[市況]
3月31日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。4月1日の日経平均先物は、前日比280円高で寄り付くと、午前中は360円高から30円高の間で上下し、午後は180円高から140円安と下落に転じて、結局、100円安で取引を終えました。日経平均の終値は6円高の35624円で、出来高は17.55億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を7日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強い状態です。
3月31日の米国市場では、トランプ政権の関税政策が米景気を押し下げるとの懸念が重石となるなか、業績が景気の影響を受けにくいディフェンシブ株が買われ、相場を支えました。月末・四半期末とあって、機関投資家の持ち高調整の買いも入りました。NYDowは4営業日ぶりに反発しましたが、NASDAQは小幅に4日続落しました。
4月1日の日本市場では、前日までの大幅な株安の反動で、自律反発狙いの買いが先行しました。ただ、日経平均が節目の3万6000円を上回ると、戻り待ちの売りが出て相場の上値を抑えました。発動が迫る米相互関税の不透明感が重石となったほか、4月第1週とあって、機関投資家が含み益のある保有株を売却する「期初の益出し」も出やすかったようです。日経平均は4営業日ぶりに小反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-19.8%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-7.5%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-1.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が360円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-6.9ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2460円ほど割安であることを示しています。
日経VIは27.79と前日より低下し、VIXは22.28と前日より上昇しました。両指数ともに、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.3、米国-0.6と日本が4.7ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.69ポイント(日経平均換算で41930円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP確定値は前期比年率2.4%増で、改定値の2.3%から上方修正されました。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月の耐久財受注、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産指数、2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、2月の消費者物価指数、2月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比15.1万人増で、市場予想の16万人増を下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数、3月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.7%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、5会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.5%としました。日銀は、3月の金融政策決定会合では0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが14.63、PBRが1.34となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+6.6%で、こちらは3か月前より2.3ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-4.0%となり、日経平均の割安幅は870円から1480円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1480円~-70円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.72ポイントから2.70ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。日経平均も同様に、短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。
4月1日の米国市場では、2月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数や、3月のISM製造業景況指数などが注目されるでしょう。引き続き、関税政策の景気への影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを140円ほど下回り、下値は想定ラインを220円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-2σ+200円(現在36200円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-3σ+100円(現在35420円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、目安の20を上回っています。また、信用の売り圧力は、強い状態です。日経平均は反発できず、相場の弱さを再確認する形となりました。下げ止まるには、もう少し値幅か時間が必要なようです。
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