日経平均の予想: September 2018

Saturday, September 29, 2018

[2018/09/30]今週の日経平均の見通し

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、米中による追加関税発動が影響して、株価指数は方向感に乏しい動きでした。一方、中長期的には、米国政治の混乱FRBによる利上げ、欧州政治の混乱、欧州の銀行の信用力不足と信用収縮懸念中国など新興国の景気減速、貿易戦争などによる世界経済の減速懸念や、中東、朝鮮半島やウクライナの地政学的リスクに引き続き注意が必要です。

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2019年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が3.03ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER18.1に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER13.9との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
これは、現在の日経平均の価格に対して、2019年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.0%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER24.0程度になる(今期業績が下方修正されるか、又は、日経平均が41680円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は17560円ほど割安です。

[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大と一段の円安、
OECDによる日本の2019GDP予測値(現在+1.21%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、
   先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は住宅指標、四半期決算発表、9月のISM製造業景況指数、9月雇用統計が注目されそうです。NYDow25日線の上を維持できるか否かに注目したいと思います。
   日経225採用銘柄の今期予想増益率は4-6月期の決算発表に伴い、ROE予想値は9.2%3ヶ月前に比べて0.1ポイント改善しています。また、今期業績予想の利益伸び率は-4.2%3ヶ月前に比べて1.8ポイント改善しています。
   米国の長期金利は変わらず、日米の金利差は2.94から2.94%と変わらないものの、為替は112円台から113円台で円安方向の動きでした。
   OECDの日米の2019年の実質GDP伸び率予測が改定されて、日本が+1.2%で、米国は+2.8%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.6ポイント劣ります。
   93週は買い越しで、94週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち、①③⑤が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に0.3ポイント(日経平均に勘算すると70円程度)割安となっています。先週比割安幅が縮小しました。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+18.7%となり先週と比較してプラス幅が拡がりました。200日移動平均線乖離率は+7.3%でプラス幅が拡がりました。3つの要素がプラスですので中期トレンドは、"青信号"が点灯しています。
日経平均は、25日線と9日線の上にあります。短期的トレンドには"青信号"が点灯しています。

米国市場ではNY Dow200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaq200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。
短期的には黄信号"で、中期的には青信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると米企業業績の伸び悩み、米国の景気減速、原油相場の低迷、信用収縮に伴う金融市場混乱、世界的な長期金利低下傾向、北朝鮮の情勢、ハイイールド債市場の下落などの懸念は後退しているものの、米国の利上げ、米国政治の不透明感、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、中国など新興国の景気減速や貿易戦争に伴う世界経済減速懸念、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

中国の不動産価格は大都市では横ばいですが設備過剰など中国全体の不良債権問題は解消していません。処理を急ぐと目先の市場下落を招き、先延ばしすると景気後退が長引く懸念があります。

また、直近のLIBOR金利は上昇傾向で、ここ5年来の高値を更新し続け、世界全体の不良債務が増加を続けていることを暗示しており、金融不安再燃の可能性が意識されています。

一方、好材料としては米国の緩やかな利上げペースの可能性、トランプ新大統領の政策期待、日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と80兆の国債・6兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化やECBによる政策金利はマイナス金利と国債買い入れが維持されています。ただ、国債買い入れ枠は20174月から段階的に減額され、年末に終了する計画ですEUも金融正常化へ向かう方向です。

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期は上昇トレンドで、短期はもみあいです。日本市場は中期は上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです

先週の為替市場を分析すると、米国の長期金利は変わらず、日米長期金利差も変わらないものの、為替は週間では円安でした。今週は112円台から114円台が想定されます。こからは、テクニカル指標、米国市場動向、為替の動き、外国人投資家動向を注目する必要があります。


先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを370円ほど下回り、下値は想定ラインを270円ほど上回りました。今週の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+2σ+200(現在24380円近辺)で、下値はボリンジャーバンド+1σ(現在23610円近辺)の間での動き想定されます


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Friday, September 28, 2018

[2018/09/28]今後の日経平均の見通し

[市況]
927日、NYDowNASDAQは上昇しました。928日の日経平均先物は、前日比220円高で寄り付くと、午前中は190円高から430円高と上昇幅を拡げ、午後は460円高から230円高と上昇幅を縮めて、結局300円高で取引を終えました。日経平均の終値は323円高の24120円で、出来高は15.57億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状態です。

927日の米国市場では、アップルやアマゾンなど主力ハイテク株が買われ、相場の上昇を主導しました。8月の耐久財受注が前月比で市場予想以上に増加したことも支援材料となりました。
928日の日本市場では、前日の米国株高や、外国為替市場で円相場が年初来安値圏で推移したことなどが投資家心理を上向かせ、買いが優勢となりました。海外ヘッジファンドなどが日経平均先物に買いを入れたことも、現物株の上昇をさそいました。日経平均は一時、27年ぶりの高値をつけましたが、午後は利益確定の売りが上値を抑えました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあり、短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+18.7%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+7.3%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線と200日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.7ポイント縮小して-0.3ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より70円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.01ポイント(日経平均で17370円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の46月期のGDP確定値は前期比年率4.2%増で、改定値の4.2%増から変わりませんでした。また、46月期の米主要企業の決算は、概ね良好でした。

経済指標を見てみます。8月の耐久財受注、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月のミシガン大学消費者マインド指数、8月の鉱工業生産指数、8月のISM製造業景況指数、8月のISM非製造業景況指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、9月のニューヨーク連銀製造業景気指数、8月の小売売上高、7月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は83負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比20.1万人増で、市場予想の19.2万人増を上回りました。失業率は3.9%で、先月の3.9%と同水準でした。また、平均時給は+0.4%で、予想値の+0.2%を大きく上回りました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。8月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数、8月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。7月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+5.9%で、市場予想の6.3%を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

全世界的に景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。金利は上昇傾向ですが、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、924 2.3736% 925 2.3810% 926 2.3861%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018926日に記録した2.3861%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.9PBR1.29となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は-4.2%で、これは3か月前より1.8ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.9%となり、日経平均の割高幅は390円から440円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+70円 から+440円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面ではやや割安となっています。

日米の長期金利の差は2.93ポイントから2.93ポイントと横ばいですが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は縮小されて年内で終了予定です。EUも金融正常化へ向かう様子です。

928日の米国市場では、9月のシカゴ購買部協会景気指数などが注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを210円ほど上回り、下値は想定ラインを310円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+2σ (現在24180円近辺)、下値がボリンジャーバンド+1σ+200(現在23810円近辺)と想定されます。



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Thursday, September 27, 2018

[2018/09/27]今後の日経平均の見通し

[市況]
926日、NYDowNASDAQは下落しました。927日の日経平均先物は、前日比100円安で寄り付くと、午前中は110円安から90円高と上昇に転じ、午後は40円高から230円安と下げに転じて、結局170円安で取引を終えました。日経平均の終値は237円安の23796円で、出来高は13.91億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状態です。

926日の米国市場では、金融株を中心に売りが優勢となりました。FOMCでは今年3回目の利上げが決定されましたが、利上げ局面が終盤に差し掛かりつつあるとの見方から、長短期金利の利回り差が縮小し、利ざやが縮小するとの警戒感が強まりました。
927日の日本市場では、前日までの8連騰で日経平均が24000円台を回復していたことから、達成感に伴う売りが広がりました。米長期金利の低下や、円相場の上昇も重石となりました。日経平均は9営業日ぶりに反落しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあり、短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+14.9%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+6.0%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線と200日線の上にありますが、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.7ポイント拡大して-1.0ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より240円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.12ポイント(日経平均で17750円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の46月期のGDP改定値は前期比年率4.2%増で、速報値の4.1%増から上方修正されました。また、46月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標を見てみます。9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月のミシガン大学消費者マインド指数、8月の鉱工業生産指数、8月のISM製造業景況指数、8月のISM非製造業景況指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、9月のニューヨーク連銀製造業景気指数、8月の小売売上高、7月の製造業受注、7月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は74負で、景気面ではやや強気材料ですが、利上げしやすくなるという面ではやや弱気材料です。

