日経平均の予想: 2018

Thursday, December 27, 2018

[2018/12/28]今後の日経平均の見通し

[市況]
1227日、NYDowNASDAQは乱高下の後、結局上昇しました。1228日の日経平均先物は、前日比120円安で寄り付くと、午前中は40円高から170円安の間でもみあい、午後は10円高から270円安の間でもみあって、結局180円安で取引を終えました。日経平均の終値は62円安の20014円で、出来高は11.95億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、やや「買い」が有利の状態です。

1227日の米国市場では、前日の大幅高の反動で売りが先行しました。ただ、年末特有の薄商いの中、押し目買いが次第に優勢となり、取引終了にかけて上げに転じました。
1228日の日本市場では、利益確定や手じまいの売りが優勢となりました。来年の相場展開を不安視する向きが強く、また、連休中に海外で悪材料が出かねないとの警戒感もあり、売り圧力が優勢でした。ただ、日経平均は終値で2万円を維持しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-26.4%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-10.2%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、25日線と200日線の下にありますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、25日線と200日線の下にありますが、9日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドには赤信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.8ポイント縮小して+1.7ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より340円ほど割高であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.60ポイント(日経平均で13620円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の79月期のGDP確定値は前期比年率3.4%増で、改定値の3.5%増から下方修正されました。また、79月期の米主要企業の決算には、貿易摩擦の影響が出始めています。

経済指標を見てみます。11月の小売売上高、11月のISM製造業景況指数、11月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、11月の耐久財受注、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、12月のニューヨーク連銀製造業景気指数、11月の鉱工業生産指数、10月の製造業受注、11月のISM非製造業景況指数、11月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は38負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしづらくなるという面では強気材料です。

米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比15.5万人増で、市場予想の19.8万人増を下回りました。一方、失業率は3.7%で、先月の3.7%から横ばいでした。また、平均時給は+0.2%で、予想値の+0.3%を下回りました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。11月の中古住宅販売件数、11月の住宅着工件数、9月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、12月の住宅市場指数、10月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+5.0%で、市場予想の+4.9%を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料です。

全世界的に景気後退リスクが意識されるようになってきました。また、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。ただ、長期金利は下降傾向に変化して、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、1220 2.8237% 1221 2.8216% 1224 2.8134%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER11.2PBR1.04となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は-2.1%で、これは3か月前より2.0ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.6%となり、日経平均は160円の割高から120円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-120円 から+610円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安ですが、テクニカル面ではやや割高となっています。

日米の長期金利の差は2.78ポイントから2.78ポイントと横ばいですが、ドル円相場は高安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は縮小されて年内で終了予定です。EUも金融正常化へ向かう様子です。

1228日の米国市場では、11月の仮契約住宅販売指数などが注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを180円ほど下回り、下値は想定ラインを250円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド-1σ(現在20360円近辺)、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在19450円近辺)と想定されます。



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Wednesday, December 26, 2018

[2018/12/27]今後の日経平均の見通し

[市況]
1226日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。1227日の日経平均先物は、前日比640円高で寄り付くと、午前中は700円高から420円高の間でもみあい、午後は550円高から800円高の間でもみあって、結局630円高で取引を終えました。日経平均の終値は750円高の20077円で、出来高は15.76億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、やや「買い」が有利の状態です。

1226日の米国市場では、前営業日まで大幅な下げが続いていたため、小売や石油株を中心に、短期的な戻りを期待した買いや、売り方の買い戻しが広がりました。上昇率は過去最大となりました。
1227日の日本市場では、前日の米株高が投資家心理を上向かせ、幅広い銘柄に買いが広がりました。外国為替市場で円相場が円安にふれたことや、上海をはじめとするアジア市場が軒並み堅調に推移したこと、米政府代表が貿易協議のため1月に中国を訪問すると伝わったことなども支援材料となりました。日経平均は大幅に続伸し、節目の2万円を回復しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-25.3%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-9.8%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、25日線と200日線の下にありますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには赤信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.5ポイント縮小して+2.5ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より500円ほど割高であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.62ポイント(日経平均で13710円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の79月期のGDP確定値は前期比年率3.4%増で、改定値の3.5%増から下方修正されました。また、79月期の米主要企業の決算には、貿易摩擦の影響が出始めています。

