日経平均の予想: August 2011

Wednesday, August 31, 2011

[2011/08/31]日経平均の今後の見通し

[市況]
30日のNYDowとNASDAQは上昇しました。31日の日経平均先物は、前日比20円安で寄り付き、午前中は40円安から前日同値の範囲でもみ合う動きでした。午後は、20円高まで上げ幅を縮める場面もありましたが、最終的に10円高で取引を終わりました。日経平均は1円高で引け、出来高は18.58億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、120万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
30日の米国市場では、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数が44.5と2年4ヶ月ぶりの水準に急低下し、市場予想も大幅に下回ったことで、NYDowは109ドル安まで下げ幅を広げる場面がありましたが、午後に発表されたFOMC議事で、複数の委員が資産購入による追加の量的金融緩和に前向きな姿勢を示していたことなどが明らかになり、9月のFOMCで追加緩和に踏み切る可能性が意識されて、買いが優勢になり、NYDowは90ドル高となる場面がありました。一方、6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は主要20都市の指数が前年同月比で下落したものの、市場予想の範囲内でした。
31日の日本市場では、朝方は主力株に利益確定売りが出て小安く推移しましたが、午後はアジア株や、GLOBEXでの米株価指数先物の堅調さが下支えとなり、小高く推移する場面が多くなりました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。短期トレンドは黄信号が点灯しています。総合乖離率は-17.3%でマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-9.4%でマイナス幅は変わりませんでした。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。
NYDowは200日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。
NASDAQは200日線の下に在りますが、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンド青信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が4.4ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は0.5ポイント割安幅を拡げました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差(3.5ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.77ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況と追加金融緩和の行方」、「欧州の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.0%増と速報値から下方修正されました。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の個人消費支出、7月の耐久財受注額、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高などは市場予想を上回りましたが、8月のフィラデルフィア連銀景気指数がマイナス30.7と、2年5ケ月ぶりの水準まで悪化し、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は44.5と2年4ヶ月ぶりの水準に急低下し、8月のミシガン大学消費者態度指数、8月のNY連銀製造業景気指数、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、6月の住宅価格指数、7月の住宅着工件数は予想以上でしたが、7月の新築住宅販売は3ヶ月連続で減少し、7月の中古住宅販売件数は予想以下となりました。6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は主要20都市の指数が前年同月比で下落したものの、市場予想の範囲内でした。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和継続の主な原因となっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の国債の金利上昇が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。これは長期的な円高要因です。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月26日 0.3228% → 08月29日 0.3228% → 08月30日 0.3256%となり0.3%を超え上昇中です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.3、PBRが0.98、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇に連動して上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.4%となり、日経平均は220円の割安で、割安幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-330円 ~ -60円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きが続いていますが、今日は弱い動きが縮小しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期は上昇トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する要注意域に入りました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.16%に縮小したものの、為替はもみ合う動きです。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっていましたが、変化の兆しも見えます。前日の米国市場は予想以下の経済指で下落した後追加金融緩和期待で戻しました。今夜の米国市場では8月のADP雇用統計、8月のシカゴ購買部協会景気指数などが注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け、中期的にも下降トレンド入りを確認した形ですが、短期は上昇トレンドへの転換が期待できる水準に近づいてきました。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、世界の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張る原因となっています。
今日の日経平均は小動きでしたが、8920円を抜いてきましたので、目先の次の上値の目標は、下降中の25日線(現在9136円)近辺で、下値の目安は8月26日の高値で8月29日の終値の8850円近辺と思われます。


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Tuesday, August 30, 2011

[2011/08/30]日経平均の今後の見通し

[市況]
29日のNYDowとNASDAQは大幅上昇しました。30日の日経平均先物は、前日比90円高で寄り付き、午前中は80円高から130円高の範囲で徐々に値を上げる動きでした。午後は、70円高まで上げ幅を縮める場面もありましたが、最終的に90円高で取引を終わりました。日経平均は102円高で引け、出来高は18.32億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、220万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
29日の米国市場では、ギリシャ2位のEFGユーロ銀行と3位のアルファ銀行が合併を発表したことで、欧州市場が上昇したことや、7月の個人消費支出が前月比0.8%増と市場予想以上に増加したことで、景気の減速懸念がやや和らぎ、幅広い銘柄で買いが優勢となりました。
30日の日本市場では、米国経済の先行き懸念や欧州の信用不安問題がやや後退し米国市場が上昇したことを受けて、買いが先行しました。ただ、日経平均先物が9000円の大台を回復すると戻り待ちの売りに押され、伸び悩んで終了しました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。短期トレンドは黄信号が点灯しています。総合乖離率は-17.9%でマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-9.4%でマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。
NYDowは200日線の下に在りますが、9日線の上に在り、25日線を上回りました。
NASDAQは200日線の下に在りますが、9日線の上に在り、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンド黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.9ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は2.0ポイント割安幅を拡げました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.68ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.0%増と速報値から下方修正されました。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の個人消費支出、7月の耐久財受注額、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数などは市場予想を上回りましたが、8月のフィラデルフィア連銀景気指数がマイナス30.7と、2年5ケ月ぶりの水準まで悪化し、8月のミシガン大学消費者態度指数、8月のNY連銀製造業景気指数、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、6月の住宅価格指数、7月の住宅着工件数は予想以上でしたが、7月の新築住宅販売は3ヶ月連続で減少し、7月の中古住宅販売件数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和継続の主な原因となっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の国債の金利上昇が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。これは長期的な円高要因です。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月25日 0.3190% → 08月26日 0.3228% → 08月29日 0.3228%となり0.3%を超え上昇中です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.3、PBRが0.99、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇率ほどは上げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.7%となり、日経平均は250円の割安で、割安幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-330円 ~ -60円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きが続いていますが、今日は弱い動きが加速しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期は上昇トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する要注意域に入りました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.24%に拡大したものの、為替はもみ合う動きです。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっていましたが、変化の兆しが見えます。前日の米国市場は予想以上経済指で上昇しました。今夜の米国市場では6月のS&Pケース・シラー米住宅価格、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、FOMC議事録などが注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け、中期的にも下降トレンド入りを確認した形ですが、短期は上昇トレンドへの転換が期待できる水準に近づいてきました。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、世界の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張る原因となっています。
今日の日経平均は8920円を抜いてきましたので、目先の次の上値の目標は、下降中の25日線(現在9180円)近辺で、下値の目安は8月26日の高値で8月29日の終値の8850円近辺と思われます。


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Monday, August 29, 2011

[2011/08/29]日経平均の今後の見通し

[市況]
26日のNYDowとNASDAQは上昇しました。29日の日経平均先物は、前日比同値で寄り付き、午前中は同値から90円高の範囲で徐々に値を上げる動きでした。午後も、上昇が続き、一時140円高まで上昇する場面がありましたが、最終的に80円高で取引を終わりました。日経平均は53円高で引け、出来高は19.55億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、350万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス転換しました。個別銘柄に関しては、やや「買い」が有利な状況です。
26日の米国市場では、欧州株式相場の下落を受けて売りが先行しました。バーナンキ議長が講演で金融緩和の具体策に言及しなかったことで、直後に失望売りが膨らみ、NYDowは一時220ドル安まで下げました。ただ、追加緩和への期待が残ったとして、午後にかけて買いが優勢になりました。
29日の日本市場では、前週末の米国市場高の影響と、民主党の新首相への期待が高まり、一時100円超上げて8900円台に乗せる場面があったものの、復興増税に前向きな野田財務相が選出される見通しとなると、景気への影響を懸念する売りも出て伸び悩んで終了しました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。総合乖離率は-21.7%でマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-10.5%でマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。
NYDowは200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンド赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.9ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は1.7ポイント割安幅を拡げました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.65ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.0%増と速報値から下方修正されました。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の耐久財受注額、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数などは市場予想を上回りましたが、8月のフィラデルフィア連銀景気指数がマイナス30.7と、2年5ケ月ぶりの水準まで悪化し、8月のミシガン大学消費者態度指数、8月のNY連銀製造業景気指数、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、6月の住宅価格指数、7月の住宅着工件数は予想以上でしたが、7月の新築住宅販売は3ヶ月連続で減少し、7月の中古住宅販売件数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和継続の主な原因となっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の国債の金利上昇が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。これは長期的な円高要因です。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月24日 0.3143% → 08月25日 0.3190% → 08月26日 0.3228%となり0.3%を超え上昇中です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.2、PBRが0.98、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇に連動して上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.2%となり、日経平均は120円の割安で、割安幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-330円 ~ +100円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きに変わりましたが、今日は弱い動きが縮小しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する要注意域に入りました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.18%に縮小したものの、為替はやや円安方向の動きです。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっていましたが、変化の兆しが見えます。前日の米国市場は追加緩和への期待で上昇しました。今夜の米国市場では7月の個人所得・個人支出、7月の中古住宅販売成約指数などが注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け、中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、世界の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。
今日の日本市場は8月19日に空けた窓の窓埋めを達成し、8920円で頭を押さえられる形になりました。目先の次の目標は、8920円を抜くことができれば、下降中の25日線(現在9226円)近辺と思われます。


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Saturday, August 27, 2011

[2011/08/28]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、注目されたバーナンキFRB議長講演で金融緩和の具体策に言及しなかったものの欧米の経済指標の改善悪化から、世界経済のへの過度の懸念が後退し、上昇しました。一方、中長期的には、先進国の緊縮財政による消費や雇用の改善の遅れ、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念、資源高騰に伴う新興国の利上げによる景気後退懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性が残されています。
2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はOECDの予測値の改定により、日本市場は2.64ポイント割高となりました。その要因はS&P500のPERが13.0で、東証1部平均のPERの13.5との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、震災の影響で日本の2011年のGDP予想値が1.7%程度になる(又は、日米のGDP伸び率差がOECD予想値より2.6ポイント縮まる)ことが織り込まれているとも解釈できます。


