日経平均の予想: April 2020

Thursday, April 30, 2020

[2020/04/30]今後の日経平均の見通し

[市況]
429日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。430日の日経平均先物は、前日比510円高で寄り付くと、午前中は520円高から360円高の間でもみあい、午後は550円高から250円高と上昇幅を縮めて、結局250円高で取引を終えました。日経平均の終値は422円高の20193円で、出来高は17.18億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態ですが、買われ過ぎの水準です。

429日の米国市場では、バイオ製薬のギリアド・サイエンシズが「新型コロナウイルスの治療薬が臨床試験で有効性を示した」と発表したことから、経済活動の早期再開を後押しするとの期待感が広がり、幅広い銘柄に買いが膨らみました。アルファベットの13月期決算で売上高が市場予想を上回ったことも支援材料となりました。
430日の日本市場では、前日の米株式相場の急上昇を受けて投資家のリスク許容度が高まり、景気敏感株を中心に幅広い銘柄が買われました。中国の4月のPMIが好不況の分かれ目とされる50を下回るなど悪材料も出ましたが、反応は限定的でした。日経平均はおよそ2か月ぶりに2万円台を回復しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は-5.7%と前営業日よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-7.2%と前営業日よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前営業日より0.2ポイント拡大して-12.8となり、中長期的には日本市場が米国市場より2580円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.2ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて1.24ポイント(日経平均で4660円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には割安です。

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格へ与える影響」「英国のEU離脱」「米中貿易摩擦」「トランプ政権の通商政策が金融市場全体へ与える影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や、消費税増税が景気に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率4.8%減で、市場予想の4.0%減より悪化しました。13月期の米企業の決算は、悪化しています。

経済指標を見てみます。
4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のISM製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月の耐久財受注、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、3月のISM非製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、3月の小売売上高、2月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は38負で、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待できるという面では強気材料です。

米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比701000人減で、減少幅は市場予想の10万人減を大きく上回りました。また、失業率は4.4%で、先月の3.5%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待できるという面では強気材料です

米国の住宅関連の指標を見てみます。
2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+3.5%で、市場予想の+3.2%を上回りました。一方、3月の中古住宅販売仮契約指数、3月の新築住宅販売件数、3月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待できるという面では強気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では、景気後退の前兆とされる長短金利の逆転状態も見られました。

欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRB2019年に予防的利下げを3度おこない、さらに20203月に合計1.5%の緊急利下げをおこない、実質ゼロ金利としました。また、ジャンク債買い取りを含む無制限の金融緩和を表明しました。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「2020年末までに1200億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続していますが、加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大し、ETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ1か月は上昇しています。一方、短期金利は低下しており、これは金融システムにとって危険なサインでしたが、直近では、424 0.8871 427 0.8407 428 0.7601と落ち着きつつあります。これは、FRBがジャンク債買い取りを含む無制限の金融緩和を表明したことの効果と思われます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.2PBR0.97となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE6.4%となり、これは3か月前より1.7ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-23.9%で、こちらは3か月前より16.9ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.7%となり、日経平均の割安幅は180円から140円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-510円から-100円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は、0.70ポイントから0.65ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、引き続き国有企業や中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は、ここからは市場予想を下回るものが増えていきそうです。長期金利は下降に転じており、対ドルで円高が進みやすい状況です。
欧州市場では、マイナス金利政策が続いています。ECBはこのところの景気後退懸念を受けて量的緩和を再開し、各国政府に財政政策をうながしています。

430日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数、ECB定例理事会、ユーロ圏の13月期GDPのほか、アップルやツイッターなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大への対応や原油価格も株式相場に影響を与えそうです。

今日の日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを100円ほど上回り、下値は想定ラインを710円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+100円(現在20470円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ(現在19770円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Tuesday, April 28, 2020

[2020/04/28]今後の日経平均の見通し

[市況]
427日、NYDowNASDAQは上昇しました。428日の日経平均先物は、前日比40円高で寄り付くと、午前中は100円高から100円安と下げに転じ、午後は60円安から90円高と上昇に転じて、結局90円高で取引を終えました。日経平均の終値は12円安の19771円で、出来高は12.34億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

427日の米国市場では、テネシーやジョージア、サウスカロライナなど一部の州が段階的に経済活動を再開させる方針を示したことから、景気が回復に向かうとの期待感が広がり、買いが優勢となりました。2829日にかけて開かれるFOMCで、大規模な金融緩和を継続する方針が示されるとの観測も支えとなりました。NYDow4日続伸しました。
428日の日本市場では、前日の株高の反動で、戻り待ちの売りが優勢となりました。材料が少なく様子見ムードが強まる中、日銀のETF買い入れ観測やアジアの株高が支えとなり、午後の日経平均は下げ幅を縮めました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は-11.9%と前日よりマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率は-9.1%と前日比で横ばいでした。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の上に出ました。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.1ポイント拡大して-12.6となり、中長期的には日本市場が米国市場より2490円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.2ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて1.62ポイント(日経平均で6030円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には割安です。

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格へ与える影響」「英国のEU離脱」「米中貿易摩擦」「トランプ政権の通商政策が金融市場全体へ与える影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や、消費税増税が景気に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率2.1%増で、改定値の2.1%増と一致しました。13月期の米企業の決算は、悪化しています。

経済指標を見てみます。
4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のISM製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方、3月の耐久財受注、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、3月のISM非製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、3月の小売売上高、2月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は47負で、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待できるという面では強気材料です。

