日経平均の予想: October 2023

Tuesday, October 31, 2023

[2023/10/31]今後の日経平均の見通し

[市況]

1030日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。1031日の日経平均先物は、前日比70円安で寄り付くと、午前中は160円安から10円高の間でもみあい、午後は90円安から280円高と上昇幅を拡げて、結局、150円高で取引を終了しました。日経平均の終値は161円高の30858円で、出来高は19.85億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや弱まりました。

 

1030日の米国市場では、足元の株安を受け、自律反発狙いの買いが優勢となりました。FOMC10月の雇用統計の発表など重要日程を前に、持ち高を中立方向に戻すための買いも入りました。加えて、原油安も支援材料となりました。NYDow4営業日ぶりに反発し、NASDAQは続伸しました。

1031日の日本市場では、日銀が金融政策決定会合でYCC(イールドカーブコントロール)を再修正するとの観測が先行し、国内長期金利の上昇を受けて半導体関連銘柄などが売られました。ただ、金融政策決定会合の結果が公表されると、「これまでの政策からほとんど変わらない」との受け止めから短期筋が買い戻しを入れ、相場を押し上げました。結局、日経平均は反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-4.5%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は+1.7%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+2.2ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が680円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+4.3ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が1330円ほど割高であることを示しています

 

日経VI22.01と低下し、VIX19.75と低下しました。VIXは、不安心理の高まりを示す20を下回りました。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.8、米国0.5と日本が5.3ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.83ポイント(日経平均換算で78760円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP速報値は前期比年率4.9%増で、市場予想の4.5%増を上回りました。また、79月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月の耐久財受注、9月の鉱工業生産指数、9月の小売売上高、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月の消費者物価指数、8月の製造業受注、9月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、9月のISM非製造業景況指数は市場予想と一致しました。一方、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は93負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比33.6万人増で、市場予想の16.6万人増を大きく上回りました。一方、失業率は3.8%で、前月の3.8%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

9月の中古住宅販売仮契約指数、9月の新築住宅販売件数、9月の中古住宅販売件数、9月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、10月の住宅市場指数は予想を下回りました。一方、7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+0.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2023年内にまだ利上げをする可能性があると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で、8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、長期金利の許容変動幅は、0.5%に据え置きつつも、1%までは柔軟に対応するという政策に変更されました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、10255.6491% 1026 5.6515% 1027 5.6448%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.89PBR1.27となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.5%となり、これは3か月前より0.4ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.0%で、こちらは3か月前より1.0ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.0%となり、日経平均は110円の割高から320円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-810円から+110円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.99ポイントから3.94ポイントに縮小しました。ドル円相場は乱高下し、円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に下降トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

1031日の米国市場では、8月の住宅価格指数、8月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、キャタピラー、インサイト、アムジェン、ファイザー、ファースト・ソーラーなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、中東情勢や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを140円ほど下回り、下値は想定ラインを220円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+300円(現在31220円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ+100円(現在30440円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、不安心理を反映して20を上回って推移しています。一方、信用の売り圧力は、やや弱まりました。きょうの日経平均は反発しました。終値が昨日の高値を上回ったので、目先、上昇が期待できそうです。



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Monday, October 30, 2023

[2023/10/30]今後の日経平均の見通し

[市況]

1027日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。1030日の日経平均先物は、前日比370円安で寄り付くと、午前中は460円安から300円安の間でもみあい、午後は500円安から300円安と下落幅を縮めて、結局、340円安で取引を終了しました。日経平均の終値は294円安の30696円で、出来高は29.05億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。

 

1027日の米国市場では、パレスチナ自治区ガザへの本格的な地上侵攻が始まることへの懸念が強まり、リスク回避目的の売りが出ました。また、シェブロンなど決算で悪材料が出た個別株が売られ、指数を押し下げました。一方で、インテルやアマゾン・ドット・コムなど、決算が市場予想を上回った銘柄をはじめ、ハイテク株の一角には買いが向かいました。結局、NYDow3日続落し、NASDAQ3日ぶりに反発しました。

1030日の日本市場では、前週末のNYダウが下落した流れを受け、幅広い銘柄に売りが優勢となりました。中東情勢悪化への警戒感も引き続き投資家心理の重石となりました。日野自動車やオムロンが決算発表後にストップ安水準まで売られたことを受け、日本企業の業績に対する期待が後退した面もあったようです。日経平均は反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-6.2%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率は+1.2%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+2.8ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が860円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は+5.3ポイントで、日経平均が1630円ほど割高であることを示しています

 

日経VI23.71と上昇し、VIX21.27と上昇しました。両指数ともに、不安心理の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは横ばいでした。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.9、米国0.5と日本が5.4ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.90ポイント(日経平均換算で81690円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP速報値は前期比年率4.9%増で市場予想の4.5%増を上回りました。また、79月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月の耐久財受注、9月の鉱工業生産指数、9月の小売売上高、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月の消費者物価指数、8月の製造業受注、9月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、9月のISM非製造業景況指数は市場予想と一致しました。一方、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は93負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比33.6万人増で、市場予想の16.6万人増を大きく上回りました。一方、失業率は3.8%で、前月の3.8%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

9月の中古住宅販売仮契約指数、9月の新築住宅販売件数、9月の中古住宅販売件数、9月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、10月の住宅市場指数は予想を下回りました。一方、7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+0.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2023年内にまだ利上げをする可能性があると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で、8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、長期金利の許容変動幅は、0.5%に据え置きつつも、1%までは柔軟に対応するという政策に変更されました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、10255.6491% 1026 5.6515% 1027 5.6448%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.84PBR1.27となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.5%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.1%で、こちらは3か月前より0.4ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.4%となり、日経平均は20円の割安から110円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-810円から+110円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.99ポイントから3.99ポイントと横ばいでした。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に下降トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

1030日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。ロウズやマクドナルドなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、中東情勢や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを610円ほど下回り、下値は想定ラインを120円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+200円(現在31160円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ(現在30350円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、不安心理を反映して20を上回って推移しています。また、信用の売り圧力は、かなり強まりました。日経平均は反落しました。200日線を下回るかどうかが、次の注目点です。



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Saturday, October 28, 2023

[2023/10/29]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、中東の地政学的リスクの高まりで、株価指数は週間では大幅下落しました。

週間変動率 NYダウ:-2.14% NASDAQ:-2.62% S&P500:-2.53%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、改定された2024年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.81ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER18.6に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER15.0との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.81ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER53.5程度になるか、又は、日経平均が110,750円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は79,760円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、79,760円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは縮小しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。今週は、NYダウが25日線の上に戻れるか否かに注目。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+8.5%となりました。3ヶ月前に比べて0.4ポイント悪化しました。また、利益伸び率は+2.1%となりました。3ヶ月前に比べて+0.4%ポイント改善しています。

  米国の長期金利は低下し、日米間の金利差は4.08から3.96に縮小して、ドル円は150円から149円の範囲で円高方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+0.39%上昇しました。

  OECDの日米の2024年の名目GDP伸び率は、日本が+2.96%で、米国は+3.40%と予想されていますので、この面では日本市場の方が0.44ポイント劣ります。

  10月第3週は売り越しでした。10月第4週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に3.8ポイント(日経平均に勘算すると1180円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に6.3ポイント(日経平均に勘算する1950円程度)割高です。

 

NYダウ対する日本市場の強さは、この週に拡大しました。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 21.3 と低下しました。 日経 VI は 週間で 22.6と低下しました。日米市場とも不安心理は高まりました。

 

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。日経平均の総合乖離率は-3.6%で、200日移動平均線との乖離率は+2.2%でした。1つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"黄信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDow9日線・25日線・200日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の下に在ります。

NASDAQは、9日線・25日線・200日線のの下にあります。また、一目均衡表の雲の下に在ります。

短期的には"信号”で、中期的にも"信号”が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期下降トレンドで、短期は下降トレンドです。

日本市場は中期もみあいで、短期は下降トレンです。

 

為替市場を分析すると、20231月より円安方向へ転換しています。今週は148円台から150円台が想定されます。

 

今週の米国市場では、FRBの金利決定、ISM製造業・サービス業PMIJOLTs求人倍率、製造業受注などに続き、雇用統計に注目が集まります。また、アップルなど、主要企業の第3四半期決算報告が続きます。国際的には、英国、日本の中央銀行の金利決定が最も重要です。ユーロ圏のインフレ率と第3四半期GDP成長率が注目されます。そのほか、中国の製造業PMIは、世界経済の行方に関する洞察を提供するでしょう。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを330円ほど下回り、下値は想定ラインを30円ほど上回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値が25日線(現在31640円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在30430円近辺)の間での動きが想定されます。

 

今週は、中東情勢、米長期金利の動き、四半期決算内容影響される週となりそうです。日米市場ともボラティリティーは高止まりしており、日経平均は乱高下が予想されます。


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Friday, October 27, 2023

[2023/10/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

1026日、NYDowNASDAQは下落しました。1027日の日経平均先物は、前日比160円高で寄り付くと、午前中は80円高から500円高と上昇幅を拡げ、午後は470円高から330円高の間でもみあって、結局、450円高で取引を終了しました。日経平均の終値は389円高の30991円で、出来高は13.80億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや弱まりました。

 

1026日の米国市場では、業績の先行き不透明感が意識されたメタプラットフォームズが売られ、ハイテク株全般への売りをさそいました。長期金利の低下を受けて買いが優勢となる場面もありましたが、金利の先高観は根強く、買い進む動きは続きませんでした。NYDowNASDAQは続落しました。

1027日の日本市場では、足元の株安を受け、自律反発狙いの買いが優勢となりました。米長期金利の上昇が一服したことや、米株価指数先物が堅調に推移したことも追い風となりました。ただ、日経平均が節目の31000円を上回る水準では戻り待ちの売りが出て、相場の上値を抑えました。日経平均は反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-3.6%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は+2.2%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+4.1ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が1270円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+5.3ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が1640円ほど割高であることを示しています

 

日経VI22.58と低下し、VIX20.68と上昇しました。両指数ともに、不安心理の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.8、米国0.3と日本が5.5ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より5.10ポイント(日経平均換算で99850円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP速報値は前期比年率4.9%増で市場予想の4.5%増を上回りました。また、79月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

9月の耐久財受注、9月の鉱工業生産指数、9月の小売売上高、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月の消費者物価指数、8月の製造業受注、9月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、9月のISM非製造業景況指数は市場予想と一致しました。一方、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は84負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比33.6万人増で、市場予想の16.6万人増を大きく上回りました。一方、失業率は3.8%で、前月の3.8%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

9月の中古住宅販売仮契約指数、9月の新築住宅販売件数、9月の中古住宅販売件数、9月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、10月の住宅市場指数は予想を下回りました。一方、7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+0.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2023年内にまだ利上げをする可能性があると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で、8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、長期金利の許容変動幅は、0.5%に据え置きつつも、1%までは柔軟に対応するという政策に変更されました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、1023 5.6398% 1024 5.6412% 1025 5.6491%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.96PBR1.28となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.5%となり、これは3か月前より0.4ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.2%で、こちらは3か月前より0.4ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.0%となり、日経平均の割安幅は810円から20円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-810円から-20円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、4.11ポイントから3.99ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に下降トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

1027日の米国市場では、9月の個人所得、個人消費支出、個人消費支出(PCE)価格コア指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数のほか、シェブロンやエクソン・モービルなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを50円ほど上回り、下値は想定ラインを460円ほど上回りました。目先は、25日線-200円(現在31440円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-300円(現在30740円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、不安心理を反映して20を上回って推移しています。一方、信用の売り圧力は、やや弱まりました。日経平均は、きょうのところは200日線を割らずに反発しましたが、まだ安心するのは早計です。



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