日経平均の予想

Monday, March 18, 2024

[2023/03/18]今後の日経平均の見通し

[市況]

315日、NYDowNASDAQは下落しました。318日の日経平均先物は、前日比310円高で寄り付くと、午前中は280円高から1020円高と上昇幅を拡げ、午後は900円高から1170円高と上昇幅を拡げて、結局、1130円高で取引を終了しました。日経平均の終値は1032円高の39740円で、出来高は18.49億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱まりました。

 

315日の米国市場では、ハイテク株を中心に売りが優勢となりました。週内に発表された米物価指標が相次いで市場予想を上回る伸びとなり、早期利下げ観測が後退したことから、長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が意識されました。NYDowは続落し、NASDAQ3日続落しました。

318日の日本市場では、「日銀が1819日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する」との日経新聞の報道を受け、日銀の金融政策の先行き不透明感が薄れたとの受け止めが広がり、海外勢を中心に見直し買いが膨らみました。外国為替市場の円安ドル高進行も追い風となりました。日経平均は大幅に反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から青信号に変わりました。

総合乖離率は+30.7%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+17.9%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にあり、9日線と25日線を上回りました。

 

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、200日線の上にありますが、9日線と25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から赤信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+6.2ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が2460円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+9.4ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が3740円ほど割高であることを示しています

 

日経VI20.23と前日より低下し、VIX14.41と前日よりやや上昇しました。日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.4と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.28ポイント(日経平均換算で103400円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率3.2%増で、速報値の3.3%増を下回りました。また、1012月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

2月の鉱工業生産、2月の消費者物価指数、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のISM製造業景況指数、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は39負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.5万人増で、市場予想の20.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.9%で、前月の3.7%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

1月の中古住宅販売件数、2月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数、1月の住宅着工件数は予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、FRB3月利下げに慎重な姿勢を示しています。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、長期金利の許容変動幅は、0.5%に据え置きつつも、1%までは柔軟に対応するという政策に変更されました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、313 5.5908% 314 5.5911% 315 5.5912%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.89PBR1.53となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+11.9%で、こちらは3か月前より2.7ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowが下落したにもかかわらず大幅に上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.9%となり、日経平均は300円の割安から720円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-300円から+720円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.50ポイントから3.54ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

318日の米国市場では、3月の住宅市場指数などが注目されるでしょう。また、原油価格や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを640円ほど上回り、下値は想定ラインを690円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+400円(現在40120円近辺)が上値の目安に、25日線+300円(現在39230円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っていますが、前日比で低下しました。また、信用の売り圧力は、かなり弱まりました。日経平均は、312日の安値を下回らずに反転しました。ボリンジャーバンド+2σ(現在40510円)に達するかどうかが、次の注目点です。



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Saturday, March 16, 2024

[2024/3/17]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、2月の消費者物価指数と生産者物価指数の上昇で、長期金利が上昇したことが重荷となり、株価指数は週間では下落しました。

週間変動率 NYダウ:-0.02, NASDAQ:-0.70%, S&P500:-0.13%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、2025年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.48ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER21.4に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER16.3との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.48ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER60.8程度になるか、又は、日経平均が144,130円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は105,420円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、105,420円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは拡大しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上に戻れるか否かに注目。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+9.1%となりました。3ヶ月前に比べて0.2ポイント改善しました。また、利益伸び率は+11.9%となりました。3ヶ月前に比べて+2.6%ポイント改善しています。

  米国の長期金利は上昇し、日米間の金利差は3.35から3.54,縮小して、ドル円は146円から149円の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+0.69%上昇しました。

  OECDの日米の2025年の名目GDP伸び率は、日本が+3.4%で、米国は+3.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が0.5ポイント劣ります。

  3月第1週は買い越しで、3月第2週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に3.3ポイント(日経平均に勘算すると1280円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に6.5ポイント(日経平均に勘算する2520円程度)割高です。

 

米国市場に対して日本市場は割高に転換しました。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 14.4 と低下しました。 日経 VI は 週間で 20.3と低下しました。米国市場は楽観的で日本市場は一休みです。

 

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。日経平均の総合乖離率は+22.8%で、200日移動平均線との乖離率は+15.0%でした。3つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"青信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDow200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の上に在ります。

NASDAQも、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には"信号”で、中期的には"信号”が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。

日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。

 

為替市場を分析すると、202311月以来の150円台となっています。今週は148台から150台が想定されます。

 

今週の米国市場では、FOMCの経済予測や、今後の金利予想が発表されます。また、製造業・サービス業PMI、建築許可件数、住宅着工件数、中古住宅販売件数などの指標が発表されます。国際的には、日本、英国、オーストラリアの金利決定が注目されます。また、日本のインフレ率や日本、ユーロ圏、英国の製造業およびサービス業PMI、さらに、中国の鉱工業生産、小売売上高、失業率、固定資産投資、プライムレートも注目されます。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内を下振れしました。上値は想定ラインを470円ほど下回り、下値は想定ラインを310円ほど下回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在39690円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-1σ(現在37950円近辺)の間での動きが想定されます。

 

今週は日・米の金融政策に影響されそうですが、米長期金利上昇傾向が続けば、円安と米国株安で、日経平均は大きく動きづらい展開が続きそうです。


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Friday, March 15, 2024

[2023/03/15]今後の日経平均の見通し

[市況]

