日経平均の予想: April 2015

Thursday, April 30, 2015

[2015/04/30]今後の日経平均の見通し

[市況]
29
日のNYDowNASDAQは下落しました。30日の日経平均先物は、前日比230円安で寄り付き、午前中は210円安から360円安の範囲で下げ幅を拡げる動きでした。午後は540円安まで下げ幅を拡げる場面があり、結局530円安で取引を終わりました。日経平均の終値は538円安の19520円で、出来高は27.19億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は750万株の買い越しながら、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はマイナス転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状況です。
29
日の米国市場では、1-3月期のGDP速報値は前期比年率で0.2%と予想の1.0%を下回ったことが嫌気されて、売りが優勢となりました。一方、FOMC後の声明に対する相場の反応は限られました。
30日の日本市場では、欧米市場安を受けて売りが先行しました。昼過ぎに日銀による追加金融緩和が無いと伝わると一段安となりました。下げ幅は今年最大となりました。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から赤信号に変わりました。総合乖離率は+17.1%でプラス幅は縮小しました。200日線との乖離率は+13.9%でプラス幅は縮小しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上に在りますが、25日線、9日線を下回りました。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線の上に在りますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、2.4ポイント縮小して、中長期的には日本市場が6.7ポイント(日経平均で 1310円程度)割高(強い動き)となっています。

[
ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2016年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.0ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ 0.08イント(日経平均で 290円程度)割高となっています。
市場は現在、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「世界の景気と金・穀物・原油価格の動き」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米金融緩和縮小に伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の1-3月期のGDP速報値は0.2%となり、10-12月期の2.2%から大きく低下しました。1-3月期の米主要企業の決算発表は弱さが目立っており、ドル高が企業収益鈍化懸念を生んでいる面があります。
経済指標では、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、2月の製造業受注は市場予想を上回り、3月のISM非製造業景況指数は予想と一致しましたが、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月の耐久財受注、4月のNY連銀製造業景気指数、3月の鉱工業生産指数、3月の小売売上高、3月のISM製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数は予想以下でした。371分けで景気面では弱気材料ながら、利上げし辛くなる点では強気材料です。
3月の雇用統計は就業者数が前月比12.6万人増で、市場予測の24.5万人増を大幅に下回りました。また、失業率は先月の5.5%から5.5%と変わりませんでした。景気面では弱気材料ながら、利上げし辛くなる点では強気材料です。
一方、住宅関連では、3月の中古住宅販売仮契約、3月の中古住宅販売件数は予想以上でしたが、3月の新築住宅販売件数、3月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は予想以下でした。2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で+0.9%で、市場予想の+0.8%を上回りました。33負で中立です。
目先の経済指標は弱さが目立ってきましたので、米国の景気、雇用の回復は続いているとのコンセンサスが崩れる可能性も少し出てきたようです。ただ、季節的要因か否か見極める必要もあります。また、EUのデフレ懸念が続いており世界経済全体の成長鈍化懸念も残っています。
ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字国の国債金利は低い水準となり、金融システム不安再燃への懸念は無くなっています。ただ、G20での2016年に財政赤字半減との目標設定がなされましたが、需要不足からの世界景気の後退リスクが背景に有り、先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうです。長期金利への影響やEUのデフレが懸念されます。また、ギリシャ問題の再燃も懸念されます。
欧米日の金融政策を分析すると、FRBゼロ金利解除を検討する際の条件に関しては、労働市場やインフレ圧力など「幅広い指標を考慮する」との方針ですが、利上げ時期を模索中ですECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、さらに国債の買い取りを含む量的緩和に踏み込みました。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて昨年1031日にマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の3倍の3兆円まで買い入れるとの追加緩和に踏み切りましたので、ドルは円に対して高くなり易い環境が続いています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利のここ3日の推移は、424 0.2790% 427 0.2790% 428 0.2781%となっています。昨年5月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、昨年5月からは上昇傾向で、ここ1年の最高金利を直近で更新しています。ただ、2010年のギリシャ財政危機直前の20110503日の0.346%を下回っていますので、金融システム危機懸念は後退していることを示しています。ここ4年の最高金利は201215日の0.5825%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER17.7PBR1.51となっています。1-3月期の決算発表の進展に伴い、予想ROE8.5%となり、企業の今期収益力の見通しは前四半期と比べて0.3ポイント低下しています。

