日経平均の予想: May 2019

Friday, May 31, 2019

[2019/05/31]今後の日経平均の見通し

[市況]
530日、NYDowNASDAQは上昇しました。531日の日経平均先物は、前日比120円安で寄り付くと、午前中は90円安から270円安の間でもみあい、午後は140円安から390円安と下げ幅を拡げて、結局390円安で取引を終えました。日経平均の終値は341円安の20601円で、出来高は14.39億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

530日の米国市場では、P&GJ&Jなどディフェンシブ銘柄を中心に買いが優勢となりました。NYDowは前日までの2日間で450ドルあまり下げており、押し目買いが入りやすい地合いでした。
531日の日本市場では、トランプ大統領が「メキシコからの全輸入品に5%の追加関税を課す」と表明したことから、通商摩擦の拡大が世界景気の減速をもたらすとの警戒感が広がり、リスク回避目的の売りが優勢となりました。外国為替市場で円高ドル安が進行したことや、中国の景況指数が悪化したことも重石となりました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-13.4%と前日よりマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-5.4%と前日よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.8ポイント拡大して-6.2ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1280円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.30ポイント(日経平均で12830円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率3.1%増で、速報値の3.2%から下方修正されました13月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、おおむね良好でした。

経済指標を見てみます。
5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景気指数、3月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、4月の耐久財受注、4月の鉱工業生産指数、4月の小売売上高、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は56負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比263000人増で、市場予想の185000人増を上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.8%から低下しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。
4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の新築住宅販売件数、4月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.7%で、市場予想の+2.5%を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示しています。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大するとしています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、524 2.5248% 528 2.5237% 529 2.5217%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向で、その後、上昇に転じています。直近では、世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER11.6PBR1.03となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+3.3%で、こちらは3か月前より7.0ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.5%となり、日経平均は160円の割高から110円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-110円 から+160円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.35ポイントから2.27ポイントに縮小しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

531日の米国市場では、4月の個人所得・個人支出などが注目されるでしょう。引き続き、米中貿易摩擦に関する報道も株式相場に影響を与えそうです。

今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを350円ほど下回り、下値は想定ラインを100円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ(現在20970円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ(現在20480円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Thursday, May 30, 2019

[2019/05/30]今後の日経平均の見通し

[市況]
529日、NYDowNASDAQは下落しました。530日の日経平均先物は、前日比50円安で寄り付くと、午前中は0円安から150円安と下げ幅を拡げ、午後は140円安から10円安と下げ幅を縮めて、結局20円安で取引を終えました。日経平均の終値は60円安の20942円で、出来高は11.13億株と低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

529日の米国市場では、中国がレアアースの対米輸出規制を示唆したことを受け、貿易をめぐる米中対立が激化するとの警戒感が強まり、幅広い銘柄が売られました。
530日の日本市場では、世界景気の減速懸念を背景に前日の米株式相場が下落したことから、リスク回避の売りが優勢となりました。ただ、午後に入ると、日銀によるETF買い観測や、個人投資家による見直し買いなどが支えとなり、指数は下げ幅を縮めました。日経平均は今日の高値で引けました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-9.0%と前日よりマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-3.9%と前日よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.5ポイント縮小して-4.4ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より920円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.25ポイント(日経平均で13040円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率3.2%増で、市場予想の2.5%増を上回りました13月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、今のところ、おおむね良好です。

経済指標を見てみます。
5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景気指数、3月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、4月の耐久財受注、4月の鉱工業生産指数、4月の小売売上高、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は56負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比263000人増で、市場予想の185000人増を上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.8%から低下しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。
4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数、3月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の新築住宅販売件数、4月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.7%で、市場予想の+2.5%を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示しています。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大するとしています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、523 2.5206% 524 2.5248% 528 2.5237%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向で、その後、上昇に転じています。直近では、世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER11.8PBR1.06となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+3.2%で、こちらは3か月前より6.9ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.8%となり、日経平均の割高幅は110円から160円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+100円 から+160円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.34ポイントから2.35ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

530日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、13月期のGDP改定値、4月の中古住宅販売仮契約指数などが注目されるでしょう。引き続き、米中貿易摩擦に関する報道も株式相場に影響を与えそうです。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを310円ほど下回り、下値は想定ラインの近辺で、30円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+200(現在21250円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ+200(現在20780円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Wednesday, May 29, 2019