経済指標を見てみます。11月の小売売上高、11月のISM製造業景況指数、11月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想と一致しました。一方、11月の耐久財受注、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、12月のニューヨーク連銀製造業景気指数、11月の鉱工業生産指数、10月の製造業受注、11月のISM非製造業景況指数、11月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は47負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしづらくなるという面では強気材料です。

米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比15.5万人増で、市場予想の19.8万人増を下回りました。一方、失業率は3.7%で、先月の3.7%から横ばいでした。また、平均時給は+0.2%で、予想値の+0.3%を下回りました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。11月の中古住宅販売件数、11月の住宅着工件数、9月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、12月の住宅市場指数、10月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+5.0%で、市場予想の+4.9%を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料です。

全世界的に景気後退リスクが意識されるようになってきました。また、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。ただ、長期金利は下降傾向に変化して、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、1220 2.8237% 1221 2.8216% 1224 2.8134%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER11.2PBR1.04となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.3%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は-2.0%で、これは3か月前より2.1ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均はNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.8%となり、日経平均の割高幅は610円から160円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+160円 から+610円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安ですが、テクニカル面ではやや割高となっています。

日米の長期金利の差は2.71ポイントから2.78ポイントに拡大し、ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は縮小されて年内で終了予定です。EUも金融正常化へ向かう様子です。

1227日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、11月の新築住宅販売件数、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数が注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを420円ほど上回り、下値は想定ラインを790円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド-1σ-100(現在20360円近辺)、下値がボリンジャーバンド-2σ+200(現在19790円近辺)と想定されます。



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Tuesday, December 25, 2018

[2018/12/26]今後の日経平均の見通し

[市況]
1225日、NYDowNASDAQは休場でした。1226日の日経平均先物は、前日比280円高で寄り付くと、午前中は530円高から170円高の間でもみあい、午後は60円安まで下落したのち420円高まで戻して、結局420円高で取引を終えました。日経平均の終値は171円高の19327円で、出来高は13.88億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては「売り」が有利の状態です。

1225日の米国はクリスマスの休日で、NYDowNASDAQは休場でした。
1226日の日本市場では、前日に1000円あまり下落した後とあって、自律反発狙いの買いが先行しました。その後も底入れ感が意識されて買いが続きましたが、米株価指数先物が下落に転じると、買い戻しは失速しました。午後に入ると日経平均は下落に転じ、一時は節目の19000円を割り込みましたが、引けにかけて再び買い戻され、結局はプラス圏で引けました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-36.0%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-13.2%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.8ポイント拡大して+4.0ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より770円ほど割高であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.89ポイント(日経平均で14000円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の79月期のGDP確定値は前期比年率3.4%増で、改定値の3.5%増から下方修正されました。また、79月期の米主要企業の決算には、貿易摩擦の影響が出始めています。

経済指標を見てみます。11月の小売売上高、11月のISM製造業景況指数、11月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想と一致しました。一方、11月の耐久財受注、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、12月のニューヨーク連銀製造業景気指数、11月の鉱工業生産指数、10月の製造業受注、11月のISM非製造業景況指数、11月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は47負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしづらくなるという面では強気材料です。

米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比15.5万人増で、市場予想の19.8万人増を下回りました。一方、失業率は3.7%で、先月の3.7%から横ばいでした。また、平均時給は+0.2%で、予想値の+0.3%を下回りました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。11月の中古住宅販売件数、11月の住宅着工件数、9月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、12月の住宅市場指数、10月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。9月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+5.15%で、市場予想の+5.20%を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気面では中立材料です。

全世界的に景気後退リスクが意識されるようになってきました。また、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。ただ、長期金利は下降傾向に変化して、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、1219 2.7896% 1220 2.8237% 1221 2.8216%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER10.8PBR1.00となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は-2.1%で、これは3か月前より2.1ポイント改善されています。

[今後の見通し]
NYダウは休場でしたが、日経平均は上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.0%となり、日経平均の割高幅は290円から610円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-80円 から+610円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安ですが、テクニカル面では割高となっています。

日米の長期金利の差は2.74ポイントから2.71ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的・中期的に下降トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は縮小されて年内で終了予定です。EUも金融正常化へ向かう様子です。

1226日の米国市場では、10月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数などが注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを190円ほど下回り、下値は想定ラインを60円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド-2σ+200(現在19920円近辺)、下値がボリンジャーバンド-3σ+200(現在19090円近辺)と想定されます。



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Monday, December 24, 2018

[2018/12/25]今後の日経平均の見通し

[市況]
1224日、NYDowNASDAQは大幅下落しました。1225日の日経平均先物は、前日比750円安で寄り付くと、午前中は610円安から1020円安と下げ幅を拡げ、午後は1080円安から840円安の間でもみあって、結局1080円安で取引を終えました。日経平均の終値は1010円安の19155円で、出来高は17.17億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては「売り」が有利の状態ですが、売られ過ぎの水準です。

1224日の米国市場では、米財務省による「金融市場の機能面にいかなる支障もない」との声明が、むしろ年末にかけて市場が混乱するのでは、との警戒感を促し、株式を売る動きが広がりました。政府機関の一部閉鎖も投資家心理を悪化させました。
1225日の日本市場では、前日の米国市場の急落が投資家心理を悪化させ、幅広い銘柄に売りが広がりました。外国為替市場で円高ドル安が進行したことも重石となりました。日経平均は5日続落し、節目の2万円を大きく割り込みました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-38.9%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-14.0%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.2ポイント縮小して+3.2ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より610円ほど割高であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて4.02ポイント(日経平均で14430円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の79月期のGDP確定値は前期比年率3.4%増で、改定値の3.5%増から下方修正されました。また、79月期の米主要企業の決算には、貿易摩擦の影響が出始めています。

経済指標を見てみます。11月の小売売上高、11月のISM製造業景況指数、11月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想と一致しました。一方、11月の耐久財受注、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、12月のニューヨーク連銀製造業景気指数、11月の鉱工業生産指数、10月の製造業受注、11月のISM非製造業景況指数、11月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は47負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしづらくなるという面では強気材料です。

米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比15.5万人増で、市場予想の19.8万人増を下回りました。一方、失業率は3.7%で、先月の3.7%から横ばいでした。また、平均時給は+0.2%で、予想値の+0.3%を下回りました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。11月の中古住宅販売件数、11月の住宅着工件数、9月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、12月の住宅市場指数、10月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。9月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+5.15%で、市場予想の+5.20%を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気面では中立材料です。

全世界的に景気後退リスクが意識されるようになってきました。また、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。ただ、長期金利は下降傾向に変化して、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、1219 2.7896% 1220 2.8237% 1221 2.8216%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER10.7PBR0.99となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は-2.1%で、これは3か月前より2.0ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYダウの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.4%となり、日経平均の割高幅は360円から290円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-80円 から+360円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安ですが、テクニカル面では割高となっています。

日米の長期金利の差は2.76ポイントから2.74ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的・中期的に下降トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は縮小されて年内で終了予定です。EUも金融正常化へ向かう様子です。

1225日の米国はクリスマスの休日で、株式市場は休場です。

今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを360円ほど下回り、下値は想定ラインを200円ほど下回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド-2σ(現在20050円近辺)、下値がボリンジャーバンド-3σ(現在19320円近辺)と想定されます。



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