日経平均の予想: July 2023

Monday, July 31, 2023

[2023/07/31]今後の日経平均の見通し

[市況]

728日、NYDowNASDAQは上昇しました。731日の日経平均先物は、前日330円高で寄り付くと、午前中は220円高から620円高と上昇幅を拡げ、午後は520円高から240円高の間で上下して、結局、490円高で取引を終了しました。日経平均の終値は412高の33172円で、出来高は19.98億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態ですが、買われ過ぎの水準です。

空売り比率は5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱まりました。

 

728日の米国市場では、買いが優勢となりました。同日発表の6月の個人消費支出(PCE)物価指数や46月期の雇用コスト指数がインフレ圧力の高まりを示す内容ではなかったことから、FRBの利上げが継続するとの懸念が和らぎ、買い安心感につながりました。企業業績改善への期待も投資家心理を支えました。NYDowは反発し、NASDAQ3日ぶりに反発しました。

731日の日本市場では、前週末の米株高や外国為替市場の円安ドル高進行が投資家心理を上向かせ、買いが優勢となりました。ただ、日経平均が年初来高値に近付くと、戻り待ちの売りや利益確定の売りが出て相場の上値を抑えました。日経平均は反発し、終値で33000円台を回復しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+22.2%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+15.0%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-4.5ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1490円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+9.1ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が3020円ほど割高であることを示しています

 

日経VI18.30と低下し、VIX13.33と低下しました。両指数ともに、不安心理の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.9、米国0.8と日本が5.1ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.68ポイント(日経平均換算で85830円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率2.4%増で、予想値の1.8%増を上回りました。また、46月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

6月の耐久財受注、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数、6月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の小売売上高、6月の鉱工業生産指数、6月の消費者物価指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比20.9万人増で、市場予想の24.0万人増を下回りました。一方、失業率は3.6%で、前月の3.7%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

6月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。また、7月の住宅市場指数は市場予想と一致しました。一方、6月の新築住宅販売件数数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数は予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比-1.7%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2023年内にあと2回の利上げをすると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で、8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、724 5.6122% 725 5.6189% 726 5.6272%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023726日に記録した5.6272%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.41PBR1.38となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+1.8%で、こちらは3か月前より1.8ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.1%となり、日経平均の割安幅は90円から380円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1040円から-90円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.45ポイントから3.40ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

731日の米国市場では、ユーロ圏の46月期GDPのほか、ロウズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを320円ほど上回り、下値は想定ラインを560円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+300円(現在33480円近辺)が上値の目安に、25日線+100円(現在32850円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経平均のボラティリティーはまだ高い状態です。一方、信用の売り圧力はかなり弱まりました。きょうの日経平均は反発しました。ボリンジャーバンド+2σを上回れるかどうかが、次の注目点です。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Saturday, July 29, 2023

[2023/07/30]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、好決算銘柄が買われたことや、FOMCの結果が概ね市場の想定通りだったことで、株価指数は週間では上昇しました。

週間変動率 NYダウ:+0.66% NASDAQ:+2.02% S&P500:+1.01%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、改定された2024年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.80ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER20.9に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER15.2との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.80ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER55.6程度になるか、又は、日経平均が120,140円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は87,400円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、87,400円分魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは、拡大しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上を維持できるか否かに注目。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+8.9%となりました。3ヶ月前に比べて+0.1%改善しています。また、利益伸び率は+1.8%3ヶ月前に比べて+0.7%ポイント改善しています。

  米国の長期金利は上昇し、日米間の金利差は3.40から3.41に拡大したものの、ドル円は141円から138円の範囲でやや円高方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+0.61%上昇しました。

  OECDの日米の2024年の名目GDP伸び率は、日本が+2.96%で、米国は+3.40%と予想されていますので、この面では日本市場の方が0.44ポイント劣ります。

  73週は買い越しでした。74週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に5.8ポイント(日経平均に勘算すると1900円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に7.8ポイント(日経平均に勘算する2560円程度)割高です。

 

NYダウ対する日本市場の強さは、この週に拡大しました。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 13.3 と低下しました。 日経 VI は 週間で 18.6と低下しました。米国市場は、楽観的で、日本市場は、やや変動しやすいことを示唆しています。

 

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。日経平均の総合乖離率は+18.6%で、200日移動平均線との乖離率は+13.7%でした。3つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"青信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQ9日線・25日線・200日線の上にあります。短期的には"信号”で、中期的にも"信号”が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。

 

為替市場を分析すると、20231月より円安方向へ転換しています。今週は140円台から143円台が想定されます。

 

今週の米国では、米国の雇用統計と決算報告が中心となるでしょう。また、製造業受注、JOLTの求人倍率、ISM製造業・サービス業PMIも注目されます。その他の地域では、英国、オーストラリアの中央銀行が金融政策の方針を決定します。さらに、ユーロ圏の第2四半期GDP成長率とインフレ率にも注目が集まります。その他、中国が製造業・サービス業PMIを発表し、日本、ドイツ、ユーロ圏が失業率を発表します。

 

先週の日経平均は、想定レンジを下ぶれしました。上値は想定ラインを310円ほど下回り、下値は想定ラインを270円ほど下回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+2σ(現在33580円近辺)で、下値が25日線(現在32730円近辺)の間での動きが想定されます。

 

今週は米国の雇用統計と主要企業の四半期決算などに影響される週となりそうです。日経平均のボラティリティーはやや高いものの、目先は上昇の可能性が高そうです。


ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Friday, July 28, 2023

[2023/07/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

727日、NYDowNASDAQは下落しました。728日の日経平均先物は、前日430円安で寄り付くと、午前中は420円安から620円安の間でもみあい、午後は70円安から920円安の間で乱高下して、結局、150円安で取引を終了しました。日経平均の終値は131安の32759円で、出来高は24.56億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を5日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、急速に強まりました。

