[市況]
26日のNYDowとNASDAQは上昇しました。27日の日経平均先物は、前日比40円高で寄り付き、午前中は前日同値から100円高の範囲で徐々に上昇する動きでした。午後は200円高まで上昇する場面がありましたが、最終的に190円高で取引を終わりました。日経平均は178円高で引け、出来高は18.05億株と低水準ながら増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、820万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、やや「売り」が有利な状況です。
26日の米国市場では、朝方は9月の耐久財受注額が前月比で市場予想ほど減少しなかったことやボーイングなど企業の好決算を手掛かりに買いが優勢となりました。その後、ギリシャ向け第2次支援の民間負担問題で、EU側と民間側の調整がなお決着していないと伝わり、下げに転じる場面もあったものの、ドイツ連邦議会がEFSFの実質的な拡大を承認したほか、中国がEFSFへの投資に合意したと伝わったことで、大幅に上昇して終えました。
27日の日本市場では、ユーロ圏17ヶ国首脳会議が債務問題に対する包括策で合意したことで安心感が広がりました。日銀が午後1時半ごろ、金融政策決定会合で資産買入基金の増額を発表しましたが、ETFの増額を見送ったことで失望感が広がる場面もありましたが、下げは限定的だったことから、売り方の買い戻しが優勢になり、大引けにかけて一段高となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線の上に在り、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。総合乖離率は-5.6%でマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-7.1%でマイナス幅は縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の中に在ります。2つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。
NYDowは200日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは200日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が7.0ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は2.3ポイント割安幅が縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差(3.5ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.83ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と金・穀物・原油価格の動き」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況と追加金融緩和の行方」、「欧州の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と速報値から上方修正されました。7-9月期の主要企業の決算発表は今のところ好決算が勝っているようです。経済指標では9月の鉱工業生産指数は市場予想並みで、9月の耐久財受注、10月のフィラデルフィア連銀指数、9月の小売売上高、9月のISM非製造業景況感指数、9月のISM製造業景況感指数、9月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数などは市場予想を上回りましたが、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月のシカゴ連銀全米活動指数、9月の景気先行指標総合指数、10月のNY連銀製造業景気指数、10月のミシガン大学消費者態度指数、8月の個人所得は予想以下となりました。9月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が10万3千人増加し、6万人程度の増加を見込んだ市場予想を大幅に上回りました。ただ、失業率は9.1%と前月と同水準で高止まり状態です。一方、住宅関連では9月の住宅着工件数、10月の住宅市場指数が予想以上となりましたが、9月の中古住宅販売件数が予想以下となりました。8月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比で3.8%低下しました。市場予想の3.5%低下より弱い結果でした。7月に入り景気指標は改善傾向だったものの、8-9月は陰りが出ていました。10月に入り、直近は過度の景気後退懸念は無くなりつつあります。ただ、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和継続の主な原因となっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字による国債の金利上昇が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。これは長期的な円高要因です。一方、中国を初めとする新興国の利上げは景気減速で一服しています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は10月24日 0.4203% → 10月25日 0.4222% → 10月26日 0.4247%となり上昇中です。2010年の欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を超えましたので、金融システム危機が再燃してもおかしくない状態が続いています。ここ2年のMAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.2、PBRが0.98、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。
[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇率以上に上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.2%となり、日経平均は110円の割安で、割安幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-350円 ~ -100円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べ弱い動きとなっていますが、今日は弱い動きが減速しました。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.20と拡大したものの、為替は円高方向です。日米金利差はこのところ拡大傾向ながら、FRBによる追加金融緩和観測で円は最高値を更新しています。
テクニカルには、米国市場は、中期もみ合いで、短期は上昇トレンドです。一方、日経平均は中期もみ合いで、短期は上昇トレンドです。
ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となり金融危機が再来するか否か、世界の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうです。このところ楽観的なニュースも目立ちますが、LIBOR銀行間金利は上昇が続き、欧州財政問題が金融危機に発展する要警戒状態が続いており、落ち着く気配は見えません。また、景気の減速懸念も払拭出来ていません。このような、相場環境の中、今夜の米国市場では新規失業保険申請件数、7-9月期のGDP、9月の中古住宅販売成約やコカ・コーラ、エクソンモービル、プロクター・アンド・ギャンブルの決算が注目されそうです。
今日の日経平均は想定通り、ボリンジャーバンド+2σ近辺まで上昇しました。目先の上値の目安は、引き続き、ボリンジャーバンド+2σ(現在8960円近辺)で、下値の目安は25日線(現在8680円近辺)が想定されます。
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