[
今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落率以上下げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.1%となり、日経平均は220円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-240円 ~+370円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場に比べ、強い動きが続いていましたが、今日は弱い動きに変わりました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルにはやや割高で、テクニカルには、かなり割高です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は1.70と拡大したものの、ドル円は円高方向の動きでした。直近の米国の長期金利は上昇して、円安圧力が強まりました。
テクニカルから見て、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。一方、日経平均は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
ファンダメンタル面では、欧州経済の低迷とギリシャのディフォルト懸念とEU離脱問題、原油相場の下落、中東やウクライナ情勢、米金融緩和縮小は新興国経済にどの程度影響するか、日本の経済の2%成長できるのか、中国の不動産バブル崩壊はあるのか、新たな金融危機を誘発するか、その時期はいつか?など世界全体の景気後退懸念が、今後もリスク・シナリオとなりそうです。
目先の状況を分析すると、LIBOR銀行間金利は目先上昇傾向ですが、まだ低水準で推移しています。これは、最近のギリシャ問題、原油の下落や地政学リスクの高まりは先進国の金融不安には繋がっていないことを示しています。ただ、じわじわと上昇を続けていますので、警戒は必要です。また、上海銀行間取引金利も目先上昇傾向は一服していますが急激な変化に注意が必要です。また、中国の不動産価格は下落傾向で、引き続きシャドーバンキング問題など不良債権問題にも注意が必要です。各国の長期金利の低下や原油の低迷など世界景気の減速懸念は払拭されない中、米国市場では、目先の経済指標は弱さが目立ちますが、FRBが最も重視している雇用は改善傾向との基本認識は崩れていませんので、FRBは米景気を改善傾向と判断して、量的緩和は予定通り終了し、短期金利の超低金利政策を当面継続するものの利上げ時期を模索しています。一方、欧州市場では景気が低迷しており、ECBがマイナス金利幅拡大し、さらに、国債購入を含む一段の金融緩和に踏み切りました。ユーロ安傾向の主な原因と考えられます。このような相場環境の中、30日の米国市場では、週間新規失業保険申請件数、4月のシカゴ購買部協会景気指数やリンクトイン、ビザ、エクソンモービル、AIGなどの四半期決算が注目されそうです。
今日の日経平均は、想定した範囲を大きく下回りました。上値は想定ラインを360円ほど下回り、下値は想定ラインを400円ほど下回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値が上昇中の25日線(現在19700円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-1σ(現在19390円近辺)の間での動きが想定されます


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Tuesday, April 28, 2015

[2015/04/28]今後の日経平均の見通し

[市況]
27
日のNYDowNASDAQは下落しました。28日の日経平均先物は、前日比100円高で寄り付き、午前中は80円高から150円高の範囲でもみ合う動きでした。午後は40円高まで上げ幅を縮める場面があり、結局40円高で取引を終わりました。日経平均の終値は75円高の20058円で、出来高は20.87億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は630万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はプラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
27
日の米国市場では、新規材料が乏しい中、FOMCなど重要なイベントを控え、利益確定売りが優勢となりました。
28日の日本市場では、米国市場安ながら企業業績に対する期待感の高まりを背景に買いが優勢でした。ただ、FOMCや日銀政策決定会合を控えて上値は限定的でした。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+26.1%でプラス幅は拡大しました。200日線との乖離率は+17.2%でプラス幅は拡大しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、1.0ポイント拡大して、中長期的には日本市場が9.1ポイント(日経平均で 1830円程度)割高(強い動き)となっています。