[2019/05/29]今後の日経平均の見通し

[市況]
528日、NYDowNASDAQは下落しました。529日の日経平均先物は、前日比210円安で寄り付くと、午前中は170円安から350円安の間でもみあい、午後は210円安から280円安の間でもみあって、結局280円安で取引を終えました。日経平均の終値は256円安の21003円で、出来高は13.22億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

528の米国市場では、トランプ大統領が「米国は中国と取引する準備はできていない」と発言したことで、米中貿易摩擦が長引くとの見方が広がり、売りが優勢となりました。長期金利の低下も重石となりました。
529日の日本市場では、米中貿易摩擦の長期化が世界景気の減速をもたらすとの警戒感から、リスク回避の売りが優勢となりました。半導体や電子部品株が売られたほか、長期金利の低下を受けて金融株に売りが出たことも相場を下押ししました。日経平均は3営業日ぶりに反落しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-8.4%と前日よりマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-3.6%と前日よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下に抜けました。3つの要素すべてがマイナスとなり、中期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の下にあり、9日線を下回りました。

NYDowは、9日線と25日線の下にあり、200日線を下回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下に抜けました。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.7ポイント拡大して-4.9ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1030円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.24ポイント(日経平均で13020円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率3.2%増で、市場予想の2.5%増を上回りました13月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、今のところ、おおむね良好です。

経済指標を見てみます。5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景気指数、3月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、4月の耐久財受注、4月の鉱工業生産指数、4月の小売売上高、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は56負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比263000人増で、市場予想の185000人増を上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.8%から低下しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数、3月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の新築住宅販売件数、4月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.7%で、市場予想の+2.5%を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示しています。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大するとしています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、522 2.5247% 523 2.5206% 524 2.5248%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向で、その後、上昇に転じています。直近は世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER11.8PBR1.05となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.4ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+3.2%で、こちらは3か月前より7.0ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.5%となり、日経平均の割高幅は150円から110円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-270円 から+150円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.39ポイントから2.34ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

529日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、米中貿易摩擦に関する報道も株式相場に影響を与えそうです。

今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを410円ほど下回り、下値は想定ラインを110円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+200(現在21300円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ+200(現在20820円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Tuesday, May 28, 2019

[2019/05/28]今後の日経平均の見通し

[市況]
527日、NYDowNASDAQは休場でした。528日の日経平均先物は、前日比30円高で寄り付くと、午前中は10円安から90円高の間でもみあい、午後は90円高から30円高の間でもみあって、結局30円高で取引を終えました。日経平均の終値は77円高の21260円で、出来高は17.20億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

527日の米国は戦没者追悼記念日(メモリアルデー)の祝日で、米国市場は休場でした。
528日の日本市場では、前日の欧州市場でドイツやフランスの株価指数が上昇したことや、28日の上海市場が堅調に推移したことなどが投資家心理を上向かせ、買いが優勢となりました。ただ、新たな材料に乏しく、日米貿易交渉の先行きも見通しにくいことから、積極的に上値を追う動きは限定的でした。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-5.1%と前週末よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-2.5%と前週末よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の下にありますが、9日線の上にあります。

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.4ポイント縮小して-4.2ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より890円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.19ポイント(日経平均で13080円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率3.2%増で、市場予想の2.5%増を上回りました13月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、今のところ、おおむね良好です。

経済指標を見てみます。5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景気指数、3月の製造業受注、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方、4月の耐久財受注、4月の鉱工業生産指数、4月の小売売上高、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は56負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比263000人増で、市場予想の185000人増を上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.8%から低下しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数、3月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の新築住宅販売件数、4月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+3.0%で、市場予想の+3.2%を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示しています。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大するとしています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、522 2.5247% 523 2.5206% 524 2.5248%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向で、その後、上昇に転じています。直近は世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.0PBR1.06となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+3.3%で、こちらは3か月前より7.1ポイント改善されています。

[今後の見通し]
NYDowは休場でしたが、日経平均は上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.7%となり、日経平均の割高幅は130円から150円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-270円 から+130円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.39ポイントから2.39ポイントと横ばいでした。ドル円相場は小動きでした。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

528日の米国市場では、3月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数や、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数などが注目されそうです。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを50円ほど下回り、下値は想定ラインを220円ほど上回りました。目先は、25日線-100(現在21530円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-100(現在21040円近辺)が下値の目安になりそうです。



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