[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在-0.9%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陽線となりました。今週は、住宅関連指標、8月のISM製造業景況指数、雇用統計などが株式相場に影響しそうですが、11530ドルを終値で上回れるか否かが今後を占う上でカギとなりそうです。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は+17%ですが、今期ROE予想7月の鉱工業生産値は7.9%から7.4%へやや悪化しています。
③ 日米とも長期金利は下降傾向で、日米の金利差は1.09%から1.16%へ拡大し、為替は76円から77円台で推移しました。今週も76円台から77円台でもみ合う動きとなりそうです。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は改定され日本が-0.9%で、米国は+2.6%と予想されていますので、この面では日本市場にとって3.5ポイント分の弱気材料です。
⑤ 8月3週は売り越しで8月4週も売り越しだった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち①③が強気材料で⑤が弱気材料でした。今週も、①③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、2.5ポイント割安に転換しました。先週比4.2ポイント弱い動きとなりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。200日移動平均線乖離率は-11.0%となり先週と比較してマイナス幅が縮小しました。総合乖離率は-24.0%となりマイナス幅が縮小しました。3つがマイナスですので中期トレンドは、”赤信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の下に在りますので、短期的トレンドには"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。短期的には黄信号"で中期的には"赤信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場は、アフリカ・中東政情不安、資源高、新興国の利上などのリスクはやや後退しているものの、不動産市場の低迷、雇用指標の停滞、世界景気後退懸念、欧・米の政府債務問題が悪材料となっています。ただ、好材料としては、FRBによる金融緩和が2013年まで継続する見通しの中、企業決算は概ね好調である点が挙げられます。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期下降トレンドで、短期はもみ合いとなっています。日本市場は中期下降トレンドで、短期も下降昇トレンドとなっています。
目先の状況を分析すると、EUの政府債務問題についてはLIBORのドル3ヶ月物金利は上昇ピッチを上げており要警戒域に入りました。一方、先週の日米金利差は拡大傾向で、為替は円安傾向でした。
今週の日経平均も、米国市場や為替などを睨んだ動きとなりそうです。テクニカルに見ると騰落レシオ、25日線乖離率などは、まだ売られ過ぎを示していますので、目先は反発が継続しても可笑しくないレベルです。ただ、欧米市場は景気後退と欧州財務問題の影響を懸念している状態が続きそうですので、急反発はなさそうです。今週は、雇用統計を始めとする経済指標の内容が相場の行方に大きく影響しそうです。ここからは、NYDowが8月17日の高値の11530ドルを上回まわり、Wボトムを確認できるか否かが注目点です。


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Friday, August 26, 2011

[2011/08/26]日経平均の今後の見通し

[市況]
25日のNYDowとNASDAQは下落しました。26日の日経平均先物は、前日比40円安で寄り付き、午前中は50円安から10円高の範囲でもみ合う動きでした。午後も、もみ合う中、引けにかけてやや上昇し、最終的に20円高で取引を終わりました。日経平均は25円高で引け、出来高は18.93億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、670万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス転換しました。個別銘柄に関しては、やや「売り」が有利な状況です。
25日の米国市場では、欧州市場が下落したことを受けて欧州の債務問題への懸念が強まり売りが優勢となりました。一方、ウォーレン・バフェット氏の投資会社が出資すると発表したバンク・オブ・アメリカが大幅に上昇したことで、金融株全般に買いが波及し、朝方には高く推移する場面もありました。
26日の日本市場では、朝方は米国市場安を嫌気して小安く始まりましたが、為替が円安ぎみ動いたこともあり、下値では押し目買いも入りました。今晩のバーナンキFRB議長の講演の内容を見極めたいと様子見気分も強かったものの、大引けにかけて主力株に買い戻しが入りました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-24.0%でマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-11.0%でマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線の下に在り、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線の下に在り、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンド黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.2ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は1.1ポイント割安幅を縮め、ほぼ均衡しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.60ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わっています。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の耐久財受注額、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数などは市場予想を上回りましたが、8月のフィラデルフィア連銀景気指数がマイナス30.7と、2年5ケ月ぶりの水準まで悪化し、8月のミシガン大学消費者態度指数は31年ぶりの水準まで低下し、8月のNY連銀製造業景気指数、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、6月の住宅価格指数、7月の住宅着工件数は予想以上でしたが、7月の新築住宅販売は3ヶ月連続で減少し、7月の中古住宅販売件数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和継続の主な原因となっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の国債の金利上昇が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。これは長期的な円高要因です。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月23日 0.3118% → 08月24日 0.3143% → 08月25日 0.3190%となり0.3%を超え上昇中です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.1、PBRが0.96、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落率ほどは下げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.5%となり、日経平均は140円の割安で、割安幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-330円 ~ +190円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きに変わりましたが、今日は弱い動きが縮小しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期は下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する要注意域に入りました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.20%に縮小したものの、為替はやや円安方向の動きです。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっていましたが、変化の兆しが見えます。前日の米国市場は欧州市場につれ安しました。今夜の米国市場では4-6月期のGDP改定値、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、バーナンキFRB議長の講演などが注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け、中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、世界の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。
今日の日本市場は様子見気分が強い相場でした。目先の予想レンジは、引き続き、上値が8月19日に空けた窓の窓埋めとなる8920円近辺で、下値は3月15日の終値の8605円近辺が想定されます。これを下回ると3月15日の安値の8227円まで節目が無くなります。まだ、正念場が続きます。


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Thursday, August 25, 2011

[2011/08/25]日経平均の今後の見通し

[市況]
24日のNYDowとNASDAQは上昇しました。25日の日経平均先物は、前日比100円高で寄り付き、午前中は150円高から70円高の範囲でもみ合う動きでした。午後は一時190円高となる場面もありましたが、最終的に120円高で取引を終わりました。日経平均は132円高で引け、出来高は20.58億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、530万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
24日の米国市場では、朝方発表された7月の耐久財受注額が前月比4.0%増と市場予想の1.9%増以上に増え、6月の住宅価格指数も予想以上となったことで、景気の先行きに対する過度の不透明感が後退しました。金相場や米国債相場が大幅安となったこともあり、投資資金が株式市場に流入し買いが優勢となりました。
25日の日本市場では、米国経済に対する先行き不安が和らぎ世界的な株高の流れに乗り、トヨタやソニーなど主力株中心に上昇しました。ただ、週末にバーナンキFRB議長の講演を控え様子見ムードも強く、引けにかけて伸び悩みました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-25.5%でマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-11.3%でマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンド黄信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.3ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は0.6ポイント割安幅を縮めました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.51ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わっています。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の耐久財受注額、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数などは市場予想を上回りましたが、8月のフィラデルフィア連銀景気指数がマイナス30.7と、2年5ケ月ぶりの水準まで悪化し、8月のミシガン大学消費者態度指数は31年ぶりの水準まで低下し、8月のNY連銀製造業景気指数、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、6月の住宅価格指数、7月の住宅着工件数は予想以上でしたが、7月の新築住宅販売は3ヶ月連続で減少し、7月の中古住宅販売件数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和継続の主な原因となっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の国債の金利上昇が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。これは長期的な円高要因です。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月22日 0.3084% → 08月23日 0.3118% → 08月24日 0.31438%となり0.3%を超え上昇中です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.1、PBRが0.97、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇に連動して上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.9%となり、日経平均は280円の割安で、割安幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-330円 ~ +190円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて弱い動きに変わりましたが、今日も弱い動きが拡大しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する要注域に入りました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.27%に拡大し、為替は円安方向の動きです。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっていましたが、変化の兆しが見えます。前日の米国市場は世界景気への過度の警戒感が後退し上昇しました。今夜の米国市場では新規失業保険申請件数などが注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け、中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、世界の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。
今日の日本市場は主力株が買い戻される展開となりました。目先の予想レンジは、引き続き、上値が8月19日に空けた窓の窓埋めとなる8920円近辺で、下値は3月15日の終値の8605円近辺が想定されます。これを下回ると3月15日の安値の8227円まで節目が無くなります。まだ、正念場が続きます。


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Wednesday, August 24, 2011

[2011/08/24]日経平均の今後の見通し

[市況]
23日のNYDowとNASDAQは上昇しました。24日の日経平均先物は、前日比70円高で寄り付き、午前中は80円高から50円安の範囲で値を下げる動きでした。午後は一時130円安まで売られる動きとなり、最終的に80円安で取引を終わりました。日経平均は93円安で引け、出来高は21.81億株と増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、670万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状況です。
23日の米国市場では、8月の中国のPMIが改善し、横ばいだった欧州のPMIも市場予想は上回るなど、欧州や中国の景況感指数が悪化傾向とならず、海外景気への過度の警戒感が後退しました。欧州銀行株の上昇も投資家心理の改善につながり、グローバル企業の株式を中心に買いが入りました。一方、7月の米新築住宅販売は3ヶ月連続で減少しましたが、嫌気した売りは目立たちませんでした。
24日の日本市場では、朝方は米国市場の大幅上昇を受けて買いが先行しましたが、ムーディーズが日本国債や邦銀を格下げしたことやアジア株が軟調となったことから戻り待ちの売りに押されて徐々に下げ幅を拡大しました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-30.3%でマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-12.7%でマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンド赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.9ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は4.6ポイント割高幅を縮め割安に転換しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.52ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わっています。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数などは市場予想を上回りましたが、8月のフィラデルフィア連銀景気指数がマイナス30.7と、2年5ケ月ぶりの水準まで悪化し、8月のミシガン大学消費者態度指数は31年ぶりの水準まで低下し、8月のNY連銀製造業景気指数、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、7月の住宅着工件数は小幅の減少で予想以上でしたが、7月の新築住宅販売は3ヶ月連続で減少し、7月の中古住宅販売件数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和継続の主な原因となっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の国債の金利上昇が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。これは長期的な円高要因です。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月19日 0.3030% → 08月22日 0.3084% → 08月23日 0.3118%となり0.3%を超え上昇中です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが12.9、PBRが0.95、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの大幅上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.4%となり、日経平均は220円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-270円 ~ +190円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていましたが、今日は一転して弱い動きに転換しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する要注域に入りました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.16%に拡大しましたが、為替は円の高止まり状態が続いています。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。前日の米国市場は世界景気への過度の警戒感が後退し上昇しました。今夜の米国市場では7月の耐久財受注、6月の住宅価格指数などが注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け、中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、世界の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。
今日の日本市場は主力株が売られる展開となり、3月15日の終値に接近しました。目先の予想レンジは、上値が8月19日に空けた窓の窓埋めとなる8920円近辺で、下値は3月15日の終値の8605円近辺が想定されます。これを下回ると3月15日の安値の8227円まで節目が無くなります。正念場が続きます。


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Tuesday, August 23, 2011

[2011/08/23]日経平均の今後の見通し

[市況]
22日のNYDowとNASDAQは上昇しました。23日の日経平均先物は、前日比80円高で寄り付き、午前中は100円高から10円高の範囲でもみ合う動きでした。午後は130円高まで買われる動きとなり、最終的に120円高で取引を終わりました。日経平均は104円高で引け、出来高は20.91億株と増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、650万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状況です。
22日の米国市場では、欧州債務問題が小康状態を保ち、投資家のリスク回避姿勢が緩和しました。また、バーナンキ議長の26日に予定する講演での発言が明らかになるまでは売り買いともに積極的に動きづらいとの雰囲気も強く、積極的な売買は限られました。
23日の日本市場では、米国市場の上昇から、アジア市場が軒並み上昇したことを受け、世界的な株安連鎖への懸念がいったん後退しました。前日に3月15日の年初来安値の8605円に急接近したことから、値ごろ感もあり、買いが優勢となりました。引けにかけて売り方の買い戻しも入り、この日の高値で引けました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-28.1%でマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-11.8%でマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンド赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.7ポイント割高(強い動き)であることを示しています。日本市場は0.8ポイント割高幅を拡げました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.63ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わっています。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数などは市場予想を上回りましたが、8月のフィラデルフィア連銀景気指数がマイナス30.7と、2年5ケ月ぶりの水準まで悪化し、8月のミシガン大学消費者態度指数は31年ぶりの水準まで低下し、8月のNY連銀製造業景気指数、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、7月の住宅着工件数は小幅の減少で予想以上でしたが、7月の中古住宅販売件数、6月の新築住宅販売件数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和継続の主な原因となっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の国債の金利上昇が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。これは長期的な円高要因です。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月18日 0.2978% → 08月19日 0.3030% → 08月22日 0.3084%となり0.3%を超え上昇中です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.1、PBRが0.96、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇率以上に上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.0%となり、日経平均は90円の割高で、割高幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-120円 ~ +190円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていますが、今日は強い動きが拡大しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルにはほぼ均衡しており、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する要注域に入りました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.10%にやや拡大しましたが、為替は円の高止まり状態が続いています。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、前日の米国市場は新たな悪材料は無く上昇しました。今夜の米国市場では8月のリッチモンド連銀製造業指数、7月の新築住宅販売件数まどが注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け、中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。
今日の日本市場は輸出株が上昇し、比較的強い動きとなました。目先の予想レンジは、上値が8月19日に空けた窓の窓埋めとなる8920円近辺で下値は、3月15日の終値の8605円近辺が想定されます。これを下回ると3月15日の安値の8227円まで節目が無くなります。


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Monday, August 22, 2011

[2011/08/22]日経平均の今後の見通し

[市況]
19日のNYDowとNASDAQは下落しました。22日の日経平均先物は、前日比20円安で寄り付き、午前中は40円安から70円高の範囲でもみ合う動きでした。午後は弱い動きとなり、最終的に90円安で取引を終わりました。日経平均は91円安で引け、出来高は19.66億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、730万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状況です。
19日の米国市場では、HPが決算と併せてパソコン事業の分離を検討していると発表しましたが、8-10月期の業績見通しが市場予想に比べて慎重だったことで、株価は約6ドル安と、NYDowを押し下げました。また、欧州銀行の資金調達への不安が広がるなど、金融市場の混乱懸念が強まり、投資家のリスク回避傾向が強まりました
22日の日本市場では、午前中は小高く推移する場面もありましたが、世界景気の減速懸念や欧州債務問題の不透明感が重荷となり、大引け間際に下げ幅を広げました。円の高止まりから自動車や電機、機械など輸出関連の主力銘柄に売りが膨らみました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-32.0%でマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-12.8%でマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンド赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.9ポイント割高(強い動き)であることを示しています。日本市場は0.6ポイント割高幅を拡げましたが、ほぼ均衡しています。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.57ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わっています。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数などは市場予想を上回りましたが、8月のフィラデルフィア連銀景気指数がマイナス30.7と、2年5ケ月ぶりの水準まで悪化し、8月のミシガン大学消費者態度指数は31年ぶりの水準まで低下し、8月のNY連銀製造業景気指数、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、7月の住宅着工件数は小幅の減少で予想以上でしたが、7月の中古住宅販売件数、6月の新築住宅販売件数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和継続の主な原因となっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の国債の金利上昇が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。これは長期的な円高要因です。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月17日 0.2959% → 08月18日 0.2978% → 08月19日 0.3030%となり0.3%を超え上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが12.9、PBRが0.95、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落率ほどは下げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.3%となり、日経平均は30円の割高で、割高幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-120円 ~ +190円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていましたが、今日は強い動きがやや拡大しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルにはほぼ均衡しており、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する要注域に入りました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.09%にやや拡大しましたが、為替は円の高止まり状態が続いています。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、前日の米国市場はHPの業績見通し悪化で下落しました。今夜の米国市場では7月のシカゴ連銀全米活動指数が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け、中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。
今日も日本市場は少し下げ渋りました。日経平均は引き続き売り有利な状況です。目先の予想レンジは、上値が8月19日に空けた窓の窓埋めとなる8920円近辺で下値は、3月15日の終値の8605円近辺が想定されます。これを下回ると3月15日の安値の8227円まで節目が無くなります。


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Saturday, August 20, 2011

[2011/08/20]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、欧米の経済指標の悪化から、世界経済の後退懸念を生み、大幅下落しました。一方、中長期的には、先進国の緊縮財政による消費や雇用の改善の遅れ、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念、資源高騰に伴う新興国の利上げによる景気後退懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性が残されています。
2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はOECDの予測値の改定により、日本市場は2.66ポイント割高となりました。その要因はS&P500のPERが13.0で、東証1部平均のPERの13.4との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、震災の影響で日本の2011年のGDP予想値が1.8%程度になる(又は、日米のGDP伸び率差がOECD予想値より2.7ポイント縮まる)ことが織り込まれているとも解釈できます。


[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在-0.9%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陰線となりました。今週は、7月の耐久財受注、6月の住宅価格指数、4-6月期のGDP改定値、バーナンキFRB議長講演などが株式相場に影響しそうですが、10600ドルを割り込む場面が有るかどうかがカギとなりそうです。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は+17%ですが、今期ROE予想7月の鉱工業生産値は7.9%から7.4%へやや悪化しています。
③ 日米とも長期金利は下降傾向で、日米の金利差は1.20%から1.09%へ縮小し、為替は76円から75円台で推移しました。今週は76円台から75円台で円高方向に動きそうです。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は改定され日本が-0.9%で、米国は+2.6%と予想されていますので、この面では日本市場にとって3.5ポイント分の弱気材料です。
⑤ 8月2週は売り越しで8月3週も売り越しだった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち①③⑤が弱気材料でした。今週も、①③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、1.7ポイント割割高に転換しました。先週比3.6ポイント強い動きとなりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。200日移動平均線乖離率は-12.0%となり先週と比較してマイナス幅が拡大しました。総合乖離率は-29.9%となりマイナス幅が拡大しました。3つがマイナスですので中期トレンドは、”赤信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の下に在りますので、短期的トレンドには"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。短期的には赤信号"で中期的には"赤信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場は、アフリカ・中東政情不安、資源高、新興国の利上などのリスクはやや後退しているものの、不動産市場の低迷、雇用指標の停滞、世界景気後退懸念、欧・米の政府債務問題が悪材料となっています。ただ、好材料としては、FRBによる金融緩和が2013年まで継続する見通しの中、企業決算は概ね好調である点が挙げられます。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドとなっています。日本市場は中期下降トレンドで、短期も下降昇トレンドとなっています。
目先の状況を分析すると、EUの政府債務問題についてはLIBORのドル3ヶ月物金利は上昇ピッチを上げており要警戒域に入りました。一方、先週の日米金利差は縮小傾向で、為替は円高傾向でした。
今週の日経平均も、米国市場や為替などを睨んだ動きとなりそうです。テクニカルに見ると騰落レシオ、25日線乖離率やサイコロジカルラインなどが目先は売られ過ぎを示していますので、目先は反発しても可笑しくないレベルです。ただ、欧米市場は景気後退と欧州財務問題の影響を懸念している状態が続きそうですので、急反発はなさそうです。今週は、週末のバーナンキFRB議長講演での発言に対する思惑が相場の行方に大きく影響しそうです。それまでは、追加金融緩和を期待して底堅い展開も考えられます。いずれにせよNYDowが直近安値の10604ドルを下回るか否かが注目点です。


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Thursday, August 18, 2011

[2011/08/19]日経平均の今後の見通し

[市況]
18日のNYDowとNASDAQは大幅下落しました。19日の日経平均先物は、前日比220円安で寄り付き、午前中は220円安から150円安の範囲でもみ合う動きでした。午後は140円安と240円安の間で幅を広げて上下し、最終的に230円安で取引を終わりました。日経平均は224円安で引け、出来高は20.47億株と増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、1220万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状況です。
18日の米国市場では、8月のフィラデルフィア連銀景気指数がマイナス30.7と、2年5ヶ月ぶりの水準まで悪化し、週間の新規失業保険申請件数は市場予想以上に増え、7月の中古住宅販売件数も予想に反して減少するなど、景気の減速懸念が一段と強まりました。また、米金融当局が欧州大手銀行の米国事業を調査していると報道されたことで、欧州の債務問題の米金融システムへの波及懸念で米大手銀行にも売りが波及したことも嫌気されました。
19日の日本市場では、米国市場が経済指標の悪化などを嫌気して急落したことを受けて、輸出関連を中心に主力株が軒並み売られました。売り一巡後も、円相場の高止まりやアジア市場安が重荷にとなり安値圏での推移が続きました。大引け間際に東北地方で強い地震が発生すると一段安となりました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-29.9%でマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-12.0%でマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線の下に在り、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線の下に在り、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンド黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.3ポイント割高(強い動き)であることを示しています。日本市場は1.9ポイント割安幅を縮め、ほぼ均衡しています。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.18ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わっています。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数などは市場予想を上回りましたが、8月のフィラデルフィア連銀景気指数がマイナス30.7と、2年5ケ月ぶりの水準まで悪化し、8月のミシガン大学消費者態度指数は31年ぶりの水準まで低下し、8月のNY連銀製造業景気指数、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、7月の住宅着工件数は小幅の減少で予想以上でしたが、7月の中古住宅販売件数、6月の新築住宅販売件数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和継続の主な原因となっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の国債の金利上昇が金融システム不安再燃の懸念を生んでいます。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。これは長期的な円高要因です。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月16日 0.2928% → 08月17日 0.2959% → 08月18日 0.2978%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.0、PBRが0.96、ROEが7.3%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落率ほどは下げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.1%となり、日経平均は10円の割高で、やや割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-120円 ~ +190円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていましたが、今日でほぼ均衡しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルにはほぼ均衡しており、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する懸念が続いています。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.08%に縮小し、為替は円の高止まり状態が続いています。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、前日の米国市場は経済指標の悪化で大幅下落しました。今夜の米国市場では重要な経済指標の発表は無さそうですので個別材料が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け、中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。
今日の日本市場は昨日下げた分だけ下げ渋りました。日経平均の目先の予想レンジは、上値が8月19日に空けた窓の窓埋めとなる8920円近辺で下値は、8月09日の安値の8650円近辺が想定されます。また、正念場を迎えたようです。


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注目銘柄、日経平均チャートについてはYS総合研究所HPも参考にしてください。

[2011/08/18]日経平均の今後の見通し

[市況]
17日のNYDowは上昇しNASDAQは下落しました。18日の日経平均先物は、前日比10円安で寄り付き、午前中は10円高から50円安の範囲で値を下げる動きでした。午後は120円安となる場面も有りましたが、最終的に100円安で取引を終わりました。日経平均は113円安で引け、出来高は17.39億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、350万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス転換しました。個別銘柄に関しては、やや「売り」が有利な状況です。
17日の米国市場では、デルが2012年1月期の売上高見通しを従来予想から引き下げたことで、IT関連株が収益の先行き不透明感から売りに押される場面もありましたが、短期的な相場の戻りを期待する買いも入り、ほぼ横ばいで終えました。
18日の日本市場では、朝方に発表された貿易統計速報で7月の輸出額の改善ペースが鈍化したことや、円相場が高止まったことが投資家心理の重荷となり、電機や自動車など主力株が軒並み大きく売られました。午後に入るとアジア市場でハイテク関連株が大幅下落したことで、先物にまとまった売りが出て下げ幅を広げ、この日の安値圏で取引を終了しました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-23.6%でマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-9.7%でマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。
NYDowは200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンド黄信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.2ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は0.7ポイント割安幅が拡がりました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.67ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わっています。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数などは市場予想を上回りましたが、8月のミシガン大学消費者態度指数は31年ぶりの水準まで低下し、8月のNY連銀製造業景気指数、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月15日 0.2917% → 08月16日 0.2928% → 08月17日 0.2959%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.4、PBRが0.99、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.1%となり、日経平均は100円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-120円 ~ +310円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていましたが、今日は弱い動きに変わりました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する懸念が続いています。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.17%に縮小し、為替は円の高止まり状態が続いています。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、前日の米国市場はIT関連株が下落しました。今夜の米国市場では新規失業保険申請件数、7月の消費者物価指数、7月の中古住宅販売、8月のフィラデルフィア連銀指数が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。一方、日本市場は今日も輸出関連株が売られました。日経平均の目先の予想レンジは、上値が8月17日に空けた窓の窓埋めとなる9070円近辺で下値は、8月11日の安値の8810円近辺が想定されます。弱含みとなりました。


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Wednesday, August 17, 2011

[2011/08/17]日経平均の今後の見通し

[市況]
16日のNYDowとNASDAQは下落しました。17日の日経平均先物は、前日比30円安で寄り付き、午前中は10円安から70円安の範囲で値を下げる動きでした。午後は20円高となる場面も有りましたが、最終的に30円安で取引を終わりました。日経平均は50円安で引け、出来高は16.11億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、1300万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、やや「買い」が有利な状況です。
16日の米国市場では、ドイツの4-6月期の実質GDPの伸びが1-3月期から鈍化し、市場予想も下回ったことで、欧州の景気先行きへの不安から、売りが先行しました。ただ、7月の鉱工業生産指数が前月比で市場予想以上に上昇したことなどが支えとなり、相場は下げ渋りました。
17日の日本市場では、米国市場が下落したことを受けて、売りが優勢でした。ただ、取引参加者も少なく、売り一巡後は買い戻しが入り、下げ渋る動きとなりました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-20.6%でマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-8.6%でマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。
NYDowは200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンド黄信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.52.2ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は0.7ポイント割安幅が縮まりました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.72ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わっています。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の鉱工業生産指数、7月の小売売上高、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数などは市場予想を上回りましたが、8月のミシガン大学消費者態度指数は31年ぶりの水準まで低下し、8月のNY連銀製造業景気指数、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月12日 0.2901% → 08月15日 0.2917% → 08月16日 0.2928%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.5、PBRが0.99、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落率ほどは下げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.1%となり、日経平均は10円の割高で、割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-40円 ~ +570円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていましたが、今日は強い動きに戻りました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する懸念が出てきました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.20%に縮小したものの、為替は円の高止まり状態が続いています。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、前日の米国市場は欧州の景気後退懸念で下落しました。今夜の米国市場では重要な経済指標の発表は無さそうですので個別材料が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。一方、日本市場は輸出関連株が売られました。日経平均の目先の予想レンジは、上値が8月8日に空けた窓の窓埋めとなる9250円近辺で下値は8月11日の高値の8990円近辺が想定されます。暫くもみ合う展開となりそうです。


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Tuesday, August 16, 2011

[2011/08/16]日経平均の今後の見通し

[市況]
15日のNYDowとNASDAQは大幅上昇しました。16日の日経平均先物は、前日比70円高で寄り付き、午前中は90円高から30円高の範囲での動きでした。午後は小動きながら徐々に下落し、最終的に10円高で取引を終わりました。日経平均は21円高で引け、出来高は16.74億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、140万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス転換しました。個別銘柄に関しては、やや「買い」が有利な状況です。
15日の米国市場では、グーグルがモトローラを125億ドルで買収すると発表したことで、モトローラ株が急騰し、業界再編の思惑などから同業株も上昇しました。また、欧州市場が連日で上昇し、ひとまず下げ止まったとの見方が広がりました。ただ、8月のニューヨーク連銀景気指数が市場予想を下回ったことで、相場は伸び悩む場面もありました。
16日の日本市場では、米国市場が上昇したことを好感し、輸出関連株を中心に買いが優勢でした。ただ、海外景気の先行きを見極めたいとの慎重姿勢は残り、材料も乏しいなかで、このところ堅調だった内需系の銘柄が売りに押され、積極的な買いは限定的でした。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-19.5%でマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-8.1%でマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.2ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は1.4ポイント割安幅が広がりました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.67ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わっています。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の小売売上高、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数などは市場予想を上回りましたが、8月のミシガン大学消費者態度指数は31年ぶりの水準まで低下し、8月のNY連銀製造業景気指数、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、6月の鉱工業生産指数、6月の耐久財受注、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月11日 0.2862% → 08月12日 0.2901% → 08月15日 0.2917%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%は下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.6、PBRが1.00、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇率ほどは上げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.2%となり、日経平均は30円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-30円 ~ +570円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていましたが、今日は弱い動きに変わりました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する懸念が出てきました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.28%に拡大したものの、為替は円の高止まりでした。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、前日の米国市場はグーグルがモトローラを買収すると発表したことで上昇しました。今夜の米国市場では7月の住宅着工件数、7月の鉱工業生産が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ただ、騰落レシオが70を下回り、25日線乖離率が-5.7%となるなど、まだ反騰が継続しても可笑しくないレベルですが、そろそろテクニカルな反発は終わりそうです。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。一方、日本市場は材料不足が意識されたようです。日経平均の目先の予想レンジは、引き続き、上値が8月8日に空けた窓の窓埋めとなる9250円近辺で下値は8月11日の高値の8990円近辺が想定されます。


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Monday, August 15, 2011

[2011/08/15]日経平均の今後の見通し

[市況]
12日のNYDowとNASDAQは上昇しました。15日の日経平均先物は、前日比120円高で寄り付き、午前中は160円高から70円高の範囲で徐々に下げる動きでした。午後は一時60円高もありましたが、徐々に戻す動きとなり、最終的に100円高で取引を終わりました。日経平均は122円高で引け、出来高は14.95億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、370万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、やや「売り」が有利な状況ですが、ボトムアウト感があります。
12日の米国市場では、朝方発表の7月の小売売上高が2ヶ月連続で増加し、景気の先行き不透明感がやや薄らぎ、買いが先行しました。一方、8月のミシガン大学消費者態度指数は31年ぶりの水準まで低下し、発表直後に上げ幅を縮める場面がありました。
13日の日本市場では、先週末の米国市場高を受けて、買いが先行しました。前週に大幅下落したトヨタ、ソニーなど輸出関連株に買い戻しが入りました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-20.6%でマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-8.3%でマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.6ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は0.8ポイント割安幅が縮まりました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.71ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わっています。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月の小売売上高、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数などは市場予想を上回りましたが、8月のミシガン大学消費者態度指数は31年ぶりの水準まで低下し、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、6月の鉱工業生産指数、6月の耐久財受注、7月のNY連銀製造業景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月10日 0.2806% → 08月11日 0.2862% → 08月12日 0.2901%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.6、PBRが1.00、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇に連動して上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.4%となり、日経平均は130円の割高で、割高幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+90円 ~ +570円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていますが、今日は強い動きが急減速しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルにはほぼ均衡しており、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する懸念が出てきました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.23%に縮小し、為替は円の高止まりでした。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、前日の米国市場は7月の小売売上高が2ヶ月連続で増加し上昇しました。今夜の米国市場では8月のNY連銀製造業景気指数が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ただ、騰落レシオが70を下回り、25日線乖離率が-6.3%、サイコロジカルラインが33%となるなど、まだ反騰が継続しても可笑しくないレベルです。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。一方、日本市場は外需株が弱い中、内需株の強さが鮮明になってきたようです。日経平均の目先の予想レンジは、上値が8月8日に空けた窓の窓埋めとなる9250円近辺で下値は8月11日の高値の8990円近辺が想定されます。

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Saturday, August 13, 2011

[2011/08/14]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、米国債の格下げ、世界経済の後退懸念と欧州財政問題の再燃で、下落しました。一方、中長期的には、先進国の緊縮財政による消費や雇用の改善の遅れ、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念、資源高騰に伴う新興国の利上げによる景気後退懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性が残されています。
2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はOECDの予測値の改定により、日本市場は1.69ポイント割高となりました。その要因はS&P500のPERが14.0で、東証1部平均のPERの13.7との差と日米金利差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、震災の影響で日本の2011年のGDP予想値が1.1%程度(OECD予想値より1.5ポイント高い)になることが織り込まれているとも解釈できます。


[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在+1.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陰線となりました。今週は、住宅関連指標、7月の鉱工業生産などが株式相場に影響しそうですが、もみ合う中で戻り歩調となりそうです。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は+17%ですが、今期ROE予想7月の鉱工業生産値は7.9%から7.4%へやや悪化しています。
③ 日米とも長期金利は下降傾向で、日米の金利差は1.55%から1.20%へ縮小し、為替は77円から76円台で推移しました。今週は77円台から75円台で円高方向に動きそうです。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は改定され日本が-0.6%で、米国は+2.4%と予想されていますので、この面では日本市場にとって3.0ポイント分の弱気材料です。
⑤ 8月1週は売り越しで8月2週も売り越しだった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち①③⑤が弱気材料でした。今週も、①③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、1.9ポイント割割安に転換しました。先週比2.4ポイント弱い動きとなりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。200日移動平均線乖離率は-9.6%となり先週と比較してマイナス幅が拡大しました。総合乖離率は-24.8%となりマイナス幅が拡大しました。3つがマイナスですので中期トレンドは、”赤信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の下に在りますので、短期的トレンドには"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。短期的には赤信号"で中期的には"赤信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場は、アフリカ・中東政情不安、資源高、新興国の利上などのリスクはやや後退しているものの、不動産市場の低迷、雇用指標の停滞、世界景気後退懸念、欧・米の政府債務問題が悪材料となっています。ただ、好材料としては、FRBによる金融緩和が2013年まで継続する見通しの中、企業決算は概ね好調である点が挙げられます。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドとなっています。日本市場は中期下降トレンドで、短期も下降昇トレンドとなっています。
目先の状況を分析すると、EUの政府債務問題についてはLIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇ピッチを上げており要注意です。一方、先週の日米金利差は縮小傾向で、為替は円高傾向でした。
今週の日経平均も、米国市場や為替などを睨んだ動きとなりそうです。テクニカルに見ると騰落レシオ、25日線乖離率やサイコロジカルラインなどが目先は売られ過ぎを示していますので、目先は反発続いても可笑しくないレベルです。ただ、米国市場は景気後退と欧州財務問題や米国債の格付けの低下の影響を懸念している状態が続きそうですので、本格的な反転は望み薄です。今週は依然としてボラテリティーが高く、乱高下を繰り返しつつ値を戻す動きとなりそうです。


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Friday, August 12, 2011

[2011/08/12]日経平均の今後の見通し

[市況]
11日のNYDowとNASDAQは大幅上昇しました。12日の日経平均先物は、前日比110円高で寄り付き、午前中は110円高から10円安の範囲で徐々に下げる動きでした。午後は一時60円安まで下げましたが、最終的に20円安で取引を終わりました。日経平均は18円安で引け、出来高は20.29億株と減少しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、1190万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況ですが、ボトムアウト感があります。
11日の米国市場では、朝方発表された週間の新規失業保険申請件数が横ばいとの予想に対して減少し、景気や雇用情勢に対する過度の懸念が和らぐとの期待感から買い先行で始まりました。四半期決算が市場予想を上回ったシスコシステムズが16%高と急伸し、IT関連株に買いが広がりました。また、欧州発の金融不安の業績への影響などを警戒して、前日まで売られていた金融株が反発したことも相場の押し上げ要因となりました。
12日の日本市場では、朝方は米国市場高やEU加盟4ヶ国の金融株に対する空売り規制を好感した買いが先行しました。ただ、ドルやユーロに対して円が強含んだことで、輸出関連株の売りが優勢となりました。反面、内需株の一角が買われました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-24.8%でマイナス幅は変わりません。200日線との乖離率は-9.6%でマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.4ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は割安に転換しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.55ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わっています。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数、6月の小売売上高などは市場予想を上回りましたが、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、6月の鉱工業生産指数、6月の耐久財受注、7月のNY連銀製造業景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月09日 0.2784% → 08月10日 0.2806% → 08月11日 0.2862%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.4、PBRが0.99、ROEが7.4%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.9%となり、日経平均は180円の割高で、割高幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+10円 ~ +570円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていますが、今日は強い動きが急減速しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する懸念が出てきました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.31%に拡大したものの、為替は円の高止まりでした。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、前日の米国市場は主にテクニカル要因でリバウンドしました。今夜の米国市場では7月の小売売上高、8月のミシガン大学消費者信頼感指数が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ただ、騰落レシオが70を下回り、25日線乖離率が-7.9%、サイコロジカルラインが25%となるなど、反転しても可笑しくないレベルです。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。一方、日本市場は外需株が弱い中、内需株の強さが鮮明になってきたようです。日経平均の目先の予想レンジは、上値が8月8日に空けた窓の窓埋めとなる9265円近辺で下値は昨日の安値の8830円近辺が想定されます。まだまだ、ボラティリティが高い相場が続きそうです。


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Thursday, August 11, 2011

[2011/08/11]日経平均の今後の見通し

[市況]
10日のNYDowとNASDAQは大幅下落しました。11日の日経平均先物は、前日比190円安で寄り付き、午前中は210円安から40円安の範囲で下げ幅を縮める動きでした。午後は小動きながら確りした展開となり、最終的に40円安で取引を終わりました。日経平均は56円安で引け、出来高は22.37億株と高水準ながらやや減少しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、1220万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況ですが、ボトムアウト感があります。
10日の米国市場では、フランス国債の格下げ懸念が広がるなど、欧州の債務問題の拡大に対する警戒感が強まり金融株を中心に売りが膨らみました。景気の先行きに対する警戒感も引き続き強く、NYDowは昨年9月23日以来ほぼ11ヶ月ぶりの安値で終えました。
11日の日本市場では、米国市場が大幅に下落したことや円が対ユーロで上昇したこともあり、朝方は200円超下げる場面がありました。ただ、6月の機械受注が市場予想を大幅に上回ったことや、アジア市場が底堅く推移したことを支えに底堅く推移し、下げ幅を縮めました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-24.8%とマイナス幅が拡がりました。200日線との乖離率は-9.4%とマイナス幅が拡がりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.0ポイント割高(強い動き)であることを示しています。日本市場は割高に転換しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.81ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わっています。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、好調な企業が多いようです。経済指標では、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数、6月の小売売上高などは市場予想を上回りましたが、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、6月の鉱工業生産指数、6月の耐久財受注、7月のNY連銀製造業景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでており、7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。特に、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは景気認識を引き下げ、短期金利を2013年半ばまでは超低金利で維持することを表明しました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月08日 0.2748% → 08月09日 0.2784% → 08月10日 0.2806%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.5、PBRが0.99、ROEが7.3%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場と思われます。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落率ほどは下げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+5.9%となり、日経平均は560円の割高で、割高幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+10円 ~ +570円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていますが、今日は強い動きが急加速しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割高で、ファンダメンタルにも割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇が続き、欧州財政問題が金融不安に発展する懸念が出てきました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.07%に縮小し、為替は円高方向でした。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、前日の米国市場は景気後退とフランス国債の格下げ懸念で大幅に下げました。今夜の米国市場では新規失業保険申請件数、6月貿易収支が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ただ、騰落レシオが70を下回り、25日線乖離率が-8.2%、サイコロジカルラインが25%となるなど、反転しても可笑しくないレベルです。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。一方、日本市場は内需株の強さが鮮明になってきたようです。日経平均の目先の予想レンジは、上値が8月8日に空けた窓の窓埋めとなる9265円近辺で下値は今日空けた窓の窓埋めとなる8990円近辺が想定されます。まだまだ、ボラティリティが高い相場が続きそうです。


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Wednesday, August 10, 2011

[2011/08/10]日経平均の今後の見通し

[市況]
9日のNYDowとNASDAQは大幅上昇しました。10日の日経平均先物は、前日比150円高で寄り付き、午前中は160円高から10円高の範囲で上げ幅を縮める動きでした。午後は小動きとなり、最終的に20円高で取引を終わりました。日経平均は94円高で引け、出来高は22.59億株と高水準ながら減少しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、1140万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況ですが、ボトムアウト感があります。
9日の米国市場では、前日に大幅下落した後とあって、目先の戻りを期待した買いが優勢となりました。FOMC後の声明で景気認識が引き下げられ、超低金利政策については少なくとも2013年半ばまで続ける可能性があると伝わると、金融緩和策に対する失望売りで大幅安となる場面もあり、市場は乱高下しました。
10日の日本市場では、米国市場の上昇で、世界的な株安の連鎖が止まり、値ごろ感から買いが優勢となりました。ただ、午後は上げ幅を縮めました。投資家心理の悪化に、一旦は歯止めがかった格好です。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-23.6%とマイナス幅が縮まりました。200日線との乖離率は-8.9%とマイナス幅が縮まりました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.3ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場は割安に転換しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.72ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中ですが、終了後も緩和的な政策は続きそうです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わりました。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、今のところ好調な企業が多いようです。経済指標では、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数、6月の小売売上高などは市場予想を上回りましたが、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、6月の鉱工業生産指数、6月の耐久財受注、7月のNY連銀製造業景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでていました。7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。一方、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、6月末で大幅なドル供給策は終了するものの、金利は据え置かれ、緩和的な政策は継続されるとのFRBによる方向が示されました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月05日 0.2716% → 08月08日 0.2748% → 08月09日 0.2784%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.6、PBRが1.00、ROEが7.3%となっています。PBRが1.0ですので長期的には買い場です。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.1%となり、日経平均は190円の割高で、割高幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+10円 ~ +480円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていますが、今日は強い動きが急減速しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルにはやや割安で、ファンダメンタルにもは割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇し、欧州財政問題が金融不安に発展する気配が少し見えてきました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.22%と縮小し、為替は円高方向でした。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、前日の米国市場は下げ過ぎから買い戻しが入りました。今夜の米国市場では6月の卸売在庫、7月の財政収支が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ただ、騰落レシオが70を下回り、25日線乖離率が-8.0%、サイコロジカルラインが33%となるなど、反転が継続しても可笑しくないレベルです。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となるか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。また、FOMCでの対策はインパクトに欠けますので、日経平均の目先の予想レンジは、上値が8月8日に空けた窓の窓埋めとなる9265円近辺で下値は8月9日に空けた窓の窓埋めとなる8950円近辺が想定されます。まだまだ、ボラティリティが高い相場が続きそうです。


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Tuesday, August 09, 2011

[2011/08/09]日経平均の今後の見通し

[市況]
8日のNYDowとNASDAQは大幅下落しました。9日の日経平均先物は、前日比350円安で寄り付き、午前中は330円安から470円安の範囲で下げ幅を拡げる動きでした。午後は急速に切り返し、最終的に120円安で取引を終わりました。日経平均は153円安で引け、出来高は33.19億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、1380万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況ですが、ボトムアウト感があります。
8日の米国市場では、米国債の格付け引き下げ、イタリアやスペインなどの債務に対する警戒感の再燃や、米景気の二番底リスクもくすぶり、投資家心理が大きく悪化しました。金融株を中心にほぼ全面安となりました。
9日の日本市場では、米国債の格付け引き下げを嫌気した世界的な株安を嫌気し、前場に440円安の8656円まで下げる場面がありましたが、午後にアジア市場が下げ渋ったことや、今晩のFOMC控えて、対応策への期待から買い戻しが入り、急速に下げ幅を縮小しました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-26.9%とマイナス幅が拡大しました。200日線との乖離率は-9.9%とマイナス幅が拡大しました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が3.4ポイント割高(強い動き)であることを示しています。日本市場が割高に転換しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.62ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中ですが、終了後も緩和的な政策は続きそうです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わりました。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、今のところ好調な企業が多いようです。経済指標では、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数、6月の小売売上高などは市場予想を上回りましたが、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、6月の鉱工業生産指数、6月の耐久財受注、7月のNY連銀製造業景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでていました。7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。一方、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、6月末で大幅なドル供給策は終了するものの、金利は据え置かれ、緩和的な政策は継続されるとのFRBによる方向が示されました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月04日 0.2694%→ 08月05日 0.2716% → 08月08日 0.2748%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.5、PBRが0.99、ROEが7.3%となっています。PBRが1.0以下ですので長期的には買い場です。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+5.1%となり、日経平均は480円の割高で、割高幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+10円 ~ +480円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていますが、今日は強い動きが急加速しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割高で、ファンダメンタルにも割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇し、欧州財政問題が金融不安に発展する気配が少し見えてきました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.28%と縮小し、為替は円高方向でした。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、前日の米国市場は格付け引き下げや、イタリア・スペインの債務に対する警戒感で大幅に下落しました。今夜の米国市場では4-6月期労働生産性、FOMCが注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ただ、騰落レシオが70を下回り、25日線乖離率が-9.3%、サイコロジカルラインが25%となるなど、いつ反転しても可笑しくないレベルです。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の経営に影響するか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米国債の格下げや経済指標の陰りが足を引っ張っています。ただ、今夜のFOMCで何等かの対策が出ることが予想されますので、日経平均の目先の予想レンジは、上値が8月8日に空けた窓の窓埋めとなる9265円近辺で下値は今日空けた窓の窓埋めとなる8950円近辺が想定されます。まだまだ、ボラティリティが高い相場が続きそうです。


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Monday, August 08, 2011

[2011/08/08]日経平均の今後の見通し

[市況]
5日のNYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。8日の日経平均先物は、前日比120円安で寄り付き、午前中は60円安から160円安の範囲で下げ幅を徐々に拡げる動きでした。午後は一時230円安まで下げる場面がありましたが、最終的に160円安で取引を終わりました。日経平均は202円安で引け、出来高は20.42億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、1760万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況ですが、ボトムアウト感が出てきました。。
5日の米国市場では、朝方発表された7月の米雇用統計では雇用者数が前月比11万7千人増と市場予想以上に増え、失業率も9.1%に低下したことを受け、NYDowは170ドルあまり上げてスタートしましたが、イタリアやスペインを取り巻く不透明感から欧州株式市場で売りが膨らみ、手じまい売りでNYDowは一時240ドル安まで急落しました。午後に、イタリアが財政再建を加速するとの報道に加え、ECBがイタリア国債を購入することを検討していると伝わったことで、NYDowは上昇に転じて終了しました。
8日の日本市場では、5日に米格付け会社S&Pが米国債の格下げを発表し、世界的な金融市場の混乱が意識される中、後場にアジア市場の急落をきっかけに、世界的な連鎖株安への懸念から一段安となりました。朝方にG7財務相・中央銀行総裁の電話協議で、金融市場の安定に向けた協力などで合意したと声明が発表されたものの、円高や株価の下落に歯止めはかかりませんでした。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-22.7%とマイナス幅が拡大しました。200日線との乖離率は-8.3%とマイナス幅が拡大しました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.5ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は1.2ポイント拡大しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.45ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中ですが、終了後も緩和的な政策は続きそうです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わりました。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、今のところ好調な企業が多いようです。経済指標では、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数、6月の小売売上高などは市場予想を上回りましたが、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、6月の鉱工業生産指数、6月の耐久財受注、7月のNY連銀製造業景気指数、は予想以下となりました。7月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が11万7千人増と8万人以上を見込んでいた市場予想以上となりました。失業率も9.2%から9.1%と前月から改善しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでていました。7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。一方、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、6月末で大幅なドル供給策は終了するものの、金利は据え置かれ、緩和的な政策は継続されるとのFRBによる方向が示されました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月03日 0.2682% → 08月04日 0.2694%→ 08月05日 0.2716%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.7、PBRが1.01、ROEが7.3%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇にも関わらず下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.9%となり、日経平均は80円の割高で、割高幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+10円 ~ +430円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていますが、今日は強い動きが急減速しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇し、欧州財政問題が金融不安に発展する気配が少し見えてきました。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.55と拡大したものの、為替は円高方向でした。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、先週末の米国市場は景気後退懸念と欧州財政問題でまちまちな動きでした。今夜の米国市場では米国債格下げの影響が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。ただ、騰落レシオが75を下回り、25日線乖離率が-8.1%、サイコロジカルライン33%となるなど、下げ過ぎを示していますので、目先の反転は近そうです。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の経営に影響するか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米政府債務問題が落ち着いたものの経済指標の陰りが足を引っ張っています。日経平均の目先の予想レンジは、上値が今日空けた窓の窓埋めとなる9265円近辺で下値は9000円近辺が想定されます。まだまだ、ボラティリティが高い相場が続きそうです。


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Sunday, August 07, 2011

[2011/08/07]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、世界経済の後退懸念と欧州財政問題の再燃で、大幅下落しました。一方、中長期的には、先進国の緊縮財政による消費や雇用の改善の遅れ、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念、資源高騰に伴う新興国の利上げによる景気後退懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性が残されています。
2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差はOECDの予測値の改定により、日本市場は1.60ポイント割高となりました。その要因はS&P500のPERが14.0で、東証1部平均のPERの14.3との差と日米金利差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、震災の影響で日本の2011年のGDP予想値が1.0%程度(OECD予想値より1.4ポイント高い)になることが織り込まれているとも解釈できます。


[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在+1.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陰線となりました。今週は、FOMC、7月の小売売上高などが株式相場に影響しそうですが、FOMC後の発表内容次第で大きく変化しそうです。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は+17%ですが、今期ROE予想値は7.9%から7.4%へやや悪化しています。
③ 日米とも長期金利は下降傾向で、日米の金利差は1.72%から1.55%へ縮小し、為替は77円から80円台で介入により乱高下しました。今週は米国債の格下げから78円台から76円台で円高方向に動きそうです。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は改定され日本が-0.6%で、米国は+2.4%と予想されていますので、この面では日本市場にとって3.0ポイント分の弱気材料です。
⑤ 7月4週は売り越しで8月1週は売り越しだった可能性が高く、今週も売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち①③⑤が弱気材料でした。今週も、①③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、0.5ポイント割高に転換しました。先週比3.9ポイント割安幅(弱い動き)が縮まりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。200日移動平均線乖離率は-6.3%となり先週と比較してマイナス幅が拡大しました。総合乖離率は-16.9%となりマイナス幅が拡大しました。3つがマイナスですので中期トレンドは、”赤信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の下に在りますので、短期的トレンドには"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。短期的には赤信号"で中期的には"赤信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場は、アフリカ・中東政情不安、資源高、新興国の利上などのリスクはやや後退しているものの、不動産市場の低迷、雇用指標の停滞、世界景気後退懸念、欧・米の政府債務問題が悪材料となっています。ただ、好材料としては、FRBによる金融緩和が継続する見通しの中、企業決算は概ね好調である点が挙げられます。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドとなっています。日本市場は中期下降トレンドで、短期も下降昇トレンドとなっています。
目先の状況を分析すると、EUの政府債務問題についてはLIBORのドル3ヶ月物金利は低水準ながら上昇ピッチを上げており要注意です。一方、先週の日米金利差は縮小傾向で、介入後に、為替は円高傾向でした。
今週の日経平均も、米国市場や為替などを睨んだ動きとなりそうです。テクニカルに見ると騰落レシオや25日線乖離率が目先は売られ過ぎとなっていますので、目先は反発があっても可笑しくないレベルです。ただ、米国市場は景気後退と欧州財務問題や米国債の格付けの低下の影響を懸念していますので、本格的な反転は望み薄です。今週はFOMCがありますので、ここで何らかの対応策がでれば、テクニカルにも売られ過ぎですので、目先の反発は望めそうです。


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Friday, August 05, 2011

[2011/08/05]日経平均の今後の見通し

[市況]
4日のNYDowとNASDAQは大幅下落しました。5日の日経平均先物は、前日比380円安で寄り付き、午前中は420円安から320円安の範囲で下げ幅をやや縮める展開でした。午後は徐々に値を下げる動きとなり、最終的に390円安で取引を終わりました。日経平均は359円安で引け、出来高は25.46億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、1400万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況です。
4日の米国市場では、ECBのトリシェ総裁がユーロ圏の景気の下振れリスクが高まっているとの見方を表明し、イタリアなど一部の欧州諸国の国債利回りが上昇したことで、欧州市場が下落したことや、市場予想を下回る米経済指標の発表も続いていることから、売りが続き、NYDowは下げ幅をじりじりと広げ、この日の安値圏で取引を終えました。
5日の日本市場では、NYDowが512ドル安と急落したことで、米景気の先行きやユーロ圏の財政問題を警戒する投資家の心理が大きく弱気になりました。アジアの主要株式相場も軒並み大きく下げ、世界連鎖株安の様相が強まりました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-16.9%とマイナス幅が拡大しました。200日線との乖離率は-6.3%とマイナス幅が拡大しました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.3ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は1.5ポイント縮小しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.24ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中ですが、終了後も緩和的な政策は続きそうです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わりました。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、今のところ好調な企業が多いようです。経済指標では、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数、6月の小売売上高などは市場予想を上回りましたが、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、6月の鉱工業生産指数、6月の耐久財受注、7月のNY連銀製造業景気指数、は予想以下となりました。6月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が1万8千人増と10万人以上を見込んでいた市場予想以下となりました。失業率も9.1%から9.2%と前月から悪化しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでていました。7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。一方、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、6月末で大幅なドル供給策は終了するものの、金利は据え置かれ、緩和的な政策は継続されるとのFRBによる方向が示されました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月02日 0.2644% → 08月03日 0.2682% → 08月04日 0.2694%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが13.9、PBRが1.03、ROEが7.4%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落に連動して下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.3%となり、日経平均は220円の割高で、割高幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+70円 ~ +550円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていますが、今日は強い動きが拡大しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準ですが、上昇ピッチが上がり要注意です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.41と縮小し、為替は円高方向でした。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、米国市場は景気後退懸念で想定以上に急落しました。今夜の米国市場では7月の雇用統計が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の下に抜け中期的にも下降トレンド入りを確認した形です。騰落レシオが80を下回り、25日線乖離率が6.3%となるなど、下げ過ぎを示すものが出始めました。目先の反転は近そうです。ファンダメンタル面では、EUの政府債務問題が欧米の銀行の経営に影響するか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米政府債務問題が落ち着いたものの経済指標の陰りが足を引っ張っています。日経平均の目先の予想レンジは、上値が今日空けた窓の窓埋めとなる9615円近辺で下値は9000円近辺が想定されます。まだまだ、ボラティリティが高い相場が続きそうです。


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Thursday, August 04, 2011

[2011/08/04]日経平均の今後の見通し

[市況]
3日のNYDowとNASDAQは上昇しました。4日の日経平均先物は、前日比30円高で寄り付き、午前中は40円安から120円高の範囲で値を上げる展開でした。午後は徐々に値を下げる動きとなり、最終的に20円高で取引を終わりました。日経平均は22円高で引け、出来高は19.78億株と低水準ながら増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、950万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況です。
3日の米国市場では、7月のISM非製造業景況感指数が市場予想を下回ると、NYDowは下げ幅を166ドルまで拡大する場面がありました。7月のADP全米雇用リポートは市場予想を上回る内容でしたが、反応は限られました。ただ、日立製作所と三菱重工業が経営統合へ向け協議を始めることで基本合意したとのニュースが午後に伝わると、GE株が上昇に転じ、株価指数は上昇に転じました。
4日の日本市場では、10時ごろから政府・日銀が円売り介入を実施し、円相場は77円近辺から79円台まで下落しました。円高懸念の後退で、日経平均の上げ幅は一時130円超まで拡大しましたが、米景気後退懸念を背景に売り圧力も強く、大引けにかけては急速に伸び悩みました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-6.2%とマイナス幅が縮小しました。200日線との乖離率は-2.7%とマイナス幅が縮小しました。日経平均は一目均衡表の雲の中に在ります。2つの要素がマイナスですので、中期トレンドは黄信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.8ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は0.7ポイント拡大しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.25ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中ですが、終了後も緩和的な政策は続きそうです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わりました。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、今のところ好調な企業が多いようです。経済指標では、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数、6月の小売売上高などは市場予想を上回りましたが、7月のISM非製造業景況感指数、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、6月の鉱工業生産指数、6月の耐久財受注、7月のNY連銀製造業景気指数、は予想以下となりました。6月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が1万8千人増と10万人以上を見込んでいた市場予想以下となりました。失業率も9.1%から9.2%と前月から悪化しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでていました。7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。一方、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、6月末で大幅なドル供給策は終了するものの、金利は据え置かれ、緩和的な政策は継続されるとのFRBによる方向が示されました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は08月01日 0.2572% → 08月02日 0.2644% → 08月03日 0.2682%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが14.6、PBRが1.08、ROEが7.4%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇に連動して上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.3%となり、日経平均は130円の割高で、割高幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+70円 ~ +550円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていますが、今日は強い動きが急減速しました。
米国市場は、中期もみ合いで、短期は下降トレンドです。一方、日経平均は中期もみ合いで、短期は下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準ですが、上昇ピッチが上がり要注意です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.61とやや拡大し、為替は円安方向でした。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、米国市場は日立・三菱重工の合併報道で上昇しました。今夜の米国市場では新規失業保険申請件数、7月のチェーンストア売上高が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、一目均衡表の雲の上に抜けられず、すっきりしません。ファンダメンタル面では、EU政府債務問題が欧米の銀行の経営に影響するか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米政府債務問題が落ち着いたものの経済指標の陰りが足を引っ張っています。日経平均はドル・ベースでは割高感が有る為、円安の割に伸び悩みました。目先の予想レンジは、上値が8月3日に空けた窓の窓埋めとなる9830円近辺で下値は6月上旬の高値抵抗線である9600円近辺が想定されます。まだ、ボラティリティが高い相場が続きそうです。


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Wednesday, August 03, 2011

[2011/08/03]日経平均の今後の見通し

[市況]
2日のNYDowとNASDAQは大幅下落しました。3日の日経平均先物は、前日比160円安で寄り付き、午前中は140円安から230円安の範囲で値を下げる展開でした。午後は小動きとなり、最終的に180円安で取引を終わりました。日経平均は207円安で引け、出来高は18.19億株と低水準ながら増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、1340万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況です。
2日の米国市場では、6月の個人消費支出が前月から減少したのを受け、景気の先行き不透明感が強まったことで、売りが優勢となりました。また、スペインやイタリア、ポルトガルで財政問題への懸念から国債利回りが急上昇したことも嫌気され、相場は午後に下げ幅を広げました。
3日の日本市場では、米国市場が景気の減速懸念から大幅安となったことが嫌気され、幅広い銘柄が売られました。円が強含みで推移したことや中国の金融引き締め懸念が投資家心理をさらに冷やし、幅安となりました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-7.0%とマイナス幅が拡大しました。200日線との乖離率は-2.9%とマイナス幅が拡大しました。日経平均は一目均衡表の雲の中に在ります。2つの要素がマイナスですので、中期トレンドは黄信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは、25日線、9日線の下に在り、200日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは、25日線、9日線の下に在り、200日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.1ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は0.7ポイント縮小しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.30ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中ですが、終了後も緩和的な政策は続きそうです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わりました。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、今のところ好調な企業が多いようです。経済指標では、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数、6月の小売売上高などは市場予想を上回りましたが、6月の個人消費支出、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、6月の耐久財受注、7月のNY連銀製造業景気指数、6月のISM非製造業指数、5月の鉱工業生産指数、5月の既存店売上高は予想以下となりました。6月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が1万8千人増と10万人以上を見込んでいた市場予想以下となりました。失業率も9.1%から9.2%と前月から悪化しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでていました。7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。一方、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、6月末で大幅なドル供給策は終了するものの、金利は据え置かれ、緩和的な政策は継続されるとのFRBによる方向が示されました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は07月29日 0.2555% → 08月01日 0.2572% → 08月02日 0.2644%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが14.6、PBRが1.07、ROEが7.3%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落に連動して下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+4.1%となり、日経平均は390円の割高で、割高幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+260円 ~ +550円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていますが、今日は強い動きが拡大しました。
米国市場は、中期下降トレンドで、短期は下降トレンドです。一方、日経平均は中期もみ合いで、短期は下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準ですが、上昇ピッチが上がり要注意です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.60と縮小し、為替は円高方向でした。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、米国市場は経済指標の悪化で続落しました。今夜の米国市場では7月のADP雇用統計、7月のISM非製造業指数、6月の製造業受注が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、7月28日の窓埋めが実現しましたので、上昇余地も出てきましたが、7月13日の下値も下回っていますので、まだ、下降トレンドを確認した形です。ファンダメンタル面では、米・欧政府債務問題が欧米の銀行の経営に影響するか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米政府債務問題が落ち着いたものの経済指標の陰りが足を引っ張っています。日経平均は予想い所に下げましたが、目先の予想レンジは、上値が8月3日に空けた窓の窓埋めとなる9830円近辺で下値は6月上旬の高値抵抗線である9600円近辺が、これを割った場合は6月22日に空けた窓の窓埋めとなる9460円近辺が想定されます。ボラティリティが高い相場が続きそうです。


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Tuesday, August 02, 2011

[2011/08/02]日経平均の今後の見通し

[市況]
1日のNYDowとNASDAQは下落しました。2日の日経平均先物は、前日比110円安で寄り付き、午前中は80円安から150円安の範囲での動きでした。午後は小動きとなり、最終的に140円安で取引を終わりました。日経平均は120円安で引け、出来高は16.34億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、400万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況です。
1日の米国市場では、債務上限引き上げで与野党が合意に達したことを好感し、朝方は幅広い銘柄に買いが先行したものの、格下げ懸念が残ることや、7月のISM製造業景況感指数が市場予想以下となったことなどで下落に転じました。ただ、米企業の4-6月期決算が予想以上に好調との見方もあり、引けにかけては下げ渋りました。
2日の日本市場では、寄り付き前に米下院が債務上限引き上げ法案を可決し、米国債のデフォルト懸念は後退したものの、期待していた過度な円高の修正はなく、失望売りが広がりました。アジア株安も重荷となりました。

[テクニカル視点]
日経平均は9日線の下に在りますが25日線を下回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。総合乖離率は-0.7%とマイナス転換しました。200日線との乖離率は-0.8%とマイナス転換しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。1つの要素がプラスですので、中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。
NYDowは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が1.8ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は0.7ポイント拡大しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.34ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中ですが、終了後も緩和的な政策は続きそうです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わりました。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、今のところ好調な企業が多いようです。経済指標では、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数、6月の小売売上高などは市場予想を上回りましたが、7月のISM製造業景況感指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、6月の耐久財受注、7月のNY連銀製造業景気指数、6月のISM非製造業指数、5月の鉱工業生産指数、5月の既存店売上高は予想以下となりました。6月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が1万8千人増と10万人以上を見込んでいた市場予想以下となりました。失業率も9.1%から9.2%と前月から悪化しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4-6月は景気指標に陰りがでていました。7月に入り改善傾向だったものの、再び陰りが出てきました。一方、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、6月末で大幅なドル供給策は終了するものの、金利は据え置かれ、緩和的な政策は継続されるとのFRBによる方向が示されました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は07月28日 0.2539% → 07月29日 0.2555% → 08月01日 0.2572%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが14.9、PBRが1.09、ROEが7.3%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落率以上に下げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.8%となり、日経平均は360円の割高で、割高幅が縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+260円 ~ +550円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていますが、今日は強い動きが減速しました。
米国市場は、中期もみ合いで、短期は下降トレンドです。一方、日経平均は中期もみ合いで、短期は下降トレンドです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準ですが、上昇傾向で要注意です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.71と縮小したものの、為替は円安方向でした。日米金利差はこのところ縮小傾向で円高圧力となっています。一方、米国市場は経済指標の悪化で続落しました。今夜の米国市場では6月の個人支出やファイザー、ファーストエナジーの決算発表が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、7月28日の窓埋めが実現しましたので、上昇余地も出てきましたが、7月13日の下値も下回っていますので、まだ、下降トレンドを確認した形です。ファンダメンタル面では、米・欧政府債務問題が欧米の銀行の経営に影響するか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米政府債務問題が落ち着いたものの経済指標の陰りが足を引っ張っています。目先の日経平均の予想レンジは、上値が上値のトレンドラインの10080円近辺で下値は6月29日の窓埋めとなる9700円近辺が想定されます。ボラティリティが高い相場が続きそうです。


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注目銘柄、日経平均チャートについてはYS総合研究所HPも参考にしてください。

Monday, August 01, 2011

[2011/08/01]日経平均の今後の見通し

[市況]
29日のNYDowとNASDAQは下落しました。1日の日経平均先物は、前日比90円高で寄り付き、午前中は90円高から200円高の範囲での動きでした。午後は210円高まで買われる場面がありましたが、最終的に140円高で取引を終わりました。日経平均は131円高で引け、出来高は19.21億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は、400万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状況です。
29日の米国市場では、朝方発表の4-6月期の実質GDPは前期比年率1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わりました。さらに、1-3月期は0.4%増と、従来の1.9%増から大幅に下方修正されたことで、景気の減速懸念から売りが優勢となりました。また、7月のシカゴ購買部協会景気指数や消費者態度指数も市場予想に届かず、この面からも景気の先行き不透明感が強まりました。連邦政府の債務上限引き上げを巡る与野党の調整が難航していることも、相場の重荷となりました。
1日の日本市場では、午前にオバマ大統領が連邦債務の上限引き上げ問題で議会が合意に達する見通しと述べたことで、米国債のデフォルト懸念が後退し、上昇傾向の円に一服感が出たことが日本市場に好材料となりました。好業績銘柄が相場をけん引しました。

[テクニカル視点]
日経平均は9日線の下に在りますが25日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。総合乖離率は+4.3%とプラス転換しました。200日線との乖離率は+1.5%とプラス転換しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の上に在ります。
NYDowは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が0.0ポイント割安(弱い動き)であることを示しています。日本市場の割安幅は2.8ポイント縮小して均衡しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、改定されたOECDの2011年予想実質GDP伸び率の日米差と予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 2.35ポイント割高となっています。
市場は現在、「震災復興の日本経済への影響」、「世界の景気と穀物・原油価格」、「米国の景気・雇用状況と住宅市況」、「欧米の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。FRBは2011年6月末までに米国債6000億ドルを購入する追加金融緩和策を実行中ですが、終了後も緩和的な政策は続きそうです。米国の4-6月期のGDPは年率で1.3%増と市場予想の1.8%増を下回わりました。一方、4-6月期の主要企業の決算発表は、今のところ好調な企業が多いようです。経済指標では、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀景況感指数、6月の小売売上高、6月のISM製造業景況感指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数などは市場予想を上回りましたが、6月の耐久財受注、7月のNY連銀製造業景気指数、6月のISM非製造業指数、5月の鉱工業生産指数、5月の既存店売上高は予想以下となりました。6月の雇用統計は、雇用者数の増加幅が1万8千人増と10万人以上を見込んでいた市場予想以下となりました。失業率も9.1%から9.2%と前月から悪化しました。一方、住宅関連では、5月の全米住宅価格指数、6月の住宅着工件数、は予想以上でしたが、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅市場指数は予想以下となりました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比で-4.5%と下落率は市場予想並みながら先月から悪化し、8ヶ月連続下落となりました。今年4月以降、景気指標に陰りがでてきましたが7月に入り改善傾向です。一方、雇用と住宅関連の回復は鈍く金融緩和解除の足かせとなっています。
ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字拡大が金融システム不安再燃の懸念を残しています。また、G20で2013年に財政赤字半減が宣言され、需要不足から世界景気の後退リスクが背景に有ることから、先進国の財政赤字に対する根本的な解決には時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、6月末で大幅なドル供給策は終了するものの、金利は据え置かれ、緩和的な政策は継続されるとのFRBによる方向が示されました。一方、中国を初めとする新興国の利上げが悪材料視されています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は07月27日 0.2528% → 07月28日 0.2539% → 07月29日 0.2555%となり低水準ながら上昇傾向です。欧州財政危機直前の昨年05月03日の0.346%を下回っています。MAXは昨年6月17日の0.539%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが15.0、PBRが1.10、ROEが7.4%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落にも関わらず上げました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+5.0%となり、日経平均は480円の割高で、割高幅がやや拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+240円 ~ +550円の間で推移しています。日本市場は、ドル・ベースでは米国市場に比べて強い動きが続いていますが、今日は強い動きが加速しました。
米国市場は、中期もみ合いで、短期は下降トレンドです。一方、日経平均は中期上昇トレンドに復帰し、短期はもみ合いです。
日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルには割高です。
LIBORのドル3ヶ月物金利は低水準で、欧州財政問題が金融不安に発展する気配とは言えない水準ですが、上昇傾向で要注意です。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.73と縮小したものの、為替は円安方向でした。日米金利差はこのところ縮小傾向です。一方、米国市場は連邦政府の債務上限引き上げについて、与野党合意の難航で続落しました。今夜の米国市場ではオバマ大統領の連邦債務上限引き上げ問題の議会合意見通し発言や7月のISM製造業景況指数が注目されそうです。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。テクニカルには、7月28日の窓埋めが実現しましたので、上昇余地も出てきましたが、7月13日の下値も下回っていますので、まだ、下降トレンドを確認した形です。ファンダメンタル面では、米・欧政府債務問題が欧米の銀行の経営に影響するか否か、米中の景気後退が米国の主要企業の業績に影響するか否かが今後のテーマとなりそうですが、欧州債務問題はくすぶったままです。また、米政府債務問題が落ち着いた場合は経済指標の発表に関心が移りそうです。目先の日経平均の予想レンジは、上値が10100円近辺で下値は6月29日の窓埋めとなる9700円近辺が想定されます。ボラティリティが高く読みづらい局面です。


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