日経平均の予想: November 2020

Monday, November 30, 2020

[2020/12/01]今後の日経平均の見通し

[市況]

1130日、NYDowNASDAQは下落しました。121日の日経平均先物は、前日比80円高で寄り付くと、午前中は80円高から380円高と上昇幅を拡げ、午後は410円高から280円高の間でもみあって、結局340円高で取引を終えました。日経平均の終値は353円高の26787円で、出来高は13.31億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。


1130日の米国市場では、相場が過去最高値圏にあることが意識され、利益確定や持ち高調整の売りが優勢となりました。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて行動制限の動きが広がるとの警戒感や、「トランプ政権が中国半導体受託生産最大手のSMICなど4社を株式取得の制限対象リストに加える見通し」との報道も投資家心理の重石となりました。NYDowNASDAQは反落しました。

121日の日本市場では、「米モデルナがFDAに新型コロナウイルスのワクチンの緊急使用許可を申請する」との報道を支えに米株価指数先物が上昇した流れが引き継がれ、景気敏感株を中心に買いが先行しました。その後も、アジア株が堅調に推移したことなどが好感され、運用リスクを取る動きが優勢となりました。日経平均は大幅に反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+39.9%と前日よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+20.8%と前日よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.7ポイント縮小して-0.2となり、中長期的には日経平均がNASDAQより50円ほど割安であることを示しています。一方、日経平均とNYDowとの比較は、日本市場が7.5ポイント(日経平均換算で2010円)割高であることを示しています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドの日米差(1.1ポイント)とOECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.0ポイント)を勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.95ポイント(日経平均換算で5080円)割高となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「英国のEU離脱」「米中貿易摩擦」「トランプ政権の通商政策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否や、消費税増税が景気に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP改定値は前期比年率33.1%減で、速報値と変わりませんでした。また、79月期の米企業の決算は、大方の予想に反して堅調な内容です。

 

経済指標を見てみます。

10月の耐久財受注、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月の鉱工業生産指数、10月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、11月のシカゴ購買部協会景気指数、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月の小売売上高、11月のニューヨーク連銀製造業景況指数、11月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のISM非製造業景況指数、9月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は47負で、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しやすいという面では強気材料です。

 

米国の10月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比638000人増で、市場予想の53万人増を上回りました。また、失業率は6.9%で、先月の7.9%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

10月の新築住宅販売件数、10月の中古住宅販売件数、10月の住宅着工件数、10月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、10月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+6.6%で、市場予想の+5.1%を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です。

 

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20216月までに13500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続していますが、加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大し、ETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、3月に急上昇しましたが、ここ8か月は低下しています。直近では、1125 0.2330 1126 0.2243 1127 0.2253と落ち着いており、金融不安の気配は見られません。これは、FRBがジャンク債買い取りを含む大規模な金融緩和を継続していることや、大規模な財政出動の効果と思われます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER24.6PBR1.20となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE4.9%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-20.0%で、こちらは3か月前より2.3ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.6%となり、日経平均の割高幅は530円から910円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+410円から+910円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は0.82ポイントから0.83ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格下落のニュースが散見されており、引き続き国有企業や地方政府の不良債権問題に注意が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうです。長期金利も低い状態が続いており、対ドルで円高が進みやすい状況です。

欧州経済は悪化しています。ECBはマイナス金利政策を継続しており、また、新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、量的緩和を拡大しました。さらにEU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。

 

121日の米国市場では、11月のISM製造業景況指数やOPECプラス会合のほか、セールスフォース・ドットコムなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大への対応や、米中対立に関する報道なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを210円ほど上回り、下値は想定ラインを470円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-600円(現在26860円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+100円(現在26350円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Sunday, November 29, 2020

[2020/11/30]今後の日経平均の見通し

[市況]

1127日、NYDowNASDAQは上昇しました。1130日の日経平均先物は、前日比260円高で寄り付くと、午前中は260円高から80円安と下落に転じ、午後には230円安まで下げ幅を拡げて、結局170円安で取引を終えました。日経平均の終値は211円安の26433円で、出来高は24.88億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。


1127日の米国市場では、トランプ大統領の発言を受けて政権の移行が円滑に進むとの見方が広がったことや、新型コロナウイルスのワクチン普及への期待感が高まっていることなどに支えられ、買いが優勢となりました。ただ、感謝祭の翌日とあって売買は低調でした。NYDowは反発し、NASDAQ4日続伸しました。