[
ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2016年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.0ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ 0.28イント(日経平均で 950円程度)割高となっています。
市場は現在、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「世界の景気と金・穀物・原油価格の動き」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米金融緩和縮小に伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の10-12月期のGDP確報値は2.2%となり、改定値の2.2%と変わりませんでした。10-12月期の米主要企業の決算発表はまだら模様ですが、ドル高が企業収益鈍化懸念を生んでいます。
経済指標では、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、2月の製造業受注、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回り、3月のISM非製造業景況指数は予想と一致しましたが、3月の耐久財受注、4月のNY連銀製造業景気指数、3月の鉱工業生産指数、3月の小売売上高、3月のISM製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数は予想以下でした。461分けで景気面ではやや弱気材料ながら、利上げし辛くなる点では強気材料です。
3月の雇用統計は就業者数が前月比12.6万人増で、市場予測の24.5万人増を大幅に下回りました。また、失業率は先月の5.5%から5.5%と変わりませんでした。景気面では弱気材料ながら、利上げし辛くなる点では強気材料です。
一方、住宅関連では、3月の中古住宅販売件数、2月の中古住宅販売仮契約は予想以上でしたが、3月の新築住宅販売件数、3月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は予想以下でした。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で+4.6%で、市場予想の+4.6%に一致しました。231分けでやや弱気材料です。
目先の経済指標は弱さが目立ってきましたので、米国の景気、雇用の回復は続いているとのコンセンサスが崩れる可能性も少し出てきたようです。ただ、季節的要因か否か見極める必要もあります。また、EUのデフレ懸念が続いており世界経済全体の成長鈍化懸念も残っています。
ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字国の国債金利は低い水準となり、金融システム不安再燃への懸念は無くなっています。ただ、G20での2016年に財政赤字半減との目標設定がなされましたが、需要不足からの世界景気の後退リスクが背景に有り、先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうです。長期金利への影響やEUのデフレが懸念されます。また、ギリシャ問題の再燃も懸念されます。
欧米日の金融政策を分析すると、FRBゼロ金利解除を検討する際の条件に関しては、労働市場やインフレ圧力など「幅広い指標を考慮する」との方針ですが、利上げ時期を模索中ですECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、さらに国債の買い取りを含む量的緩和に踏み込みました。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて昨年1031日にマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の3倍の3兆円まで買い入れるとの追加緩和に踏み切りましたので、ドルは円に対して高くなり易い環境が続いています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利のここ3日の推移は、422 0.2775% 423 0.2770% 424 0.2790%となっています。昨年5月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、昨年5月からは上昇傾向で、ここ1年の最高金利を直近で更新しています。ただ、2010年のギリシャ財政危機直前の20110503日の0.346%を下回っていますので、金融システム危機懸念は後退していることを示しています。ここ4年の最高金利は201215日の0.5825%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER18.1PBR1.56となっています。1-3月期の決算発表の進展に伴い、予想ROE8.6%となり、企業の今期収益力の見通しは前四半期と比べて0.2ポイント低下しています。

[
今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落にも拘わらず上げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.4%となり、日経平均は260円の割高で、割高幅は拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+120円 ~+510円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場に比べ、強い動きが続いていますが、今日は強い動きが加速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルには割高で、テクニカルにはさらに割高です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は1.62と変わらず、ドル円は小動きでした。直近の米国の長期金利はやや上昇して、円安圧力が強まりました。
テクニカルから見て、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。一方、日経平均は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
ファンダメンタル面では、欧州経済の低迷とギリシャのディフォルト懸念とEU離脱問題、原油相場の下落、中東やウクライナ情勢、米金融緩和縮小は新興国経済にどの程度影響するか、日本の経済の2%成長できるのか、中国の不動産バブル崩壊はあるのか、新たな金融危機を誘発するか、その時期はいつか?など世界全体の景気後退懸念が、今後もリスク・シナリオとなりそうです。
目先の状況を分析すると、LIBOR銀行間金利は目先上昇傾向ですが、まだ低水準で推移しています。これは、最近のギリシャ問題、原油の下落や地政学リスクの高まりは先進国の金融不安には繋がっていないことを示しています。ただ、じわじわと上昇を続けていますので、警戒は必要です。また、上海銀行間取引金利も目先上昇傾向は一服していますが急激な変化に注意が必要です。また、中国の不動産価格は下落傾向で、引き続きシャドーバンキング問題など不良債権問題にも注意が必要です。各国の長期金利の低下や原油の低迷など世界景気の減速懸念は払拭されない中、米国市場では、目先の経済指標は弱さが目立ちますが、FRBが最も重視している雇用は改善傾向との基本認識は崩れていませんので、FRBは米景気を改善傾向と判断して、量的緩和は予定通り終了し、短期金利の超低金利政策を当面継続するものの利上げ時期を模索しています。一方、欧州市場では景気が低迷しており、ECBがマイナス金利幅拡大し、さらに、国債購入を含む一段の金融緩和に踏み切りました。ユーロ安傾向の主な原因と考えられます。このような相場環境の中、28日の米国市場では、2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、4月のCB消費者信頼感指数、日米首脳会談やメルク、フォード、ファイザー、コーニング、コーチ、UPSなどの四半期決算が注目されそうです。

