日経平均の予想: January 2016

Sunday, January 31, 2016

[2016/02/01]今後の日経平均の見通し

[市況]
29
日のNYDowNASDAQは大幅上昇しました。1日の日経平均先物は、前日比180円高で寄り付き、午前中は50円高から240円高の範囲でもみ合う動きでした。午後は260円高まで上昇する場面があり、結局230円高で取引を終わりました。日経平均の終値は346円高の17865円で、出来高は35.02億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は360万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はプラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
29
日の米国市場では、10-12月の期GDPは予想以下となり、景気減速を示しましたが、日銀によるマイナス金利導入が好感されて日欧市場が上げ、米国株にも買いが及びました。
1日の日本市場では、先週末の米国市場の大幅上昇を受けて買いが先行しました。中国景気指標に大幅な下ぶれがなく、買い安心感が広がり、終日堅調な値動きでした。

[テクニカル視点]
日経平均は、9日線の上に在り、25日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。総合乖離率は-10.5%でマイナス幅が縮小しました。200日線との乖離率は-7.5%でマイナス幅が縮小しました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、割安幅が0.4ポイント拡大して、中長期的には日本市場が0.8ポイント(日経平均で 140円程度)割安(弱い動き)となっています。

[
ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、直近で改定されたOECD2017年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.9ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ 0.87イント(日経平均で 2660円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差拡大と今期予想増益率差拡大に伴い中長期的には、大幅に割安です。
市場は現在、「原油市場とハイ・イールド債市場下落の金融市場への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の7-9月期のGDP確報値は+2.0%となり、改定値の+2.1%から下方修正されました。10-12月期の米主要企業の決算は、今のところまちまちです。
経済指標では、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数は市場予想を上回りましたが、1月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)11月の製造業受注は予想に一致したものの冴えない内容で、12月の耐久財受注、1月のNY連銀製造業景気指数、12月の鉱工業生産指数、12月の小売売上高、12月のISM非製造業景況指数、12月のISM製造業景況指数は予想以下でした。38負で景気面では弱気材料です。
12月の雇用統計は就業者数が前月比29.2万人増で、市場予測の20.0万人増を大幅に上回りました。失業率は先月の5.0%から5.0%と変わりませんでした。景気面では強気材料です。
一方、住宅関連では、12月の新築住宅販売件数、12月の中古住宅販売件数は予想を上回りましたが、12月の中古住宅販売仮契約、12月の住宅着工件数、1月の住宅市場指数は予想を下回りました。11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.8%で、市場予想の+5.7%を上回りました。堅調な伸びが続いています。33負で景気面では中立です。
G202016年に財政赤字半減との目標設定がなされたこともあり、緊縮財政と需要不足から世界景気は新興国を中心に減速しています。また、先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうです。長期金利の低下傾向やデフレ圧力が懸念されます。
このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは次回利上げ時期を模索中ですECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、さらに国債の買い取りを含む量的緩和に踏み込んでいます。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて一昨年1031日にマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の3倍の3兆円まで買い入れ、マイナス金利を導入するとの金融緩和策が採られています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利のここ3日の推移は0127 0.6181% 0128 0.6156% 0129 0.6126%となっています。一昨年5月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、一昨年5月からは上昇傾向で、ここ5年の最高金利を直近で更新しています。ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機で、ここ5年の最高金利だった201215日の0.5825%を上回ってきましたので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準となってきました。ここ5年の最高金利は20160119 0.6243%です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.0で、PBR1.21となっています。4-6月期の決算発表に伴い、予想ROE8.1%で、企業の今期収益力の見通しは3ヶ月前と比べて減速しています。

[
今後の見通し]
日経平均は、先週末のNYDowの上昇に連動して上げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.1%となり、日経平均は10円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-620円 ~+490円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場に比べ、強い動きが継続していましたが、今日は弱い動きに変わりました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルにはかなり割安で、テクニカルにはやや割安です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は1.86と拡大し、ドル円は円安方向の動きでした。直近の米国の長期金利は変わらないものの、日本の長期金利の低下で円安圧力が高まりました。
テクニカルから見て、米国市場は中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期は上昇トレンドです。
ファンダメンタル面では、LIBOR銀行間金利が目先上昇傾向で、ここ5年来の高い数値となっています。これは、最近の資源安に伴う資源国・グレンコアなどの資源会社破綻懸念、ジャンク債下落による関連ファンド破綻懸念、VW問題、中国企業の債務不履行などが先進国の金融システム不安に繋がる可能性があることを示しています。また、上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も急激な変化に注意が必要です。また、中国の不動産価格は下げ止まり感が出てきましたが、引き続き国有企業・中国地方政府を含めた不良債権問題にも注意が必要です。各国の長期金利の低下や原油の低迷など世界景気の減速懸念は払拭されない中、米国市場では、目先の雇用関連以外の経済指標は弱含みながら、米景気は今後も改善すると判断して、12月に利上げが決定されました。一方、欧州市場では景気が低迷しており、ECBが量的緩和の導入やマイナス金利を実施中ですが、ドラギ総裁の発言で追加緩和期待が浮上しています。このような相場環境の中、1日の米国市場では、1月のISM製造業景況指数が注目されそうです。

今日の日経平均は、想定した範囲をやや上ブレしました。上値は想定ライン近辺で60円ほど上回りましたが、下値は想定ラインを650円ほど上回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ-300(現在18170円近辺)で、下値が25日線-200(現在17440円近辺)の間での動きが想定されます



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Saturday, January 30, 2016

[2016/01/31]今週の日経平均の見通し

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、原油相場の落ち着きと日銀によるマイナス金利導入が好感されて、週間では上昇しました。一方、中長期的には、ドル高による米企業業績低迷、中国の景気減速と不安定な市場、FRBの利上げ、原油相場低迷などによる信用収縮懸念と世界経済の減速懸念や、中東やウクライナの地政学的リスクに引き続き注意が必要です。
2017年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は、直近で発表された2017年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が1.00ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER17.3に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER14.6との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格に対して、2017年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに1.0%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER17.1程度になる(今期業績が下方修正されるか、又は、日経平均が20510円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は3000円ほど割安です。日本企業の比較的好調な今期業績予想と米国企業の業績伸び悩みの影響で割安幅が大きく拡大しています。

[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大と一段の円安、
OECDによる日本の2017GDP予測値(現在+0.5%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、
   先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaq200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。今週は、1月のISM製造業景況指数、1月の雇用統計や四半期決算などが注目されそうです。NYDowの日足が200日線まで戻れるか否かに注目したいと思います。
   日経225採用銘柄の今期予想増益率は7-9月期の決算発表に伴い前年比+4.6%前後の伸びとなっています。また、ROE予想値は8.1%と前四半期に比べて低下しています。
   米国の長期金利は上昇して、日米の金利差は1.82から1.83%と拡大して、為替は117円台から121円台で円安方向の動きでした。今週は120円台から122円台の動きが想定されます。
   OECDの日米の2017年の実質GDPは、日本が+0.5%で、米国は+2.4%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.9ポイント劣ります。
   13週は売り越しで14週は売り越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち①③が強気材料でした。今週は、①③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、2.6ポイント(日経平均に勘算すると460円程度)割安となっています。先週比割安幅が2.4ポイント縮小しました。
日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。総合乖離率は-16.4%となり先週と比較してマイナス幅が縮小しました。200日移動平均線乖離率は-9.3%となりマイナス幅が縮小しました。3つの要素がマイナスですので中期トレンドは、"赤信号"が点灯しています。日経平均は、9日線の、25日線の下に在ります。短期的トレンドは"赤信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dow200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaq200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。短期的には黄信号"で、中期的には赤信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると、住宅市況の低迷、米国の景気減速懸念などは後退しているものの、原油相場の低迷、上海市場急落、ハイイールド債市場の混乱、米国の利上げと中国など新興国の景気減速に伴う世界経済減速懸念、ドル高による米企業業績の伸び悩み、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。中国の不動産価格は下げ止まり感があるものの設備過剰など中国全体の不良債権問題は増しています。処理を急ぐと目先の市場下落を招き、先延ばしすると景気後退が長引く懸念があります。また、ここにきてLIBOR金利が急騰しており金融不安再燃の可能性が意識されています。一方、好材料としては米国の緩慢な利上げペースの可能性、日銀による2%のインフレターゲットの設定とマイナス金利導入など異次元の金融緩和措置強化、ECBによる政策金利のマイナス金利と毎月600億ユーロの国債購入に加え3月に追加の金融緩和示唆、中国など新興国の金利低下傾向が挙げられます。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。日本市場は中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。
目先の日本市場の状況を分析すると、日・米とも長期金利は低下したものの、日米長期金利差は拡大し、為替は週間では円安方向の動きとなりました。こからも、米国市場動向、為替の動き、外国人投資家動向を注目する必要があります。

先週の日経平均は、想定レンジ内の動きでした。上値は想定ラインにあと40円まで接近しましたが、下値は想定ラインを650円ほど上回りました。今週の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在18550円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-1σ(現在16820円近辺)の間での動き想定されますマイナス金利導入効果が何時まで続くかが今後の相場のカギとなりそうです。


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Thursday, January 28, 2016

[2016/01/29]今後の日経平均の見通し

[市況]
28
日のNYDowNASDAQは上昇しました。29日の日経平均先物は、前日比40円高で寄り付き、午前中は60円高から180円安の範囲で下げに転じる動きでした。午後は320円安から790円高の範囲で乱高下する動きとなり、結局560円高で取引を終わりました。日経平均の終値は476円高の17518円で、出来高は41.25億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は30万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はプラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
28
日の米国市場では、原油相場の上昇や1株利益の見通しが市場予想を上回ったキャタピラーなど四半期決算を発表した銘柄の一角が買われたことで買いが優勢となりました。
29日の日本市場では、米国市場高を受けて買いが先行しました。その後、日銀政策決定会合でマイナス金利導入が伝わると乱高下しましたが、結局、大幅高で取引を終了しました。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。短期トレンドは黄信号が点灯しています。総合乖離率は-16.4%でマイナス幅が縮小しました。200日線との乖離率は-9.3%でマイナス幅が縮小しました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは赤信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線の下に在りますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の下に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドは赤信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、割安幅が1.6ポイント縮小して、中長期的には日本市場が0.4ポイント(日経平均で 70円程度)割安(弱い動き)となっています。

[
ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、直近で改定されたOECD2017年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.9ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ 0.85イント(日経平均で 2530円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差拡大と今期予想増益率差拡大に伴い中長期的には、大幅に割安です。
市場は現在、「原油市場とハイ・イールド債市場下落の金融市場への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の7-9月期のGDP確報値は+2.0%となり、改定値の+2.1%から下方修正されました。10-12月期の米主要企業の決算は、今のところまちまちです。
経済指標では、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、1月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りましたが、11月の製造業受注は予想に一致したものの冴えない内容で、12月の耐久財受注、1月のNY連銀製造業景気指数、12月の鉱工業生産指数、12月の小売売上高、12月のISM非製造業景況指数、12月のISM製造業景況指数、12月のシカゴ購買部協会景気指数は予想以下でした。38負で景気面では弱気材料です。
12月の雇用統計は就業者数が前月比29.2万人増で、市場予測の20.0万人増を大幅に上回りました。失業率は先月の5.0%から5.0%と変わりませんでした。景気面では強気材料です。
一方、住宅関連では、12月の新築住宅販売件数、12月の中古住宅販売件数は予想を上回りましたが、12月の中古住宅販売仮契約、12月の住宅着工件数、1月の住宅市場指数は予想を下回りました。11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.8%で、市場予想の+5.7%を上回りました。堅調な伸びが続いています。33負で景気面では中立です。
G202016年に財政赤字半減との目標設定がなされたこともあり、緊縮財政と需要不足から世界景気は新興国を中心に減速しています。また、先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうです。長期金利の低下傾向やデフレ圧力が懸念されます。
このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは次回利上げ時期を模索中ですECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、さらに国債の買い取りを含む量的緩和に踏み込んでいます。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて一昨年1031日にマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の3倍の3兆円まで買い入れ、マイナス金利を導入するとの金融緩和策が採られています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利のここ3日の推移は0125 0.6213% 0126 0.6211% 0127 0.6181%となっています。一昨年5月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、一昨年5月からは上昇傾向で、ここ5年の最高金利を直近で更新しています。ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機で、ここ5年の最高金利だった201215日の0.5825%を上回ってきましたので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準となってきました。ここ5年の最高金利は20160119 0.6243%です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.6で、PBR1.19となっています。4-6月期の決算発表に伴い、予想ROE8.2%で、企業の今期収益力の見通しは3ヶ月前と比べて減速しています。

[
今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇率以上に上げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.6%となり、日経平均は280円の割高で、割高幅が拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-620円 ~+490円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場に比べ、強い動きが継続していますが、今日は強い動きが加速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルにはかなり割安で、テクニカルにはやや割安です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は1.84と拡大し、ドル円は円安方向の動きでした。直近の米国の長期金利は低下したものの、日本の長期金利の大幅低下で円安圧力が高まりました。
テクニカルから見て、米国市場は中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。一方、日経平均は中期下降トレンドで、短期はもみ合いです。
ファンダメンタル面では、LIBOR銀行間金利が目先上昇傾向で、ここ5年来の高い数値となっています。これは、最近の資源安に伴う資源国・グレンコアなどの資源会社破綻懸念、ジャンク債下落による関連ファンド破綻懸念、VW問題、中国企業の債務不履行などが先進国の金融システム不安に繋がる可能性があることを示しています。また、上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も急激な変化に注意が必要です。また、中国の不動産価格は下げ止まり感が出てきましたが、引き続き国有企業・中国地方政府を含めた不良債権問題にも注意が必要です。各国の長期金利の低下や原油の低迷など世界景気の減速懸念は払拭されない中、米国市場では、目先の雇用関連以外の経済指標は弱含みながら、米景気は今後も改善すると判断して、12月に利上げが決定されました。一方、欧州市場では景気が低迷しており、ECBが量的緩和の導入やマイナス金利を実施中ですが、ドラギ総裁の発言で追加緩和期待が浮上しています。このような相場環境の中、29日の米国市場では、10-12月の期GDP1月のシカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)やシーゲイト・テクノロジー、シェブロン、マスターカードなどの四半期決算が注目されそうです。

今日の日経平均は、想定した範囲を上ブレしました。上値は想定ラインを260円ほど上回りましたが、下値は想定ラインにあと50円まで接近しました。目先の日経平均の想定範囲は、上値が25日線+200(現在17880円近辺)で、下値が下降中のボリンジャーバンド-1σ+200(現在17020円近辺)の間での動きが想定されます


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