1130日の日本市場では、前週末の米株式相場の上昇を受けて投資家心理が上向き、買いが先行しましたが、高値警戒感から次第に利益確定の売りが優勢となりました。米指数算出会社MSCIの指数採用銘柄入れ替えに伴う売りも重石となったようです。日経平均は5営業日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+36.3%と前週末よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+19.3%と前週末よりプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は0から-1.9に拡大し、中長期的には日経平均がNASDAQより500円ほど割安であることを示しています。一方、日経平均とNYDowとの比較は、日本市場が5.0ポイント(日経平均換算で1320円)割高であることを示しています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドの日米差(1.1ポイント)とOECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.0ポイント)を勘案すると、中長期的には日本市場は米国市場より0.95ポイント(日経平均換算で4990円)割高となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「英国のEU離脱」「米中貿易摩擦」「トランプ政権の通商政策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否や、消費税増税が景気に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP改定値は前期比年率33.1%減で、速報値と変わりませんでした。また、79月期の米企業の決算は、大方の予想に反して堅調な内容です。

 

経済指標を見てみます。

10月の耐久財受注、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月の鉱工業生産指数、10月のISM製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月の小売売上高、11月のニューヨーク連銀製造業景況指数、11月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のISM非製造業景況指数、9月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は56負で、景気面ではやや弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しやすいという面ではやや強気材料です。

 

米国の10月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比638000人増で、市場予想の53万人増を上回りました。また、失業率は6.9%で、先月の7.9%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

10月の新築住宅販売件数、10月の中古住宅販売件数、10月の住宅着工件数、10月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、9月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+6.6%で、市場予想の+5.1%を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です。

 

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20216月までに13500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続していますが、加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大し、ETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、3月に急上昇しましたが、ここ7か月は低下しています。直近では、1125 0.2330 1126 0.2243 1127 0.2253と落ち着いており、金融不安の気配は見られません。これは、FRBがジャンク債買い取りを含む大規模な金融緩和を継続していることや、大規模な財政出動の効果と思われます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER24.5PBR1.19となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE4.9%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-19.8%で、こちらは3か月前より2.1ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.1%となり、日経平均の割高幅は810円から530円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+410円から+810円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は0.83ポイントから0.82ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格下落のニュースが散見されており、引き続き国有企業や地方政府の不良債権問題に注意が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうです。長期金利も低い状態が続いており、対ドルで円高が進みやすい状況です。

欧州経済は悪化しています。ECBはマイナス金利政策を継続しており、また、新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、量的緩和を拡大しました。さらにEU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。

 

1130日の米国市場では、10月の中古住宅販売仮契約指数が注目されます。引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大への対応や、米中対立に関する報道なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを50円ほど下回り、下値は想定ラインを110円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+400円(現在26490円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在25990円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Saturday, November 28, 2020

[2020/11/29]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場は、政権の移行が円滑に進むとの見方や新型コロナウイルスのワクチン普及の期待から株価指数は上昇しました。一方、中長期的には、新型肺炎拡大長期化による景気後退、ハイ・イールド債のディフォルトなどによる銀行の信用力不足と信用収縮懸念があります。また世界的な自国中心の政治状況から中国などの景気減速、貿易戦争などによる世界経済の減速懸念もあります。さらに、中東、朝鮮半島やウクライナの地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2021年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が0.99ポイント割高となっています。割高の要因はS&P500PER26.0に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER24.8との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2021年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに0.99ポイント縮小するか(日本が上方修正又は米国が下方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER19.9程度になるか、又は、日経平均が21390円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は5260円ほど割高です。

 

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇、

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大と一段の円安、

OECDによる日本の2021GDP予測値(現在-0.5%)の上方修正、

⑤外人の買い越し、

 

最近の動きを見ると、

   先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NYDow25日線の上を維持できるか否かに注目したいと思います。

   四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は4.9%となりました。3ヶ月前に比べて0.1ポイント悪化しています。また、利益伸び率は-19.8%3ヶ月前に比べて2.3ポイント悪化しています。

   米国の長期金利は上昇し、日米の金利差は 0.82%から0.82%と横ばいで、為替は103円台から104円台でやや円安方向に動きました

   OECDの日米の2021年の実質GDP伸び率予測が改定されて、日本が+2.1%で、米国は+4.1%と予想されていますので、この面では日本市場の方が2.0ポイント劣ります。

   113週は買い越しで、114週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に0.9ポイント(日経平均に勘算すると240円程度)割安となっています。先週と比べ割安幅は縮小しました。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に6.0ポイント(日経平均に勘算すると1600円程度)割高となっています。

 

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+39.9%となり先週と比較してプラス幅が拡大しました。200日移動平均線乖離率は+20.3でプラス幅が拡大しました。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは、"青信号"が点灯しています。

日経平均は、25日線と9日線の上にありますので、短期トレンドは、"青信号"が点灯しています。

 

米国市場ではNY Dowは、200日線・25日線・9日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqも、200日線・25日線・9日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には青信号"で、中期的には青信号"が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると米国の利上げ、米中貿易摩擦、北朝鮮の問題、などの懸念は後退しているものの、新型コロナウィルスによる肺炎の感染拡大、米国政治の不透明感世界的な長期金利低下傾向、原油相場の低迷、米企業業績の悪化、ハイ・イールド債市場の下落、信用収縮に伴う金融市場混乱、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、貿易戦争に伴う世界経済減速懸念、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