314日、NYDowNASDAQは下落しました。315日の日経平均先物は、前日比320円安で寄り付くと、午前中は350円安から30円安と下落幅を縮め、午後は10円安から250円安の間で上下して、結局、200円安で取引を終了しました。日経平均の終値は99円安の38707円で、出来高は23.69億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。

 

314日の米国市場では、朝方発表の2月の生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回り、長期金利が上昇したことから、株式の相対的な割高感が意識され、売りが優勢となりました。また、2月の小売売上高が市場予想を下回ったことも、景気の先行きに対する懸念につながりました。NYDow4営業日ぶりに反落し、NASDAQは続落しました。

315日の日本市場では、前日の米株式市場で主要3指数がそろって下落した流れが引き継がれ、半導体関連株を中心に売りが先行しました。ただ、外国為替市場の円安ドル高進行や、日本株の根強い先高観が支えとなり、売り一巡後は下げ渋る展開となりました。日経平均は後場には上昇に転じる場面もありましたが、勢いは続かず、結局は反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線の下にあり、25日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。

総合乖離率は+22.8%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+15.0%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は+2.1ポイントで、日経平均が810円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+5.9ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が2280円ほど割高であることを示しています

 

日経VI21.37と前日より低下し、VIX14.40と前日より上昇しました。日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.3、米国-0.5と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.38ポイント(日経平均換算で97510円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率3.2%増で、速報値の3.3%増を下回りました。また、1012月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

2月の消費者物価指数、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、2月の小売売上高、2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のISM製造業景況指数、2月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月の耐久財受注、1月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は39負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.5万人増で、市場予想の20.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.9%で、前月の3.7%から上昇しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

1月の中古住宅販売件数、2月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数、1月の住宅着工件数は予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、FRB3月利下げに慎重な姿勢を示しています。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、長期金利の許容変動幅は、0.5%に据え置きつつも、1%までは柔軟に対応するという政策に変更されました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、311 5.5765% 312 5.5867% 313 5.5908%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.34PBR1.48となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+11.7%で、こちらは3か月前より2.6ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.8%となり、日経平均の割安幅70円から300円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-300円から+650円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.43ポイントから3.50ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

315日の米国市場では、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数や、2月の鉱工業生産指数、3月のミシガン大学消費者態度指数などが注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを410円ほど下回り、下値は想定ラインを100円ほど上回りました。目先は、25日線+200円(現在39020円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+100円(現在38050円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っていますが、前日比で低下しました。また、信用の売り圧力は弱い状態です。引き続き、日経平均が312日の安値(38271円)を下回るかどうかが、目先の注目点です。



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Thursday, March 14, 2024

[2023/03/14]今後の日経平均の見通し

[市況]

313日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。314日の日経平均先物は、前日終値と同値で寄り付くと、午前中は170円安から120円高と上昇に転じ、午後は20円高から270円高と上昇幅を拡げて、結局、240円高で取引を終了しました。日経平均の終値は111円高の38807円で、出来高は16.60億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。

 

313日の米国市場では、米経済がソフトランディングに向かうとの観測から、スリーエムやキャタピラー、ナイキなど相対的に出遅れていた景気敏感株の一角に買いが入りました。一方、長期金利の上昇が重石となり、ハイテク株を中心に売りが出ました。NYDowは小幅に3日続伸し、NASDAQは反落しました。

314日の日本市場では、前日の米ハイテク株安を背景に、運用リスクを回避する動きが先行しました。ただ、売り一巡後は、自律反発を見込んだ買いが優勢となり、相場を押し上げました。米株価指数先物が堅調に推移したことも追い風となりました。結局、日経平均は4営業日ぶりに反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。

総合乖離率は+24.2%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+15.5%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+2.1ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が810円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+6.0ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が2330円ほど割高であることを示しています

 

日経VI21.47と前日より低下し、VIX13.75と前日より低下しました。日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.3、米国-0.5と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.30ポイント(日経平均換算で92240円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率3.2%増で、速報値の3.3%増を下回りました。また、1012月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

2月の消費者物価指数、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のISM製造業景況指数、2月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月の耐久財受注、1月の鉱工業生産指数、1月の小売売上高は市場予想を下回りました。経済指標は39負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.5万人増で、市場予想の20.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.9%で、前月の3.7%から上昇しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

1月の中古住宅販売件数、2月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数、1月の住宅着工件数は予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、FRB3月利下げに慎重な姿勢を示しています。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、長期金利の許容変動幅は、0.5%に据え置きつつも、1%までは柔軟に対応するという政策に変更されました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、38 5.5824% 311 5.5765% 312 5.5867%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.37PBR1.48となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+11.5%で、こちらは3か月前より2.6ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.2%となり、日経平均の割安幅130円から70円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-130円から+1450円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.39ポイントから3.43ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

314日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数、2月の小売売上高、2月の生産者物価指数(PPI)のほか、アドビ、ダラー・ゼネラル、レナーなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを270円ほど下回り、下値は想定ラインを90円ほど上回りました。目先は、25日線+400円(現在39110円近辺)が上値の目安に、25日線-400円(現在38310円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。また、信用の売り圧力は弱まりました。引き続き、日経平均が312日の安値(38271円)を下回るかどうかが、目先の注目点です。



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