米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比20.1万人増で、市場予想の19.2万人増を上回りました。失業率は3.9%で、先月の3.9%と同水準でした。また、平均時給は+0.4%で、予想値の+0.2%を大きく上回りました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。8月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、8月の新築住宅販売件数、8月の中古住宅販売件数、7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。7月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+5.9%で、市場予想の6.3%を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

全世界的に景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。金利は上昇傾向ですが、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、921 2.3726% 924 2.3736% 925 2.3810%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018925日に記録した2.3810%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.7PBR1.27となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は-4.1%で、これは3か月前より1.9ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.7%となり、日経平均の割高幅は430円から390円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+70円 から+430円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面ではやや割安となっています。

日米の長期金利の差は2.98ポイントから2.93ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は縮小されて年内で終了予定です。EUも金融正常化へ向かう様子です。

927日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、46月期のGDP確定値、8月の耐久財受注、8月の中古住宅販売仮契約指数のほか、アクセンチュア、マコーミックなどの四半期決算が注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲をやや下ぶれしました。上値は想定ラインを60円ほど下回り、下値は想定ラインの近辺で、30円ほど下回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+2σ-100 (現在23950円近辺)、下値がボリンジャーバンド+1σ+100(現在23610円近辺)と想定されます。



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Wednesday, September 26, 2018

[2018/09/26]今後の日経平均の見通し

[市況]
925日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。926日の日経平均先物は、前日比110円高で寄り付くと、午前中は80円高から220円高と上昇幅を拡げ、午後は190円高から290円高と上昇幅を拡げて、結局260円高で取引を終えました。日経平均の終値は93円高の24033円で、出来高は14.89億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状態ですが、買われ過ぎの水準です。

925日の米国市場では、長期金利の上昇や原油高を受けて朝方は買いが優勢でしたが、FOMCを間近に控えていることもあり、次第に利益確定の売りが広がりました。
926日の日本市場では、米国株に対する日本株の出遅れ感や、このところの円安ドル高傾向などが買いをさそいました。3月期決算企業などの配当権利落ちが相場を下押ししましたが、日経平均は高値引けとなり、終値で24000円を上回りました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあり、短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+18.4%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+7.0%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.2ポイント縮小して-0.3ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より70円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.04ポイント(日経平均で17730円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の46月期のGDP改定値は前期比年率4.2%増で、速報値の4.1%増から上方修正されました。また、46月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標を見てみます。9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月のミシガン大学消費者マインド指数、8月の鉱工業生産指数、8月のISM製造業景況指数、8月のISM非製造業景況指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、9月のニューヨーク連銀製造業景気指数、8月の小売売上高、7月の製造業受注、7月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は74負で、景気面ではやや強気材料ですが、利上げしやすくなるという面ではやや弱気材料です。

米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比20.1万人増で、市場予想の19.2万人増を上回りました。失業率は3.9%で、先月の3.9%と同水準でした。また、平均時給は+0.4%で、予想値の+0.2%を大きく上回りました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。8月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、8月の中古住宅販売件数、7月の中古住宅販売仮契約指数、7月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。7月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+5.9%で、市場予想の6.3%を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

全世界的に景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。金利は上昇傾向ですが、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、920 2.3663% 921 2.3726% 924 2.3736%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018924日に記録した2.3736%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.9PBR1.29となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は-4.2%で、これは3か月前より1.9ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.9%となり、日経平均の割高幅は150円から430円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+70円 から+430円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面ではやや割安となっています。

日米の長期金利の差は2.98ポイントから2.98ポイントと横ばいですが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は縮小されて年内で終了予定です。EUも金融正常化へ向かう様子です。

926日の米国市場では、FOMCやパウエルFRB議長の会見、8月の新築住宅販売件数などが注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを140円ほど下回り、下値は想定ラインを90円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+2σ+100 (現在24070円近辺)、下値がボリンジャーバンド+1σ+300(現在23740円近辺)と想定されます。



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