4月9日、NYDowとNASDAQは上昇しました。4月10日の日経平均先物は、前日比40円安で寄り付くと、午前中は50円高から280円安の間で上下し、午後は20円安から200円安の間でもみあって、結局180円安で取引を終えました。日経平均の終値は152円高の19498円で、出来高は13.70億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
4月9日の米国市場では、FRBが企業向けの新たな資金供給策を発表したことや、パウエル議長が長期間の金融緩和の継続を示唆したことなどが投資家心理を上向かせ、買いが優勢となりました。NYDowの上げ幅は一時500ドルを超え、2万4000ドルを上回る場面もありました。
4月10日の日本市場では、前日の米株式相場の上昇を好感した買い入った一方、国内経済が長期間停滞するとの懸念から、売りが優勢となる場面もありました。午後に入ると、日銀のETF買い観測が広がり、再び買いが優勢となりました。日経平均は反発しました。
日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は-15.8%と前日よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-10.8%と前日よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。
NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドには赤信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日比横ばいの-7.7で、中長期的には日本市場が米国市場より1500円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.2ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて1.07ポイント(日経平均で3090円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には割安です。
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.2ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて1.07ポイント(日経平均で3090円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には割安です。
市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格へ与える影響」「英国のEU離脱」「米中貿易摩擦」「トランプ政権の通商政策が金融市場全体へ与える影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や、消費税増税が景気に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP確定値は前期比年率2.1%増で、改定値の2.1%増と一致しました。10~12月期の米企業の決算は、概ね好調でした。
経済指標を見てみます。
3月のISM製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、2月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のISM非製造業景況指数、2月の製造業受注、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産指数、2月の小売売上高、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は4勝7負で、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待できるという面では強気材料です。
米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比70万1000人減で、減少幅は市場予想の10万人減を大きく上回りました。また、失業率は4.4%で、先月の3.5%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待できるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の新築住宅販売件数、2月の住宅着工件数、1月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、3月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。また、1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+3.1%で、市場予想の+3.2%を下回りました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料ですが、金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です。
先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では、景気後退の前兆とされる長短金利の逆転状態も見られました。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは2019年に予防的利下げを3度おこない、さらに2020年3月に合計1.5%の緊急利下げをおこない、実質ゼロ金利としました。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「2020年末までに1200億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、2015年5月までの2年5か月は低下傾向にありましたが、その後は上昇に転じています。直近では4月6日 1.3523 → 4月7日 1.3198 → 4月8日 1.3113と推移しています。目先は低下傾向ですが、ここ1か月は上昇しています。一方、短期金利は低下しており、これは金融システムにとって危険なサインです。ギリシャ財政危機直前(2011年5月3日)の0.346%や2012年1月5日につけたピークの0.5825%を大きく上回り、また、米国債3か月物の0.05%をも大きく上回っており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年12月20日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが12.8、PBRが0.94となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは7.3%となり、これは3か月前より0.8ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-12.9%で、こちらは3か月前より6.1ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.9%となり、日経平均の割安幅は200円から540円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-540円から+950円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場より割安で、テクニカル面でも割安となっています。
日米の長期金利の差は、0.75ポイントから0.73ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。日経平均も、短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は、ここからは市場予想を下回るものが増えていきそうです。長期金利は下降に転じており、対ドルで円高が進みやすい状況です。
欧州市場では、マイナス金利政策が続いています。ECBはこのところの景気後退懸念を受けて量的緩和を再開し、各国政府に財政政策をうながしています。
4月10日の米国は聖金曜日の休日で、米国市場は休場です。引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大への対応や原油価格などが週明けの株式相場に影響を与えそうです。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを230円ほど下回り、下値は想定ラインを220円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+400円(現在20030円近辺)が上値の目安に、25日線+600円(現在19120円近辺)が下値の目安になりそうです。騰落レシオが90.6、RSIが69%となり、テクニカル指標は目先の底値圏を脱したことを示しています。日経平均のPBRは0.94で、長期的にはまだ買い場と言えそうです。
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