日経平均の予想: May 2017

Wednesday, May 31, 2017

[2017/05/31]今後の日経平均の見通し

[市況]
30日のNYDowNASDAQは下落しました。31日の日経平均先物は、前日比40円安で寄り付くと、午前中は90円安から10円高と上昇に転じ、午後は10円高から60円安とマイナス圏に戻して、結局は10円安で取引を終わりました。日経平均の終値は27円安の19650で、出来高は20.19億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は270万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はマイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、やや「売り」が有利な状況です。

30日の米国市場では、長期金利が低下したうえ、原油相場が反落したことで、売りが優勢となりました。ただ、大型ハイテク株の一角が底堅く推移し、下値も限られました。
31日の日本市場では、円相場の上昇や、米景気減速に対する懸念が重石となり、売りが優勢となりました。ただ、米雇用統計の発表を間近に控えていることもあり、様子見ムードが支配的で、下値も限定的でした。

 [テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。総合乖離率は+9.2%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+7.0%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線、25日線、200日線の上にあります。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、中長期的には日本市場が4.0ポイント(日経平均で790円程度)割安であることを示しています。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、昨年11月末に更新されたOECD2018年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.2ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ1.91ポイント(日経平均で7180円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ大統領選出の金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。

米国の1-3月期のGDP改定値1.2%となり、速報値の0.7%増から上方修正されました。1-3月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標では、4月の耐久財受注、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、4月の鉱工業生産、5月のミシガン大学消費者マインド指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りましたが、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月のNY連銀製造業景気指数、4月の小売売上高、3月の製造業受注、4月のISM製造業景況指数は予想を下回りました。65負で景気面ではやや強気材料ですが、利上げし易い点では弱気材料です。

4月の雇用統計は就業者数が前月比21.1万人増で、市場予測の18.5万人増を上回り、失業率は先月の4.5%から4.4%に低下しました。景気面では強気材料ですが、利上げし易い点では弱気材料です。

一方、住宅関連では、3月の中古住宅販売仮契約数は予想を上回りましたが、4の中古住宅販売件数、4月の新築住宅販売件数、4月の住宅着工件数、4月の住宅市場指数は予想以下でした。また、3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.9%で、市場予想の+5.7%を上回りました。24負で景気面では弱気材料です。

全世界的に、景気は持ち直しつつあるようです。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうですが、ここにきて先進国は大規模な財政出動容認に変わりつつあり、景気回復と長期金利上昇傾向に変わる気配が出てきました。

このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持していますが、20174月から800億ユーロから600億ユーロ規模に減額する予定です。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続し、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化するなどの金融緩和策が継続されています。

金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、0524 1.1976 0525 1.2003 0526 1.2017 となっています。

20155月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、20155月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を大きく上回っていますので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準が続いています。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、再び上昇しています。ここ5年の最高金利は20170526日の1.2017%です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.0PBR1.26となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、3ヶ月前より0.9ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+8.1%で、3ヶ月前より0.4ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYダウの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.7%となり、日経平均の割高幅は110円から130円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+50円 から+210円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場より強い動きとなっており、今日は強い動きが加速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルにはかなり割安で、テクニカルにも割安です。

日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。長期金利差は2.22ポイントから2.18ポイントに縮小し、ドル円は円高方向に推移しました。直近の米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。

テクニカルから見て、米国市場は短期的に上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利が、ここ5年来の最高値を更新して上昇しています。金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国市場では、目先の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断して、追加利上げが予想されます。対ドルで円安要因です。
一方、欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されています。

このような相場環境の中、31日の米国市場では、5月のシカゴ購買部協会景気指数、ベージュブックやHPの四半期決算が注目されそうです。

今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを120円ほど下回り、下値は想定ラインの近辺で、20円ほど下回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ-100(現在19800円近辺)で、下値が25日線-100(現在19510円近辺)の間での動きが想定されます。



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Tuesday, May 30, 2017

[2017/05/30]今後の日経平均の見通し

[市況]
29日のNYDowNASDAQは休場でした。30日の日経平均先物は、前日比10円高で寄り付くと、午前中は20円高から120円安と下げに転じ、午後には100円安から10円高とプラス圏に戻しましたが、結局は10円安で取引を終わりました。日経平均の終値は4円安の19677で、出来高は13.26億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は50万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はマイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状況です。

29日の米国はメモリアルデーの休日で、米国市場は休場でした。
30日の日本市場では、欧州情勢の不透明感が意識され、売りが先行しました。しかし午後に入ると円相場の上昇が一服し、下げ幅を縮める展開となりました。日銀によるETF買いへの期待感も支援材料となりました。

 [テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。総合乖離率は+10.0%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+7.3%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線、25日線、200日線の上にあります。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、中長期的には日本市場が3.9ポイント(日経平均で770円程度)割安であることを示しています。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、昨年11月末に更新されたOECD2018年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.2ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ1.95ポイント(日経平均で7420円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ大統領選出の金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。

米国の1-3月期のGDP改定値1.2%となり、速報値の0.7%増から上方修正されました。1-3月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標では、4月の耐久財受注、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、4月の鉱工業生産、5月のミシガン大学消費者マインド指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りましたが、5月のNY連銀製造業景気指数、4月の小売売上高、3月の製造業受注、4月のISM製造業景況指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は予想を下回りました。65負で景気面ではやや強気材料ですが、利上げし易い点では弱気材料です。

4月の雇用統計は就業者数が前月比21.1万人増で、市場予測の18.5万人増を上回り、失業率は先月の4.5%から4.4%に低下しました。景気面では強気材料ですが、利上げし易い点では弱気材料です。

一方、住宅関連では、3月の中古住宅販売仮契約数は予想を上回りましたが、4の中古住宅販売件数、4月の新築住宅販売件数、4月の住宅着工件数、4月の住宅市場指数は予想以下でした。また、2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.9%で、市場予想の+5.7%を上回りました。24負で景気面では弱気材料です。

全世界的に、景気は持ち直しつつあるようです。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうですが、ここにきて先進国は大規模な財政出動容認に変わりつつあり、景気回復と長期金利上昇傾向に変わる気配が出てきました。

このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持していますが、20174月から800億ユーロから600億ユーロ規模に減額する予定です。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続し、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化するなどの金融緩和策が継続されています。

金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、0524 1.1976 0525 1.2003 0526 1.2017 となっています。

20155月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、20155月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を大きく上回っていますので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準が続いています。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、再び上昇しています。ここ5年の最高金利は20170526日の1.2017%です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.1PBR1.25となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、3ヶ月前より0.8ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+8.0%で、3ヶ月前より0.3ポイント改善されています。

[今後の見通し]
米国市場は休場でしたが、日経平均は下落しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.6%となり、日経平均の割高幅は50円から110円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+50円 から+210円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場より強い動きとなっており、今日は強い動きが加速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルにはかなり割安で、テクニカルにも割安です。

日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。長期金利差は2.22ポイントのままですが、ドル円は円高方向に推移しました。直近の米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。

テクニカルから見て、米国市場は短期的に上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利が、ここ5年来の最高値を更新して上昇しています。金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国市場では、目先の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断して、追加利上げが予想されます。対ドルで円安要因です。
一方、欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されています。

このような相場環境の中、30日の米国市場では、3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、5月のCB消費者信頼感指数が注目されそうです。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインにあと20円というところまで接近し、下値は想定ラインとほぼ一致しました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ-100(現在19810円近辺)で、下値が25日線(現在19570円近辺)の間での動きが想定されます。



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Monday, May 29, 2017

[2017/05/29]今後の日経平均の見通し

[市況]
26日のNYDowは小幅下落し、NASDAQは小幅上昇しました。29日の日経平均先物は、前日比10円安で寄り付くと、午前中は90円安から30円高と上昇に転じ、午後は20円高から30円安の間でもみあって、結局30円安で取引を終わりました。日経平均の終値は4円安の19682で、出来高は12.75億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は10万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はマイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、やや「売り」が有利な状況です。

26日の米国市場では、前日までの6日続伸の反動で、目先の利益確定売りがやや優勢でした。ただ、1月~3月期のGDP改定値が1.2%増と速報値の0.7%増から上方修正されたことが好感され、相場を支えました。
29日の日本市場は、寄り付き直後こそ北朝鮮のミサイル発射報道を受けて売りに押されましたが、ほどなく持ち直しました。その後は、海外の主要市場が休場とあって市場参加者が少ないこともあり、方向感に乏しい展開となりました。

 [テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。総合乖離率は+10.4%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+7.4%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線、25日線、200日線の上にあります。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、中長期的には日本市場が3.9ポイント(日経平均で770円程度)割安であることを示しています。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、昨年11月末に更新されたOECD2018年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.2ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ1.95ポイント(日経平均で7420円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ大統領選出の金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の1-3月期のGDP改定値1.2%となり、速報値の0.7%増から上方修正されました。1-3月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。
経済指標では、4月の耐久財受注、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、4月の鉱工業生産、5月のミシガン大学消費者マインド指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りましたが、5月のNY連銀製造業景気指数、4月の小売売上高、3月の製造業受注、4月のISM製造業景況指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は予想を下回りました。65負で景気面ではやや強気材料ですが、利上げし易い点では弱気材料です。
4月の雇用統計は就業者数が前月比21.1万人増で、市場予測の18.5万人増を上回り、失業率は先月の4.5%から4.4%に低下しました。景気面では強気材料ですが、利上げし易い点では弱気材料です。
一方、住宅関連では、3月の中古住宅販売仮契約数は予想を上回りましたが、4の中古住宅販売件数、4月の新築住宅販売件数、4月の住宅着工件数、4月の住宅市場指数は予想以下でした。また、2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.9%で、市場予想の+5.7%を上回りました。24負で景気面では弱気材料です。
全世界的に、景気は持ち直しつつあるようです。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうですが、ここにきて先進国は大規模な財政出動容認に変わりつつあり、景気回復と長期金利上昇傾向に変わる気配が出てきました。
このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持していますが、20174月から800億ユーロから600億ユーロ規模に減額する予定です。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続し、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化するなどの金融緩和策が継続されています。

金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、0524 1.1976 0525 1.2003 0526 1.2017 となっています。
20155月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、20155月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を大きく上回っていますので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準が続いています。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、再び上昇しています。ここ5年の最高金利は20170526日の1.2017%です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.1PBR1.25となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、3ヶ月前より0.9ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+8.1%で、3ヶ月前より0.3ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.3%となり、日経平均の割高幅は60円から50円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+50円 から+280円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場より強い動きとなっていますが、今日は強い動きが減速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルにはかなり割安で、テクニカルにも割安です。

日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。長期金利差は2.22ポイントのままですが、ドル円は円高方向に推移しました。直近の米国の長期金利は変わらずでした。

テクニカルから見て、米国市場は短期的に上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利が、ここ5年来の最高値を更新して上昇しています。金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国市場では、目先の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断して、追加利上げが予想されます。対ドルで円安要因です。
一方、欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されています。

このような相場環境の中、29日の米国市場は、メモリアルデーで休場です。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを90円ほど下回り、下値は想定ラインとほぼ一致しました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ-200(現在19730円近辺)で、下値が25日線(現在19520円近辺)の間での動きが想定されます。



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