また、直近のLIBOR金利は低下しつつありますが、3月は、短期金利が低下しているにも関わらずLIBOR金利は上昇したことから、金融不安再燃の可能性が意識されていました。

 

一方、好材料としては米国のゼロ金利政策とジャンク債購入を含むFRBによる企業への直接的金融支援や3兆ドルの経済対策、トランプ大統領の政策期待。日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と無制限の国債・12兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、日本政府によるリーマンショック時を超える経済対策やEUによる92兆円のコロナ復興基金設立とECBによるマイナス金利の深堀と量的緩和の拡大表明などが揚げられます。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです

 

為替市場を分析すると、ここ半年は、ゆるやかに円高方向に動いています。今週は104円台から103円台が想定されます。こからは、テクニカル指標、米国市場動向、為替の動き、外国人投資家動向を注目する必要があります。

 

今週は、パウエルFRB議長の議会証言や、金曜日に予定されている米雇用統計に注目が集まっており、労働市場の回復がさらに鈍化することが予想されます。その他の発表としては、ブラジル、オーストラリア、トルコ、カナダのGDPデータ、世界の製造業・サービス業PMIRBARBIによる金融政策決定などが注目されます。その他、米国とカナダの貿易統計、米国とドイツの製造業受注、日本と韓国の鉱工業生産、小売売上高などが発表されます。

 

先週の日経平均は、想定レンジを上回りました。上値は想定ラインを570円ほど上回り、下値は想定ラインを920円ほど上回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド +2σ(現在27150円近辺)で、下値がボリンジャーバンド+1σ(現在25970円近辺)の間での動きが想定されます。


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Thursday, November 26, 2020

[2020/11/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

1126日、NYDowNASDAQは休場でした。1127日の日経平均先物は、前日比130円安で寄り付くと、午前中は60円高から160円安の間でもみあい、午後は100円安から90円高と上昇に転じて、結局50円高で取引を終えました。日経平均の終値は107円高の26644円で、出来高は15.30億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。


1126日の米国は感謝祭の祝日で、株式市場は休場でした。

1127日の日本市場では、日経平均が今週に入ってから1000円超上昇しているとあって利益確定の売りが出やすい地合いでしたが、相場の先高観も強く、結果的には運用リスクを取る動きが優勢となりました。景気敏感株のほか、ハイテク株の一角にも買いが集まりました。日経平均は4日続伸し、連日で年初来高値を更新しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+39.9%と前日よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+20.3%と前日よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差はゼロとなり、中長期的には日経平均がNASDAQとほぼ均衡していることを示しています。一方、日経平均とNYDowとの比較は、日本市場が6.1ポイント(日経平均換算で1630円)割高であることを示しています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドの日米差(0.9ポイント)とOECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.4ポイント)を勘案すると、中長期的には日本市場は米国市場より1.45ポイント(日経平均換算で7040円)割高となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「英国のEU離脱」「米中貿易摩擦」「トランプ政権の通商政策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否や、消費税増税が景気に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP改定値は前期比年率33.1%減で、速報値と変わりませんでした。また、79月期の米企業の決算は、大方の予想に反して堅調な内容です。

 

経済指標を見てみます。

10月の耐久財受注、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月の鉱工業生産指数、10月のISM製造業景況指数、10月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、11月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月の小売売上高、11月のニューヨーク連銀製造業景況指数、11月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のISM非製造業景況指数、9月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は56負で、景気面ではやや弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しやすいという面ではやや強気材料です。

 

米国の10月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比638000人増で、市場予想の53万人増を上回りました。また、失業率は6.9%で、先月の7.9%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

10月の新築住宅販売件数、10月の中古住宅販売件数、10月の住宅着工件数、10月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、9月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+6.6%で、市場予想の+5.1%を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です。

 

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20216月までに13500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続していますが、加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大し、ETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、3月に急上昇しましたが、ここ7か月は低下しています。直近では、1123 0.2065 1124 0.2322 1125 0.2330と落ち着いており、金融不安の気配は見られません。これは、FRBがジャンク債買い取りを含む大規模な金融緩和を継続していることや、大規模な財政出動の効果と思われます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER24.8PBR1.20となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE4.9%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-19.7%で、こちらは3か月前より2.3ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

前日のNYDowは休場でしたが、きょうの日経平均は上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.3%となり、日経平均の割高幅は720円から810円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+410円から+810円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は0.86ポイントから0.83ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格下落のニュースが散見されており、引き続き国有企業や地方政府の不良債権問題に注意が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうです。長期金利も低い状態が続いており、対ドルで円高が進みやすい状況です。

欧州経済は悪化しています。ECBはマイナス金利政策を継続しており、また、新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、量的緩和を拡大しました。また、EU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。

 

1127日の米国はブラックフライデーで市場参加者は少なくなりそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを170円ほど下回り、下値は想定ラインを150円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-400円(現在26750円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在26170円近辺)が下値の目安になりそうです。



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