日経平均の予想: May 2018

Thursday, May 31, 2018

[2018/05/31]今後の日経平均の見通し

[市況]
530日、NYDowNASDAQは上昇しました。531日の日経平均先物は、前日比120円高で寄り付くと、午前中は160円高から60円高の間でもみあい、午後は80円高から220円高と上昇幅を拡げて、結局160円高で取引を終えました。日経平均の終値は183円高の22201円で、出来高は22.64億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状態です。

530日の米国市場では、買いが優勢となりました。政局の混迷を背景としたイタリア国債の利回り上昇が一服し、リスク回避の動きがひとまず後退しました。
531日の日本市場では、イタリアの政局不安が後退したことを受け、買い戻す動きが優勢となりました。ただ、警戒感は完全には払拭されておらず、上値は限定的でした。5月の米雇用統計の発表を間近に控え、本格的に買いを入れづらいという面もありました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあり、短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は+1.7%とプラスに転換し、200日線との乖離率は+1.9%とプラス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。3つの要素のうち1つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

NYDowは、9日線の下にありますが、200日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の上に抜けました。NASDAQは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.1ポイント拡大して-5.3ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1180円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.1ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.29ポイント(日経平均で17340円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率2.2%増で速報値2.3%増から下方修正しました。13月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標を見てみます。5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景気指数、3月の製造業受注、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、4月の鉱工業生産指数、4月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、4月の耐久財受注、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、利上げしやすくなるという面ではやや弱気材料です。

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比16.4万人増で、市場予測の19.2万人増を下回りました。一方、失業率は3.9%で、先月の4.1%から改善されました。雇用は、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。5月の住宅市場指数は予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、4月の新築住宅販売件数、4月の住宅着工件数、3月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.8%で、市場予想の+6.5%を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

全世界的に、景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字の根本的な解決にはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は回復傾向で、長期金利も上昇傾向です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額を600億ユーロから300億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、524 2.3319% 525 2.3318% 529 2.3071%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、上昇が続いています。なお、201854日に記録した2.3690%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.3PBR1.22となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.0%で、これは3か月前より27.1ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.3%となり、割安幅は190円から310円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-420円 から-190円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.81ポイントから2.82ポイントに拡大し、ドル円相場はやや円安方向に推移しました。米国の長期金利は上昇し、円安圧力が強まりました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など、欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

531日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、5月のシカゴ購買部協会景気指数、4月の中古住宅販売仮契約指数のほか、コストコなどの四半期決算が注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインの近辺で、40円ほど下回り、下値は想定ラインを160円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド-1σ+100(現在22390円近辺)、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在22040円近辺)と想定されます。



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Wednesday, May 30, 2018

[2018/05/30]今後の日経平均の見通し

[市況]
529日、NYDowNASDAQは下落しました。530日の日経平均先物は、前日比320円安で寄り付くと、午前中は380円安から220円安の間でもみあい、午後は260円安から340円安の間でもみあって、結局250円安で取引を終えました。日経平均の終値は339円安の22018円で、出来高は15.93億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状態ですが、売られ過ぎの水準です。

529日の米国市場では、イタリアやスペインの政局混乱への警戒感から欧州の株式相場が軒並み下落したことが嫌気され、売りが優勢となりました。また、長期金利の低下を背景に金融株が下落したことも重石となりました。
530日の日本市場では、欧州の財政への警戒感から欧米の株式市場が軒並み下落したことや、外国為替市場で円高が進行したことなどが嫌気され、リスク回避目的の売りが優勢となりました。日経平均の下げ幅は一時400円を超えましたが、終値は22000円の節目を維持しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあり、短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-0.7%とマイナスに転換し、200日線との乖離率は+1.1%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。3つの要素のうちプラスは2つとなり、中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の中に入りました。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.0ポイント拡大して-5.2ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1140円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.1ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.34ポイント(日経平均で17440円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率2.3%増で、予想2.0%増を上回りました。13月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標を見てみます。5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景気指数、3月の製造業受注、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、4月の鉱工業生産指数、4月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、4月の耐久財受注、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、利上げしやすくなるという面ではやや弱気材料です。

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比16.4万人増で、市場予測の19.2万人増を下回りました。一方、失業率は3.9%で先月の4.1%から改善しました。雇用は、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。5月の住宅市場指数は予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、4月の新築住宅販売件数、4月の住宅着工件数、3月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.8%で、市場予想の+6.5%を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

全世界的に、景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字の根本的な解決にはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は回復傾向で、長期金利も上昇傾向です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額を600億ユーロから300億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、523 2.3300% 524 2.3319% 525 2.3318%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、上昇が続いています。なお、201854日に記録した2.3690%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.2PBR1.21となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.0%で、これは3か月前より27.1ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.8%となり、割安幅は380円から190円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-510円 から-190円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.84ポイントから2.82ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など、欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

530日の米国市場では、5月のADP雇用統計や、13月期のGDP改定値、ベージュブックなどが注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを460円ほど下回り、下値は想定ラインを250円ほど下回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド-1σ(現在22280円近辺)、下値がボリンジャーバンド-2σ-100(現在21920円近辺)と想定されます。



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Tuesday, May 29, 2018

[2018/05/29]今後の日経平均の見通し

[市況]
528日、NYDowNASDAQは休場でした。529日の日経平均先物は、前日比70円安で寄り付くと、午前中は50円安から260円安と下げ幅を拡げ、午後は250円安から130円安の間でもみあって、結局190円安で取引を終えました。日経平均の終値は122円安の22358円で、出来高は13.12億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状態です。

528日の米国はメモリアルデーの休日で、米国市場は休場でした。
529日の日本市場では、イタリアやスペインの政治不安を背景に欧州株式市場が下落したことが意識され、リスク回避の姿勢が強まりました。外国為替市場で円高が進んだことも重石となりました。日経平均の下げ幅は一時200円を超えましたが、引け際にやや下げ渋りました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあり、短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は+3.9%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+2.8%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

NYDow25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.6ポイント拡大して-4.2ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より940円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.1ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.26ポイント(日経平均で17400円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率2.3%増で、予想2.0%増を上回りました。13月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標を見てみます。5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景気指数、3月の製造業受注、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、4月の鉱工業生産指数、4月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、4月の耐久財受注、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、利上げしやすくなるという面ではやや弱気材料です。

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比16.4万人増で、市場予測の19.2万人増を下回りました。一方、失業率は3.9%で先月の4.1%から改善しました。雇用は、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。5月の住宅市場指数は予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、4月の新築住宅販売件数、4月の住宅着工件数、3月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.8%で、市場予想の+6.4%を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

全世界的に、景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字の根本的な解決にはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は回復傾向で、長期金利も上昇傾向です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額を600億ユーロから300億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、523 2.3300% 524 2.3319% 525 2.3318%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、上昇が続いています。なお、201854日に記録した2.3690%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.4PBR1.22となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.0%で、これは3か月前より27.1ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
NYDowは休場でしたが、日経平均は下落しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.7%となり、割安幅は300円から380円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-510円 から-300円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.90ポイントから2.84ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など、欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

529日の米国では、3月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数などが注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを210円ほど下回り、下値は想定ラインの近辺で、60円ほど下回りました。目先の日経平均は、上値が25日線(現在22550円近辺)、下値がボリンジャーバンド-1σ-100(現在22200円近辺)と想定されます。



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