[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、6月の雇用統計など堅調な経済指標で上昇しました。一方、中長期的には、米国経済の回復に伴う金融緩和縮小懸念、中国の景気減速とシャドー・バンキング問題、中東の地政学的リスクの高まり、米国の財政の崖問題及びEU諸国の緊縮財政による消費や雇用の停滞、世界各国の財政問題による金融不安再燃による信用収縮懸念などに引き続き注意が必要です。
2013年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は、日本市場が0.70ポイント割安となりました。OECDの実質GDPの値が改定され、この改定値を基にすると、日本市場は割安と考えられます。割安の要因はS&P500のPERが14.0で、日経平均採用銘柄の今期予想PERの16.0との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、2013年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ0.7%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PERが18.0程度になる(日経平均が16100円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できます。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④OECDによる日本の2013年GDP予測値(現在+1.6%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
①
先週のNYDowの週足は陽線となりました。200日線の上に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。米国市場は短期的に青信号で、中長期的には黄信号が点灯しています。今週は、4-6月期の決算発表が株式相場に影響しそうです。NYDowやNasdaqが一目均衡表の雲の上に復帰できるか否かに注目する必要があります。
②
日経225採用銘柄の今期予想増益率は3月期の決算発表に伴い前年比+45%と大幅な伸びとなっています。また、ROE予想値は3月期の決算発表に伴い6.3%から8.6%へ伸び率が改善しています。
③
日米の長期金利は低下して、日米の金利差は1.63%から1.89%と拡大し、為替は99円台から101円台と円安方向の動きでした。今週は100円台から103円台の動きが想定されます。
④
OECDによる日米の2013年の実質GDP伸び率は最近改定され日本が+1.6%で、米国は+1.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が0.3ポイント劣ります。
⑤
6月4週は買い越しで7月1週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうちが①③⑤が強気材料でした。今週も、①③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、17.1ポイント割高となりました。先週比割高幅は2.1ポイント拡大しました。日本市場は米国市場に比べて強い動きが加速しました。
日経平均は、一目均衡表の雲の中に在ります。総合乖離率は+39.5%となり先週と比較してプラス幅が拡大しました。200日移動平均線乖離率は+26.2%となりプラス幅は拡大しました。2つがプラスですので中期トレンドは、”黄信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の上に在ります。短期的トレンドには"青信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の中に在ります。Nasdaqは200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の中に在ります。短期的には青信号"で、中期的には"黄信号"が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると、新興国の利上、資源高、住宅市況の低迷、雇用指標の停滞、南欧政府債務問題などのリスク懸念は後退しているものの、中東の地政学的リスク、米国の財政の崖と金融緩和縮小、新興国市場の下落と世界景気後退懸念、中国のシャドーバンキング問題が残っています。ただ、好材料としては、FRBによる超低金利が1~2年先のインフレ見通しが2.5%を上回らない限り、失業率が6.5%以下になるまで継続されることや、ECBによる無制限の国債購入と金利引き下げ余地、FRBによる無期限のMBSの購入表明、日銀による2%のインフレターゲットの設定と異次元の強力な金融緩和が挙げられます。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみ合いで、短期は上昇トレンドです。日本市場は中期もみ合いで、短期は上昇トレンドです。
目先の状況を分析すると、米国景気の回復基調で米国市場は戻り基調ですが、長期金利が上昇していますので注意も必要です。また、LIBORのドル3ヶ月物金利は下降傾向で、EUの政府債務問題による金融危機懸念は後退しています。ポルトガル政局はあまり影響していないようです。ただ、引き続き、南欧各国の国債金利動向に注意が必要です。上海銀行間金利は低下しつつあるものの、今後も中国のシャドーバンキング問題に警戒が必要です。一方、先週の為替は日米長期金利差が拡大し、円安方向の動きで、日本株には追い風です。
先週の日経平均の上値は想定したボリンジャー・バンド+2σ近辺となりましたが、下値は思ったほどは下がりませんでした。今週の日経平均も米国市場や為替などを睨んだ動きとなりそうです。今週の日経平均は、上昇中のボリンジャー・バンド+2σ(現在14230円近辺)を挟んだ動き(プラス・マイナス250円程度)が想定されます。
ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。
右のボタンをクリック!
世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート
注目銘柄、日経平均チャートについてはYS総合研究所HPも参考にしてください。