米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比701000人減で、減少幅は市場予想の10万人減を大きく上回りました。また、失業率は4.4%で、先月の3.5%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待できるという面では強気材料です

米国の住宅関連の指標を見てみます。
2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、3月の新築住宅販売件数、3月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。また、1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+3.1%で、市場予想の+3.2%を下回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待できるという面では強気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では、景気後退の前兆とされる長短金利の逆転状態も見られました。

欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRB2019年に予防的利下げを3度おこない、さらに20203月に合計1.5%の緊急利下げをおこない、実質ゼロ金利としました。また、ジャンク債買い取りを含む無制限の金融緩和を表明しました。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「2020年末までに1200億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続していますが、加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大し、ETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ1か月は上昇しています。一方、短期金利は低下しており、これは金融システムにとって危険なサインです。直近では、422 1.0202 423 0.9913 424 0.8871と落ち着きつつありますが、これは、FRBがジャンク債買い取りを含む無制限の金融緩和を表明したことの効果と思われます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.4PBR0.95となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE6.6%となり、これは3か月前より1.5ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-21.1%で、こちらは3か月前より14.1ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.9%となり、日経平均の割安幅は100円から180円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-510円から-100円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は、0.67ポイントから0.70ポイントに拡大しましたが、ドル円相場は小動きでした。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、引き続き国有企業や中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は、ここからは市場予想を下回るものが増えていきそうです。長期金利は下降に転じており、対ドルで円高が進みやすい状況です。
欧州市場では、マイナス金利政策が続いています。ECBはこのところの景気後退懸念を受けて量的緩和を再開し、各国政府に財政政策をうながしています。

428日の米国市場では、2月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数や4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、ファイザー、ペプシコ、メルク、UPS3M、キャタピラー、スターバックス、グーグルなどの四半期決算が株式相場に影響を与えそうです。引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大への対応や原油価格も注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを440円ほど下回り、下値は想定ラインを120円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-100円(現在20180円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-400円(現在19320円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Monday, April 27, 2020

[2020/04/27]今後の日経平均の見通し

[市況]
424日、NYDowNASDAQは上昇しました。427日の日経平均先物は、前日比260円高で寄り付くと、午前中は240円高から510円高と上昇幅を拡げ、午後には610円高まで上昇幅を拡げて、結局570円高で取引を終えました。日経平均の終値は521円高の19783円で、出来高は12.47億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

424日の米国市場では、週の前半に急落した原油先物相場が連日で上昇したことが好感され、石油関連株や景気敏感株が買われました。また、決算発表の本格化を前に業績期待から主力の大型ハイテク株が買われ、相場をけん引しました。NYDow3日続伸し、NASDAQは反発しました。
427日の日本市場では、前週末の米株式相場の上昇を受けて投資家のリスク回避姿勢がやわらぎ、買いが優勢となりました。また、日銀が金融政策決定会合で追加の金融緩和を決め、コマーシャルペーパーや社債の購入に積極的な姿勢を示したことも好感されました。日経平均は大幅に反発しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。
総合乖離率は-11.6%と前週末よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-9.1%と前週末よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうちマイナスは2つとなり、中期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、25日線の上にあり、9日線を上回りました。

NYDowは、200日線の下にありますが、25日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前週末より0.9ポイント縮小して-11.5となり、中長期的には日本市場が米国市場より2280円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.2ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて1.63ポイント(日経平均で6050円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には割安です。

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格へ与える影響」「英国のEU離脱」「米中貿易摩擦」「トランプ政権の通商政策が金融市場全体へ与える影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や、消費税増税が景気に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率2.1%増で、改定値の2.1%増と一致しました。13月期の米企業の決算は、悪化しています。

経済指標を見てみます。
4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のISM製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方、3月の耐久財受注、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、3月のISM非製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、3月の小売売上高、2月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は47負で、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待できるという面では強気材料です。

米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比701000人減で、減少幅は市場予想の10万人減を大きく上回りました。また、失業率は4.4%で、先月の3.5%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待できるという面では強気材料です

米国の住宅関連の指標を見てみます。
2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、3月の新築住宅販売件数、3月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。また、1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+3.1%で、市場予想の+3.2%を下回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待できるという面では強気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では、景気後退の前兆とされる長短金利の逆転状態も見られました。

欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRB2019年に予防的利下げを3度おこない、さらに20203月に合計1.5%の緊急利下げをおこない、実質ゼロ金利としました。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「2020年末までに1200億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ1か月は上昇しています。一方、短期金利は低下しており、これは金融システムにとって危険なサインです。直近では、422 1.0202 423 0.9913 424 0.8871と落ち着きつつありますが、これは、FRBによるジャンク債買い取りを含む無制限の金融緩和表明の効果と思われます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.4PBR0.96となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE6.7%となり、これは3か月前より1.4ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-20.5%で、こちらは3か月前より13.5ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.5%となり、日経平均の割安幅は510円から100円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-510円から-100円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は、0.61ポイントから0.67ポイントに拡大しましたが、ドル円相場は円高方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には上層トレンドで、中期的にはもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、引き続き国有企業や中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は、ここからは市場予想を下回るものが増えていきそうです。長期金利は下降に転じており、対ドルで円高が進みやすい状況です。
欧州市場では、マイナス金利政策が続いています。ECBはこのところの景気後退懸念を受けて量的緩和を再開し、各国政府に財政政策をうながしています。

427日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大への対応や原油価格などが株式相場に影響を与えそうです。

今日の日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを150円ほど上回り、下値は想定ラインを530円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在20260円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在19470円近辺)が下値の目安になりそうです。



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