今日の日経平均は、概ね想定した範囲内の動きでした。上値は想定ラインを10円ほど上回り、下値は想定ラインを220円ほど上回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値が上昇中のボリンジャーバンド1σ+200(現在20220円近辺)で、下値が25日線+200(現在19910円近辺)の間での動きが想定されます


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Monday, April 27, 2015

[2015/04/27]今後の日経平均の見通し

[市況]
24
日のNYDowNASDAQは上昇しました。27日の日経平均先物は、前日比30円高で寄り付き、午前中は40円高から130円安の範囲でもみ合う動きでした。午後は20円安から110円安の範囲でもみ合う動きとなり、結局50円安で取引を終わりました。日経平均の終値は36円安の19983円で、出来高は18.70億株と比較的低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は290万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はプラス幅が縮小しましたが、個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
24
日の米国市場では、原油相場が下落し、NYDowはマイナス圏で推移する場面もあったものの、ここまでの主要企業の1-3月決算は、ドル高による収益低下はあるが事前に警戒していたほどでないとの受け止めが多く、買いが優勢となりました。Nasdaqは連日で過去最高値を更新しました。
27日の日本市場では、先週末の米国市場高を受けて買いが先行しましたが、マツダの163月期の収益見通しが市場予想を下回ったこよや、ソニーの今期業績が伸び悩むとの報道などで警戒感が浮上して利益確定売りに押される展開となりました。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+25.3%でプラス幅は縮小しました。200日線との乖離率は+16.9%でプラス幅は縮小しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、1.1ポイント縮小して、中長期的には日本市場が8.1ポイント(日経平均で 1620円程度)割高(強い動き)となっています。

[
ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2016年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.0ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ 0.26イント(日経平均で 900円程度)割高となっています。
市場は現在、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「世界の景気と金・穀物・原油価格の動き」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米金融緩和縮小に伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の10-12月期のGDP確報値は2.2%となり、改定値の2.2%と変わりませんでした。10-12月期の米主要企業の決算発表はまだら模様ですが、ドル高が企業収益鈍化懸念を生んでいます。
経済指標では、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、2月の製造業受注、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回り、3月のISM非製造業景況指数は予想と一致しましたが、3月の耐久財受注、4月のNY連銀製造業景気指数、3月の鉱工業生産指数、3月の小売売上高、3月のISM製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数は予想以下でした。461分けで景気面ではやや弱気材料ながら、利上げし辛くなる点では強気材料です。
3月の雇用統計は就業者数が前月比12.6万人増で、市場予測の24.5万人増を大幅に下回りました。また、失業率は先月の5.5%から5.5%と変わりませんでした。景気面では弱気材料ながら、利上げし辛くなる点では強気材料です。
一方、住宅関連では、3月の中古住宅販売件数、2月の中古住宅販売仮契約は予想以上でしたが、3月の新築住宅販売件数、3月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は予想以下でした。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で+4.6%で、市場予想の+4.6%に一致しました。231分けでやや弱気材料です。
目先の経済指標は弱さが目立ってきましたので、米国の景気、雇用の回復は続いているとのコンセンサスが崩れる可能性も少し出てきたようです。ただ、季節的要因か否か見極める必要もあります。また、EUのデフレ懸念が続いており世界経済全体の成長鈍化懸念も残っています。
ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字国の国債金利は低い水準となり、金融システム不安再燃への懸念は無くなっています。ただ、G20での2016年に財政赤字半減との目標設定がなされましたが、需要不足からの世界景気の後退リスクが背景に有り、先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうです。長期金利への影響やEUのデフレが懸念されます。また、ギリシャ問題の再燃も懸念されます。
欧米日の金融政策を分析すると、FRBゼロ金利解除を検討する際の条件に関しては、労働市場やインフレ圧力など「幅広い指標を考慮する」との方針ですが、利上げ時期を模索中ですECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、さらに国債の買い取りを含む量的緩和に踏み込みました。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて昨年1031日にマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の3倍の3兆円まで買い入れるとの追加緩和に踏み切りましたので、ドルは円に対して高くなり易い環境が続いています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利のここ3日の推移は、422 0.2775% 423 0.2770% 424 0.2790%となっています。昨年5月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、昨年5月からは上昇傾向で、ここ1年の最高金利を直近で更新しています。ただ、2010年のギリシャ財政危機直前の20110503日の0.346%を下回っていますので、金融システム危機懸念は後退していることを示しています。ここ4年の最高金利は201215日の0.5825%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER18.1PBR1.55となっています。1-3月期の決算発表の進展に伴い、予想ROE8.6%となり、企業の今期収益力の見通しは前四半期と比べて0.2ポイント低下しています。

[
今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも拘わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.0%となり、日経平均は200円の割高で、割高幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-10円 ~+510円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場に比べ、強い動きが続いていますが、今日は強い動きが減速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルには割高で、テクニカルにはさらに割高です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は1.62と縮小し、ドル円は円高方向の動きでした。直近の米国の長期金利は低下して、円高圧力が強まりました。
テクニカルから見て、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。一方、日経平均は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
ファンダメンタル面では、欧州経済の低迷とギリシャのディフォルト懸念とEU離脱問題、原油相場の下落、中東やウクライナ情勢、米金融緩和縮小は新興国経済にどの程度影響するか、日本の経済の2%成長できるのか、中国の不動産バブル崩壊はあるのか、新たな金融危機を誘発するか、その時期はいつか?など世界全体の景気後退懸念が、今後もリスク・シナリオとなりそうです。
目先の状況を分析すると、LIBOR銀行間金利は目先上昇傾向ですが、まだ低水準で推移しています。これは、最近のギリシャ問題、原油の下落や地政学リスクの高まりは先進国の金融不安には繋がっていないことを示しています。ただ、じわじわと上昇を続けていますので、警戒は必要です。また、上海銀行間取引金利も目先上昇傾向は一服していますが急激な変化に注意が必要です。また、中国の不動産価格は下落傾向で、引き続きシャドーバンキング問題など不良債権問題にも注意が必要です。各国の長期金利の低下や原油の低迷など世界景気の減速懸念は払拭されない中、米国市場では、目先の経済指標は弱さが目立ちますが、FRBが最も重視している雇用は改善傾向との基本認識は崩れていませんので、FRBは米景気を改善傾向と判断して、量的緩和は予定通り終了し、短期金利の超低金利政策を当面継続するものの利上げ時期を模索しています。一方、欧州市場では景気が低迷しており、ECBがマイナス金利幅拡大し、さらに、国債購入を含む一段の金融緩和に踏み切りました。ユーロ安傾向の主な原因と考えられます。このような相場環境の中、27日の米国市場では、アップルの四半期決算注目されそうです。

今日の日経平均は、概ね想定した範囲内の動きでした。上値は想定ラインを30円ほど上回り、下値は想定ラインにあと70円まで接近しました。目先の日経平均の想定範囲は、上値が上昇中のボリンジャーバンド1σ+100(現在20090円近辺)で、下値が25日線+100(現在19800円近辺)の間での動きが想定されます


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