることを示しています(前日比0.6ポイント拡大)。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.1ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.50ポイント(日経平均で17880円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP確定値は前期比年率2.9%増で、改定値2.5%増から上方修正されました。10~12月期の米主要企業の決算は、良好です。
経済指標を見てみます。3月の小売売上高、2月の耐久財受注、2月の鉱工業生産指数、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数は市場予想を上回りました。一方、4月のニューヨーク連銀製造業景気指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値、2月の製造業受注、3月のISM非製造業景況指数、3月のISM製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は4勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくいという面では強気材料です。
米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比10.3万人増で、市場予測の18.5万人増を下回りました。一方、失業率は先月と同値の4.1%でした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくいという面では強気材料です。
住宅関連の指標を見てみます。2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、4月の住宅市場指数、2月の新築住宅販売件数、2月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.4%で、市場予想の+6.2%を上回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気面では中立です。
全世界的に、景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字の根本的な解決にはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は回復傾向で、長期金利も上昇傾向です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、2018年1月からは、買い入れ額を600億ユーロから300億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、4月11日 2.3416% → 4月12日 2.3476% → 4月13日 2.3528%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、上昇が続いています。なお、2018年4月13日に記録した2.3528%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが12.9、PBRが1.21となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.4%となり、これは3か月前より0.7ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+19.8%で、こちらは3か月前より8.0ポイント改善されています。上昇余地があることを示しています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇率ほどには上げませんでした。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.3となり、日経平均の割高幅は240円から50円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+50円 から+320円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。
日米の長期金利の差は2.81ポイントから2.80ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因のはずですが、目先円高が進んでいます。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。
4月17日の米国市場では、3月の新築住宅着工件数や、3月の鉱工業生産指数のほか、J&J、ユナイテッドヘルス・グループ、IBMなどの四半期決算が注目されるでしょう。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを140円ほど下回り、下値は想定ラインを170円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+1σ+200円 (現在22030円近辺)、下値が25日線+100円(現在21600円近辺)と想定されます。
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4月16日、NYDowとNASDAQは上昇しました。4月17日の日経平均先物は、前日比30円安で寄り付くと、午前中は40円高から80円安の間でもみあい、午後は10円高から40円安の間でもみあって、結局20円安で取引を終えました。日経平均の終値は12円高の21847円で、出来高は13.53億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状態です。
4月16日の米国市場では、米英仏によるシリアへの攻撃が終了したとの見方から、地政学的リスクへの警戒感が後退し、主力ハイテク株を中心に買いが優勢となりました。
4月17日午前の日本市場では、日米首脳会談を間近に控えて積極的な売買が見送られ、日経平均は前日終値を挟んで膠着した動きに終始しました。景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ銘柄や内需株には買いが入り、相場を支えました。
[テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあり、短期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均は9日線と25日線の上にあり、短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+1.8%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+2.0%とプラス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、9日線と200日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドには黄信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は-3.1ポイントで、中長期的には日本市場が米国市場より680円ほど割安であることを示しています(前日比0.6ポイント拡大)。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.1ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.50ポイント(日経平均で17880円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.1ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.50ポイント(日経平均で17880円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP確定値は前期比年率2.9%増で、改定値2.5%増から上方修正されました。10~12月期の米主要企業の決算は、良好です。
経済指標を見てみます。3月の小売売上高、2月の耐久財受注、2月の鉱工業生産指数、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数は市場予想を上回りました。一方、4月のニューヨーク連銀製造業景気指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値、2月の製造業受注、3月のISM非製造業景況指数、3月のISM製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は4勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくいという面では強気材料です。
米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比10.3万人増で、市場予測の18.5万人増を下回りました。一方、失業率は先月と同値の4.1%でした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくいという面では強気材料です。
住宅関連の指標を見てみます。2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、4月の住宅市場指数、2月の新築住宅販売件数、2月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.4%で、市場予想の+6.2%を上回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気面では中立です。
全世界的に、景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字の根本的な解決にはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は回復傾向で、長期金利も上昇傾向です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、2018年1月からは、買い入れ額を600億ユーロから300億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、4月11日 2.3416% → 4月12日 2.3476% → 4月13日 2.3528%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、上昇が続いています。なお、2018年4月13日に記録した2.3528%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが12.9、PBRが1.21となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.4%となり、これは3か月前より0.7ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+19.8%で、こちらは3か月前より8.0ポイント改善されています。上昇余地があることを示しています。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇率ほどには上げませんでした。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.3となり、日経平均の割高幅は240円から50円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+50円 から+320円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。
日米の長期金利の差は2.81ポイントから2.80ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因のはずですが、目先円高が進んでいます。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。
4月17日の米国市場では、3月の新築住宅着工件数や、3月の鉱工業生産指数のほか、J&J、ユナイテッドヘルス・グループ、IBMなどの四半期決算が注目されるでしょう。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを140円ほど下回り、下値は想定ラインを170円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+1σ+200円 (現在22030円近辺)、下値が25日線+100円(現在21600円近辺)と想定されます。
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