日経平均の予想: May 2022

Tuesday, May 31, 2022

[2022/05/31]今後の日経平均の見通し

[市況]

530日、米国市場は休場で、取引はありませんでした。531日の日経平均先物は、前日比100円安で寄付くと、午前中は70円高から150円安の間で上下し、午後は30円高から140円安と下落に転じて、結局140円安で取引を終了しました。日経平均の終値は89円安の27279円で、出来高は22.89億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は弱まりました。

 

530日の米国は戦没者追悼記念日の祝日で、株式市場は休場でした。

531日の日本市場では、前日までの株高の反動で、戻り待ちの売りや利益確定の売りが優勢となりました。EUがロシア産原油の輸入を原則禁止することで合意したと伝わり、原油先物相場が上昇したことや、連動して米長期金利が上昇したことも重石となりました。一方で、中国の5月のPMIが市場予想を上回ったことは好感されました。日経平均は3営業日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+1.6%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率は-2.4%と前日よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドには赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+12.9ポイントと前日よりプラス幅を縮め、日経平均が3520円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差も、+1.9ポイントと前日よりプラス幅を縮め、日経平均が520円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.68VIX26.54と、日本市場のボラティリティーはやや低下し、米国市場のボラティリティーはやや上昇しました。VIXは依然として高い水準で推移していますが、低下傾向にあります。NYDowと比較して、日経平均は強い状態ですが、前日よりは強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.4、米国-2.8と日本が4.6ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.47ポイント(日経平均換算で6500円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.5%減で、速報値の1.4%減を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちでした。

 

経済指標を見てみます。

4月の鉱工業生産指数、4月の消費者物価指数、3月の製造業受注産指数は市場予想を上回りました。また、4月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月の耐久財受注、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが速まらないという面では強気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比42.8万人増で、市場予想の40万人増をやや上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.6%からほぼ横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

4月の新築住宅販売件数数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+20.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが速まらないという面では強気材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに5回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、量的緩和政策を実施していましたが、これを転換し、量的緩和縮小を加速することを決めました。79月にも終了見込みです。日銀は、金融緩和政策を継続しています。2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、525 1.5528% 526 1.5748% 527 1.5978%と上昇中であり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%がここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.11PBR1.18となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+0.4%で、こちらは3か月前より29.0ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

前日の米国市場は休場でしたが、日経平均は下落しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.8%となり、日経平均の割高幅は580円から200円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+200円から+1090円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.52ポイントから2.61ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

531日の米国市場では、3月の住宅価格指数、3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数などが注目されるでしょう。引き続き、ウクライナ情勢や原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを220円ほど下回り、下値は想定ラインを360円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+100円(現在27590円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在26800円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を下回り、信用の売り圧力は弱まりました。VIXは依然として高い水準で推移しているものの、低下傾向にあります。日経平均は、ボリンジャーバンド+2σで跳ね返されましたが、売り圧力は弱まり、日経VI20を下回ったので、上値余地はありそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Monday, May 30, 2022

[2022/05/30]今後の日経平均の見通し

[市況]

527日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。530日の日経平均先物は、前日比400円高で寄付くと、午前中は250円高から530円高と上昇幅を拡げ、午後は490円高から600円高と上昇幅を拡げて、結局590円高で取引を終了しました。日経平均の終値は587円高の27369円で、出来高は16.82億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は、5日平均を3日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。

 

527日の米国市場では、消費関連やハイテク株を中心に買いが優勢となりました。朝方に発表された4月の個人消費支出(PCE)物価指数で、コア指数の伸びが前月比で鈍化したことから、インフレ加速への過度な警戒感が和らぎました。個人消費支出が市場予想を上回り、消費の底堅さが示されたことも好感されました。NYDow6日続伸し、NASDAQ3日続伸しました。NYDowは週間では9週ぶりの上昇となりました。

530日の日本市場では、前週末の米株式市場で主要3指数がそろって大幅に上昇したことから、投資家心理が強気に傾き、値がさのグロース(成長)株や景気敏感株を中心とした幅広い銘柄に物色が向かいました。香港株などアジアの株式市場や米株価指数先物が堅調に推移したことも支えとなりました。日経平均は大幅に続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+2.6%とプラスに転換し、200日線との乖離率は-2.1%と前週末よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上に出ました。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、200日線の下にありますが、9日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドには赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+13.3ポイントと前週末よりプラス幅を縮め、日経平均が3640円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+2.2ポイントと前週末よりプラス幅を拡げ、日経平均が600円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.93VIX25.72と、日米市場のボラティリティーは低下しました。VIXは依然として高い水準で推移していますが、低下傾向にあります。NYDowと比較して、日経平均は強い状態で、前週末よりは強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.4、米国-2.9と日本が4.5ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.32ポイント(日経平均換算で5790円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.5%減で、速報値の1.4%減を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちでした。

 

経済指標を見てみます。

4月の鉱工業生産指数、4月の消費者物価指数、3月の製造業受注産指数は市場予想を上回りました。また、4月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月の耐久財受注、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが速まらないという面では強気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比42.8万人増で、市場予想の40万人増をやや上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.6%からほぼ横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

4月の新築住宅販売件数数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+20.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが速まらないという面では強気材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに5回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、量的緩和政策を実施していましたが、これを転換し、量的緩和縮小を加速することを決めました。79月にも終了見込みです。日銀は、金融緩和政策を継続しています。2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、525 1.5528% 526 1.5748% 527 1.5978%と上昇中であり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%がここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.20PBR1.19となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+0.6%で、こちらは3か月前より28.4ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.2%となり、日経平均の割高幅は540円から580円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+540円から+1160円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.51ポイントから2.52ポイントに拡大しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

530日の米国は戦没者追悼記念日の祝日で、株式市場は休場です。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを310円ほど上回り、下値は想定ラインを560円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+200円(現在27680円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在26890円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を3日連続で上回り、信用の売り圧力はかなり強まりました。VIXは依然として高い水準で推移しているものの、低下傾向にあります。日経平均は上値抵抗線を抜いて上昇しましたが、売り圧力も強く、ボリンジャーバンド+2σで跳ね返される可能性も高そうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Saturday, May 28, 2022

[2022/05/29]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場では、米経済を支える消費は堅調との見方が出てきたことや、インフレ加速への過度な警戒感が和らいだことで、株価指数は反発しました。

週間変動率 NYダウ:+6.24%, NASAQ:+6.84%, S&P500:+6.58%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、サプライチェーン混乱の長期化による世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2023年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が1.47ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER17.6に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER13.0との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに1.47ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER16.0程度になるか、又は、日経平均が33060円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は6280円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は6280円分、魅力に欠けるとも言えます。

米国市場の週間上昇率が勝り、日本市場の弱さは拡大しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+1.8%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。今週は、NYDow25日線の上を維持できるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は9.0%となりました。3ヶ月前に比べて0.2ポイント悪化しています。また、利益伸び率は+0.2%3ヶ月前に比べて29.3%ポイント悪化しています。

  米国の長期金利は低下し、日米間の金利差は2.55から2.52と縮小して、ドル円は128円から126円の範囲で円高方向に動きました。ドル・インデックスは週間で-1.35%下落しました。

  OECDの日米の2023年の名目GDP伸び率は、日本が+1.8%で、米国は+4.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が3.1ポイント劣ります。

  5月第3は買い越しで、54週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が強気材料で、③が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に11.2ポイント(日経平均に勘算すると3000円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に0.1ポイント(日経平均に勘算する30円程度)割高です。

 

週間では米国市場に対する日本市場の強さは縮小しました。米国市場のボラティリティーは高まり、VIX25.72と先週から下落しました。投資家の最高レベルの不安心理の高まりを示す30を下回って、低下傾向です。

 

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには”青信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の中に在ります。総合乖離率は-3.9%となり先週と比較しマイナス幅は縮小しました。 200日移動平均線との乖離率は-4.2%で、マイナス幅は縮小しました。2つの要素がマイナスですので、中期トレンドには、"黄信号"が点灯しています。

 

米国市場ではNYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQも、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。

短期的には青信号で、中期的には赤信号が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、米中貿易摩擦、北朝鮮の問題、などの懸念は後退しているものの、ウクライナ紛争、米国の利上げ、長期金利の上昇、原油相場の上昇、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き注意が必要です。20203月にも、短期金利が低下しているにも関わらずLIBOR金利は上昇したことから、金融不安再燃の可能性が意識されていました。

 

一方、好材料としては日銀による金融緩和政策の維持が挙げられます

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。日本市場は中期もみあいで、短期は上昇トレンドです。

 

為替市場を分析すると、2020年は、ゆるやかに円高方向に動いていましたが、2021年に入り、円安方向が続きました。ただ、ここ3週は円高方向です。今週は127円台から125円台が想定されます。

 

今週は、米国の5月の雇用統計の発表に最も注目が集まりそうです。また、中国と米国のPMIも注目されそうです。その他の経済指標としては、米国の住宅価格指数、5月のISM製造業景気指数、5月のISM非製造業指数などの発表があります。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを430円ほど下回り、下値は想定ラインを250円ほど上回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+2σ(現在27420円近辺)で、下値が25日線(現在26690円近辺)の間での動きが想定されます。

 

ボラティリティーは高いものの低下傾向で、信用の売り圧力も低下傾向です。今週の日経平均は、上昇が予想されます


ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Friday, May 27, 2022

[2022/05/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

526日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。527日の日経平均先物は、前日比360円高で寄付くと、午前中は410円高から130円高と上昇幅を縮め、午後は120円高から200円高の間でもみあって、結局200円高で取引を終了しました。日経平均の終値は176円高の26781円で、出来高は11.68億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強い状態です。

 

526日の米国市場では、メーシーズやダラー・ツリーなど、小売企業で市場予想を上回る四半期決算の発表が相次いだことから、米経済を支える消費は堅調との見方が強まり、消費関連株を中心に買いが優勢となりました。また、半導体大手エヌビディアの上昇が買い安心感につながり、ハイテク株も全般的に買われました。NYDow5日続伸し、NASDAQも続伸しました。

527日の日本市場では、前日の米株高が投資家心理を上向かせ、値がさ株を中心に買いが先行しました。ただ、日経平均が節目の27000円に接近する場面では戻り待ちの売りが出て、相場を押し下げました。半導体関連株などは堅調でしたが、週末とあって手控えムードも広がりやすく、午後は膠着した展開となりました。日経平均は4日ぶりに反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から青信号に変わりました。

総合乖離率は-3.9%と前日よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-4.2%と前日よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、200日線の下にありますが、9日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、25日線と200日線の下にありますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+14.0ポイントと前日よりプラス幅を縮め、日経平均が3750円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差も、+1.8ポイントと前日よりプラス幅を縮め、日経平均が480円ほど割高であることを示しています

 

日経VI21.55VIX27.50と、日米市場のボラティリティーは低下しました。VIXは節目の30を下回っているものの、依然として高い水準で推移しています。NYDowと比較して、日経平均は強い状態ですが、前日よりは強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.5、米国-3.1と日本が4.4ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.30ポイント(日経平均換算で5410円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.5%減で、速報値の1.4%減を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちでした。

 

経済指標を見てみます。

4月の鉱工業生産指数、4月の消費者物価指数、3月の製造業受注産指数は市場予想を上回りました。また、4月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、4月の耐久財受注、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月のISM製造業景況指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが速まらないという面では強気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比42.8万人増で、市場予想の40万人増をやや上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.6%からほぼ横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

4月の新築住宅販売件数数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+20.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが速まらないという面では強気材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに5回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、量的緩和政策を実施していましたが、これを転換し、量的緩和縮小を加速することを決めました。79月にも終了見込みです。日銀は、金融緩和政策を継続しています。2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、523 1.5238% 524 1.5310% 525 1.5528%と上昇中であり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%がここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.96PBR1.17となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+0.2%で、こちらは3か月前より29.3ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.1%となり、日経平均の割高幅は740円から540円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+540円から+2000円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.51ポイントから2.51ポイントと横ばいでしたが、ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

527日の米国市場では、4月の個人所得・個人消費支出や、5月のミシガン大学消費者信頼感指数などが注目されるでしょう。引き続き、ウクライナ情勢や原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを110円ほど下回り、下値は想定ラインを410円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ(現在27060円近辺)が上値の目安に、25日線-200円(現在26490円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を2日連続で上回り、信用の売り圧力は強い状態です。VIXは節目の30を下回っているものの、高い水準で推移しており、投資家の不安心理は依然として高い状態です。日経平均は27000円近辺の上値抵抗線を明確に抜くことができずにいます。膠着した展開はしばらく続きそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート