日経平均の予想: October 2016

Monday, October 31, 2016

[2016/10/31]今後の日経平均の見通し

[市況]
28日のNYDowNASDAQは下落しました。31日の日経平均先物は、前日比100円安で寄り付き、午前中は30円安から140円安の範囲でもみ合う動きでした。午後は10円安まで下げ幅を縮める場面が有り、結局20円安で取引を終わりました。日経平均の終値は21円安の17425円で、出来高は22.42億株と比較的高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は130万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はプラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
28
日の米国市場では、7-9月期のGDP速報値が予想を上回り買いが先行しましたが、午後に米大統領選の民主党候補、ヒラリー・クリントン氏の国務長官時代の私用メール問題を巡って、FBIが再調査すると伝わり、売り優勢に変わりました。
31日の日本市場では、先週的の米国市場安と円高を受けて売りが先行しました。その後も利益確定売りに押される場面がありましたが、取引終了にかけては徐々に下げ渋る展開となりました。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+11.9%でプラス幅が縮小しました。200日線との乖離率は+5.0%でプラス幅が縮小しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の上に在ります。
NYDowは、200日線の上に在りますが、25日線の下に在り、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、割安幅は0.5ポイント縮小して、中長期的には日本市場は0.2ポイント(日経平均で 30円程度)割安(弱い動き)となっています。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2017年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.9ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ 1.26ポイント(日経平均で 3980円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱や商品市場の下落などの金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の7-9月期のGDP確報値は0.5%となり、市場予想の0.3%を上回りました。7-9月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。
経済指標では、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、9月のISM非製造業景況指数、8月の製造業受注、9月のISM製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回り、9月の小売売上高は予想並みながら8月から改善しましたが、9月の耐久財受注、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月の鉱工業生産、10月のNY連銀製造業景気指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数は予想以下でした。65負で景気面で強気材料ですが利上げし易くなる点では弱気材料です。
9月の雇用統計は就業者数が前月比15.6万人増で、市場予測の17.6万人増を下回りました。失業率は先月の4.9%から5.0%と悪化しました。景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしづらい点ではやや強気材料です。
一方、住宅関連では、9月の中古住宅販売仮契約数、9月の中古住宅販売件数は予想を上回りましたが、10月の住宅市場指数は予想並みながら低調で、9月の新築住宅販売件数、9月の住宅着工件数は予想以下でした。また、8月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.1%で、市場予想の+5.0%を上回りました。33負で景気面では中立です。
全世界的に、緊縮財政と需要不足から世界景気は減速しています。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうで、大規模な財政出動は難しそうです。長期金利の低下傾向やデフレ圧力は長引きそうです。
このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、さらに国債の買い取りを含む量的緩和に踏み込んでいます。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続するなどの金融緩和策が採られています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、1026 0.8903% 1027 0.8873% 1028 0.8859% となっています。一昨年5月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、一昨年5月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を上回ってきましたので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準です。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、再び上昇しています。ここ5年の最高金利は20161026日の0.8903%です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.8で、PBR1.21となっています。7-9月期の決算発表に伴い、予想ROE8.2%で、企業の今期収益力の見通しは3ヶ月前と比べて0.1ポイント改善しています。一方、今期予想利益の伸率は+4.1%3ヶ月前と比べて3.5ポイント悪化しています。円高の影響が表れています。

[今後の見通し]
日経平均は、先週末のNYDowの下落に連動して下げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.7となり、日経平均は290円の割高で、割高幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+150円 ~+350円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場に比べ、強い動きが続いていますが、今日は強い動きが加速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルにはかなり割安ですが、テクニカルにはほぼ均衡しています。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は1.90と縮小し、ドル円は円高方向の動きでした。直近の米長期金利は低下して、円高圧力が強まりました。
テクニカルから見て、米国市場は中期もみ合いで、短期は下降トレンドです。一方、日経平均は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
ファンダメンタル面では、LIBOR銀行間金利が、ここ5年来の最高値を引き続き更新しています。英国のEU離脱決定後に一時低下しましたが再び上昇傾向です。まだ金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。また、上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。北京と上海の不動産価格は上昇しているものの、引き続き国有企業・中国地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。各国の長期金利の低下や原油の低迷など世界景気の減速懸念は払拭されない中、米国市場では、目先の雇用関連以外の経済指標はまちまちながら、米景気は今後も改善すると判断して、昨年12月に利上げが実施されました。ただ、その後の追加利上げは見送られ、利上げピッチは緩やかになりそうです。対ドルで円高要因です。一方、欧州市場では景気が低迷しており、ECBは量的緩和やマイナス金利幅を拡大しています。このような相場環境の中、31日の米国市場では、9月の個人所得・支出、10月のシカゴ購買部協会景気指数やウィリアムズ・カンパニーズ、ネクステラ・エナジー、ロウズなどの四半期決算が注目されそうです。

今日の日経平均は、ほぼ想定範囲内の動きでした。上値は想定ラインでを220円ほど下回りましたが、下値は想定ライン近辺で、20円ほど下回る程度でした。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+2σ円(現在17550円近辺)で、下値がボリンジャーバンド+1σ(現在17250円近辺)の間での動きが想定されます。


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Saturday, October 29, 2016

[2016/10/30]今週の日経平均の見通し

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、原油安と長期金利の上昇が嫌気されて、売りが優勢となりました。一方、中長期的には、ドイツ銀行始め欧州の銀行の信用力不足、中国など新興国の景気減速、FRBの利上げ、原油相場低迷などによる世界経済の減速懸念と信用収縮懸念や、中東やウクライナの地政学的リスクに引き続き注意が必要です。
2017年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は、2017年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が1.25ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER17.9に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER14.8との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、現在の日経平均の価格に対して、2017年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに1.3%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER18.1程度になる(今期業績が下方修正されるか、又は、日経平均が21400円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は3950円ほど割安です。

[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大と一段の円安、
OECDによる日本の2017GDP予測値(現在+0.4%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、
   先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaq200日線の上に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。今週はISM製造業景況指数、FOMC結果、10月の雇用統計、四半期決算発表が注目されそうです。NYDowが一目均衡表の雲の上に戻れるか否かに注目したいと思います。
   日経225採用銘柄の今期予想増益率は4-6月期の決算発表に伴い、ROE予想値は8.2%3ヶ月前に比べて0.1ポイント改善しています。また、今期業績予想の伸び率は+4.1%3ヶ月前に比べて3.2ポイント減速しています。円高の影響が現れています。
   米国の長期金利は上昇して、日米の金利差は1.80から1.91%と拡大し、為替は103円台から105円台で円安方向の動きでした。今週は103円台から105円台が想定されます。
   OECDの日米の2017年の実質GDPは、日本が+0.4%で、米国は+2.2%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.8ポイント劣ります。
   103週は買い越しで、104週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち③⑤が強気材料でした。今週は、①③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に0.1ポイント(日経平均に勘算すると20円程度)割安となっています。先週比割安幅が3.5ポイント縮小しました。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+12.6%となり先週と比較してプラス幅が拡大しました。200日移動平均線乖離率は+5.1%となりプラス幅が拡大しました。3つの要素がプラスですので中期トレンドは、"青信号"が点灯しています。日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期的トレンドは"青信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dow200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaq200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には赤信号"で、中期的には黄信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると、米国の景気減速、原油相場の低迷、ハイイールド債市場の下落、英国のEU離脱に伴う金融市場混乱、などの懸念は後退しているものの、米国の利上げ、EU圏の銀行の信用力不足、世界的な長期金利低下傾向、中国など新興国の景気減速に伴う世界経済減速懸念、米企業業績の伸び悩み、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。中国の不動産価格は大都市では上昇しているものの設備過剰など中国全体の不良債権問題は解消していません。処理を急ぐと目先の市場下落を招き、先延ばしすると景気後退が長引く懸念があります。また、直近のLIBOR金利がここ5年来の高値を更新しており金融不安再燃の可能性が意識されています。一方、好材料としては米国の緩やかな利上げペースの可能性、日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と80兆の国債・6兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化の新政策の追加ECBによる政策金利のマイナス金利と毎月800億ユーロの国債購入など異次元の金融緩和措置維持、中国など新興国の金利低下傾向が挙げられます。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみ合いで、短期は下降トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
目先の日本市場の状況を分析すると、米国の長期金利は上昇して、日米長期金利差は拡大し、為替は週間では円安方向の動きとなりました。こからも、米国市場動向、為替の動き、外国人投資家動向を注目する必要があります。

先週の日経平均は、ほぼ想定レンジ内の動きでした。上値は想定ライン近辺で60円上回る程度でしたが、下値は想定ラインを370円ほど上回りまし。今週の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+2σ(現在17490円近辺)で、下値が25日線(現在16920円近辺)の間での動き想定されます目先はクリントン大統領候補のメール問題再燃の影響が大きそうですが、引き続き、米国の長期金利上昇傾向が継続するか否かもカギとなりそうです。


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Friday, October 28, 2016

[2016/10/28]今後の日経平均の見通し

[市況]
27日のNYDowNASDAQは下落しました。28日の日経平均先物は、前日比100円高で寄り付き、午前中は120円高から60円高の範囲でもみ合う動きでした。午後も110円高から60円高の範囲でもみ合う動きとなり、結局110円高で取引を終わりました。日経平均の終値は109円高の17446円で、出来高は26.28億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は520万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はプラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
27
日の米国市場では、米主要企業の7-9月期決算が「総じて良好」と捉えられて買いが優勢となる場面がありましたが、長期金利の上昇が嫌気されて売り優勢で終了しました。
28日の日本市場では、米国市場安ながら円安で買いが先行しました。その後も、買い優勢が続き、半年ぶりの高値を回復しました。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+12.6%でプラス幅が縮小しました。200日線との乖離率は+5.1%でプラス幅が縮小しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の上に在ります。
NYDowは、200日線、9日線の上に在りますが、25日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは、200日線の上に在りますが、25日線の下に在り、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の中に入りました。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、割安幅は1.5ポイント縮小して、中長期的には日本市場は0.7ポイント(日経平均で 120円程度)割安(弱い動き)となっています。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2017年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.9ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ 1.28ポイント(日経平均で 4060円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱や商品市場の下落などの金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の4-6月期のGDP確報値は1.4%となり、改定値の1.1%を上回りました。7-9月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。
経済指標では、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、9月のISM非製造業景況指数、8月の製造業受注、9月のISM製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回り、9月の小売売上高は予想並みながら8月から改善しましたが、9月の耐久財受注、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月の鉱工業生産、10月のNY連銀製造業景気指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数は予想以下でした。65負で景気面で強気材料ですが利上げし易くなる点では弱気材料です。
9月の雇用統計は就業者数が前月比15.6万人増で、市場予測の17.6万人増を下回りました。失業率は先月の4.9%から5.0%と悪化しました。景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしづらい点ではやや強気材料です。
一方、住宅関連では、9月の中古住宅販売仮契約数、9月の中古住宅販売件数は予想を上回りましたが、10月の住宅市場指数は予想並みながら低調で、9月の新築住宅販売件数、9月の住宅着工件数は予想以下でした。また、8月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.1%で、市場予想の+5.0%を上回りました。33負で景気面では中立です。
全世界的に、緊縮財政と需要不足から世界景気は減速しています。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうで、大規模な財政出動は難しそうです。長期金利の低下傾向やデフレ圧力は長引きそうです。
このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、さらに国債の買い取りを含む量的緩和に踏み込んでいます。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続するなどの金融緩和策が採られています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、1024 0.8837% 1025 0.8856% 1026 0.8903% となっています。一昨年5月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、一昨年5月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を上回ってきましたので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準です。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、再び上昇しています。ここ5年の最高金利は20161026日の0.8903%です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.8で、PBR1.22となっています。7-9月期の決算発表に伴い、予想ROE8.2%で、企業の今期収益力の見通しは3ヶ月前と比べて0.1ポイント改善しています。一方、今期予想利益の伸率は+4.4%3ヶ月前と比べて3.2ポイント悪化しています。円高の影響が表れています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落にも拘わらず上げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.3となり、日経平均は220円の割高で、割高幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+150円 ~+350円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場に比べ、強い動きが続いていますが、今日は強い動きが減速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルにはかなり割安で、テクニカルにもやや割安です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は1.92と拡大し、ドル円は円安方向の動きでした。直近の米長期金利は上昇して、円安圧力が強まりました。
テクニカルから見て、米国市場は中期もみ合いで、短期ももみ合いです。一方、日経平均は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
ファンダメンタル面では、LIBOR銀行間金利が、ここ5年来の最高値を引き続き更新しています。英国のEU離脱決定後に一時低下しましたが再び上昇傾向です。まだ金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。また、上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。北京と上海の不動産価格は上昇しているものの、引き続き国有企業・中国地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。各国の長期金利の低下や原油の低迷など世界景気の減速懸念は払拭されない中、米国市場では、目先の雇用関連以外の経済指標はまちまちながら、米景気は今後も改善すると判断して、昨年12月に利上げが実施されました。ただ、その後の追加利上げは見送られ、利上げピッチは緩やかになりそうです。対ドルで円高要因です。一方、欧州市場では景気が低迷しており、ECBは量的緩和やマイナス金利幅を拡大しています。このような相場環境の中、28日の米国市場では、7-9月期のGDP速報値やエクソンモービル、ベリサイン、アフラック、マスターカードなどの四半期決算が注目されそうです。

今日の日経平均は、想定範囲内の動きでした。上値は想定ラインでを140円ほど下回り、下値は想定ラインを200円ほど上回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+2σ+100(現在17590円近辺)で、下値がボリンジャーバンド+1σ+100(現在17310円近辺)の間での動きが想定されます。


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