 

727日の米国市場では、米企業の業績改善への期待から買いが先行しましたが、米経済の底堅さを示す経済指標が相次いで発表されたことから、FRB7月会合を最後に利上げを停止するとの観測が後退し、次第に売りが優勢となりました。長期金利の上昇や、日銀がYCC(長短金利操作)の修正案を議論するとの報道も嫌気されました。結局、NYDow14営業日ぶりに反落し、NASDAQは続落しました。

728日の日本市場では、「日銀が金融政策決定会合でYCC運用の柔軟化を検討する」との報道や、円高ドル安が投資家心理の重石となり、幅広い銘柄に売りが先行しました。事前情報に即した会合の結果が伝わると、日経平均は急速に下げ渋りましたが、その後850円超下落するなど、不安定な値動きとなりました。大引けにかけては下げ渋り、日経平均は結局、131円安で引けました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+18.6%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+13.7%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-3.7ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1210円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+8.3ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が2720円ほど割高であることを示しています

 

日経VI18.59と低下し、VIX14.41と上昇しました。両指数ともに、不安心理の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.1、米国0.8と日本が5.3ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.77ポイント(日経平均換算で85620円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率2.4%増で、予想値の1.8%増を上回りました。また、46月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

6月の耐久財受注、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数、6月のISM非製造業景況指数、6月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の小売売上高、6月の鉱工業生産指数、6月の消費者物価指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比20.9万人増で、市場予想の24.0万人増を下回りました。一方、失業率は3.6%で、前月の3.7%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

6月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。また、7月の住宅市場指数は市場予想と一致しました。一方、6月の新築住宅販売件数数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数は予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比-1.7%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2023年内にあと2回の利上げをすると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で、8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、724 5.6122% 725 5.6189% 726 5.6272%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023726日に記録した5.6272%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.16PBR1.36となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+2.5%で、こちらは3か月前より0.7ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.3%となり、日経平均の割安幅は430円から90円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1040円から-90円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.42ポイントから3.45ポイントに拡大しましたが、ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

728日の米国市場では、6月の個人所得・個人消費支出や、PCE価格指数のほか、シェブロンやP&Gなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを310円ほど下回り、下値は想定ラインを600円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在33060円近辺)が上値の目安に、25日線-300円(現在32430円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経平均のボラティリティーはまだ高い状態です。また、信用の売り圧力は急激に強まりました。日経平均は乱高下しましたが、終値で25日線の上を維持しました。目先は、売り買いが交錯し、方向感に乏しい展開が続きそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Thursday, July 27, 2023

[2023/07/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

726日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。727日の日経平均先物は、前日110円安で寄り付くと、午前中は170円安から140円高と上昇に転じ、午後は120円高から330円高と上昇幅を拡げて、結局、320円高で取引を終了しました。日経平均の終値は222高の32891円で、出来高は13.37億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を4日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。

 

726日の米国市場では、FOMCを無難に通過したことや、パウエルFRB議長が記者会見で米景気の底堅さに言及したことなどが安心感につながり、株買いをさそいました。ただ、NYDowが既に12日続伸しているとあって、買い一巡後は利益確定の売りが出て相場の重石となりました。結局、NYDow13日続伸し、NASDAQ3営業日ぶりに反落しました。

727日の日本市場では、FOMC後の米国市場に大きな波乱がなかったことが安心感につながり、買いが優勢となりました。米株価指数先物やアジアの株価指数が上昇したことも追い風となりました。一方で、決算内容がさえないと受け止められた銘柄は売られました。日経平均は3日ぶりに反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線の上にあり、25日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。

総合乖離率は+20.2%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+14.3%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-4.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1320円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+8.1ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が2660円ほど割高であることを示しています

 

日経VI18.88と上昇し、VIX13.19と低下しました。日経VIは、不安心理の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.1、米国1.0と日本が5.1ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.70ポイント(日経平均換算で83390円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP確定値は前期比年率2.0%増で、改定値の1.3%増から上方修正されました。また、13月期の米企業の決算は、おおむね好調でした。

 

経済指標を見てみます。

7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数、6月のISM非製造業景況指数、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の小売売上高、6月の鉱工業生産指数、6月の消費者物価指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比20.9万人増で、市場予想の24.0万人増を下回りました。一方、失業率は3.6%で、前月の3.7%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

7月の住宅市場指数は市場予想と一致しました。一方、6月の新築住宅販売件数数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数、5月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比-1.7%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2023年内にあと2回の利上げをすると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で、8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、721 5.6128% 724 5.6122% 725 5.6189%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023725日に記録した5.6189%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.24PBR1.37となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+2.4%で、こちらは3か月前より1.2ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.3%となり、日経平均の割安幅は900円から430円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1080円から-430円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.44ポイントから3.42ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

727日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、ECB定例理事会およびラガルド総裁の会見、46月期のGDP速報値、6月の耐久財受注、6月の中古住宅販売仮契約指数のほか、マスターカードやマクドナルドなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを20円ほど下回り、下値は想定ラインを190円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ(現在33190円近辺)が上値の目安に、25日線-100円(現在32650円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力はかなり弱まっており、個別銘柄は買いが有利な展開が続いています。日経平均のボラティリティーはまだ高い状態ですが、日経平均は719日につけた高値を上回ったので、目先、ボリンジャーバンド+2σを目指す動きが期待できそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート