日経平均の予想: March 2024

Saturday, March 30, 2024

[2024/3/31]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、3連休を控え薄商いとなるなかで、方向感を欠く展開が続きましたが、NYダウとS&P500は史上最高値を更新しました、株価指数は週間ではまちまちでした。

週間変動率 NYダウ:+0.84%, NASDAQ:-0.30%, S&P500:+0.39%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、2025年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.20ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER21.6に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER17.1との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.20ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER60.4程度になるか、又は、日経平均が142,680円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は102,310円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、102,310円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは拡大しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上を維持できるか否かに注目。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+9.0%となりました。3ヶ月前に比べて0.2ポイント改善しました。また、利益伸び率は+11.9%となりました。3ヶ月前に比べて+2.8%ポイント改善しています。

  米国の長期金利は横ばいで、日米間の金利差は3.47から3.48,拡大して、ドル円は151円台でもみあいました。ドル・インデックスは週間で-0.05%上昇しました。

  OECDの日米の2025年の名目GDP伸び率は、日本が+3.4%で、米国は+3.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が0.5ポイント劣ります。

  3月第3週は買い越しで、3月第4週は売り越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、⑤が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に5.1ポイント(日経平均に勘算すると2060円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に7.8ポイント(日経平均に勘算する3150円程度)割高です。

 

米国市場に対して日本市場は割高に転換しました。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 13.0 と低下しました。 日経 VI は 週間で 18.6と上昇しました。米国市場は楽観的で日本市場も楽観的です。

 

日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。日経平均の総合乖離率は+30.2%で、200日移動平均線との乖離率は+18.5%でした。3つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"青信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDow9日線・25日線・200日線の上にあります。また、一目均衡表の雲の上に在ります。

NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。また、一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には"信号”で、中期的にも"信号”が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。

日本市場は中期上昇トレンドで、短期はもみあいです。

 

為替市場を分析すると、202311月以来の150円台となっています。今週は150台から152台が想定されます。

 

今週の米国市場では、雇用統計で非農業部門雇用者数と失業率が最も注目されます。その他JOLTS求人倍率、ISM製造業・サービス業PMI、製造業受注、貿易収支も注目されます。世界的には、ユーロ圏の3月インフレ率、中国の製造業・サービス業PMI、日本の日銀短観などが注目されます。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを40円ほど下回り、下値は想定ラインを430円ほど上回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+2σ(現在41090円近辺)で、下値が25日線(現在39710円近辺)の間での動きが想定されます。

 

今週は、雇用統計が投資家の年内利下げ時期予想に与える影響を注視する必要がありそうです。新年度入りで、機関投資家が動きやすくなり、日米市場とも、上昇が期待できそうです。


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Friday, March 29, 2024

[2023/03/29]今後の日経平均の見通し

[市況]

328日、NYDowNASDAQは上昇しました。329日の日経平均先物は、前日比120円高で寄り付くと、午前中は90円高から270円高と上昇幅を拡げ、午後は70円高から340円高と上昇幅を拡げて、結局、320円高で取引を終了しました。日経平均の終値は201円高の40369円で、出来高は17.52億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を5日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。

 

328日の米国市場では、米経済がソフトランディングに向かうとの楽観的な見方や、FRBが年内にも利下げに転じるとの観測が、引き続き投資家心理を支えました。ただ、29日からの3連休を控えて商いは低調で、方向感に乏しい展開が続きました。結局、NYDowは続伸し、1週間ぶりに過去最高値を更新しました。一方、NASDAQは小反落しました。

329日の日本市場では、景気敏感株を中心とした幅広い銘柄に買いが入りました。前日の株安の反動で、自律反発狙いの買いや押し目買いが入ったほか、29日は欧米の株式市場が休場とあって、仕掛け的な売買が日本株に向かったという面もありました。日経平均は反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。

総合乖離率は+30.2%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+18.5%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+4.9ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が1980円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+7.7ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が3110円ほど割高であることを示しています

 

日経VI18.56と前日より低下し、VIX13.01と前日より上昇しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.1、米国-0.4と日本が4.7ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.21ポイント(日経平均換算で103360円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率3.4%増で、改定値の3.2%増を上回りました。また、1012月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

3月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月の耐久財受注、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産、2月の消費者物価指数は市場予想を上回りました。一方、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.5万人増で、市場予想の20.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.9%で、前月の3.7%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数は予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.6%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、FRB3月利下げに慎重な姿勢を示しています。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了を決定しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、325 5.691% 326 5.5710% 327 5.5635%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER17.09PBR1.55となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+11.8%で、こちらは3か月前より2.8ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.6%となり、日経平均は10円の割高から240円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-240円から+80円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.51ポイントから3.49ポイントに縮小しました。ドル円相場は円安水準でもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

329日の米国市場は、聖金曜日の祝日で休場です。ただ、2月の個人所得、2月の個人支出、PCE価格指数が発表されます。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを80円ほど下回り、下値は想定ラインを560円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+300円(現在40700円近辺)が上値の目安に、25日線+300円(現在40010円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは変動率の高まりを示す20を下回っており、前日比で低下しました。一方、信用の売り圧力は、かなり強まりました。日経平均が、新年度入りで最高値更新となるかが、目先の注目点です。



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Thursday, March 28, 2024

[2023/03/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

327日、NYDowNASDAQは上昇しました。328日の日経平均先物は、前日終値と同値で寄り付くと、午前中は60円高から200円安と下落に転じ、午後は70円安から350円安と下落幅を拡げて、結局、200円安で取引を終了しました。日経平均の終値は594円安の40168円で、出来高は19.87億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を4日連続で上回りましたが、個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。

 

327日の米国市場では、短期的な過熱感が和らぎ、出遅れ感のあるディフェンシブ株や景気敏感株などに買いが向かいました。また、四半期末を控え、機関投資家が運用成績を高めるための「ドレッシング買い」を入れ、株価を押し上げました。一方、主要ハイテク株はまちまちな動きとなりました。NYDow4営業日ぶりに反発し、NASDAQ3営業日ぶりに反発しました。

328日の日本市場では、高値警戒感から利益確定の売りが優勢となりました。また、きょうは3月期末の配当権利落ち日とあって、配当落ちが指数を下押ししました。加えて、年金勢など国内機関投資家による保有資産調整の売りも重石となりした。日経平均は反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にありますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は+29.2%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+18.1%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+4.3ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が1730円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+8.7ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が3490円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.06と前日より低下し、VIX12.78と前日より低下しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.4と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.25ポイント(日経平均換算で105010円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率3.2%増で、速報値の3.3%増を下回りました。また、1012月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

2月の耐久財受注、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産、2月の消費者物価指数は市場予想を上回りました。一方、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のISM製造業景況指数、2月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.5万人増で、市場予想の20.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.9%で、前月の3.7%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数、1月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.6%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、FRB3月利下げに慎重な姿勢を示しています。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了を決定しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、322 5.740% 325 5.6910% 326 5.5710%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER17.04PBR1.54となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+11.6%で、こちらは3か月前より3.3ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.0%となり、日経平均の割高幅は80円から10円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-210円から+80円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.51ポイントから3.51ポイントと横ばいでした。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

328日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、1012月期のGDP確定値、2月の中古住宅販売仮契約指数のほか、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを600円ほど下回り、下値は想定ラインを300円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在40560円近辺)が上値の目安に、25日線(現在39630円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは変動率の高まりを示す20を下回っており、前日比で低下しました。一方、信用の売り圧力は強まりました。日経平均は配当落ち以上に下落しました。目先は、新年度入りで反転するかどうかが注目点です。



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Wednesday, March 27, 2024

[2023/03/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

326日、NYDowNASDAQは下落しました。327日の日経平均先物は、前日比130円高で寄り付くと、午前中は60円高から460円高と上昇幅を拡げ、午後は580円高から240円高と上昇幅を縮めて、結局、240円高で取引を終了しました。日経平均の終値は364円高の40762円で、出来高は18.97億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を3日連続で上回りましたが、個別銘柄への信用の売り圧力は、やや弱い状態です。

 

326日の米国市場では、四半期末と月末を控え、持ち高調整の売りや利益確定の売りがかさみました。また、2月の個人消費支出(PCE)物価指数の発表を29日に控え、買いを手控える傾向も見られました。米株高の牽引役である主力ハイテク株が下落したことも投資家心理の重石となりました。NYDow3日続落し、NASDAQも続落しました。

327日の日本市場では、日米金利差が開くとの観測を背景に円安ドル高が進行したことから、自動車など輸出関連株に買いが向かいました。また、きょうは3月末の配当権利付き最終売買日とあって、配当を意識した買いも入りました。日経平均は一時、過去最高値を上回りましたが、大引けにかけては伸び悩みました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+34.7%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+20.0%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+6.7ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が2730円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+10.5ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が4280円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.28と前日より上昇し、VIX13.24と前日より上昇しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.1、米国-0.4と日本が4.7ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.14ポイント(日経平均換算で104040円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率3.2%増で、速報値の3.3%増を下回りました。また、1012月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

2月の耐久財受注、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産、2月の消費者物価指数は市場予想を上回りました。一方、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のISM製造業景況指数、2月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.5万人増で、市場予想の20.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.9%で、前月の3.7%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数、1月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.6%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、FRB3月利下げに慎重な姿勢を示しています。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了を決定しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、321 5.5815% 322 5.740% 325 5.691%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER17.34PBR1.56となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+11.8%で、こちらは3か月前より3.0ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.2%となり、日経平均は50円の割安から80円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-210円から+320円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.52ポイントから3.51ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

327日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを200円ほど上回り、下値は想定ラインを440円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在41080円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ(現在40320円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは変動率の高まりを示す20を下回っていますが、前日比で上昇しました。一方、信用の売り圧力は、やや弱い状態です。日経平均は続伸しました。明日は、配当権利落ち分の下げを埋められるかどうかが、注目点です。



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