[市況]
3月21日、NYDowとNASDAQは上昇しました。3月24日の日経平均先物は、前日比120円高で寄り付くと、午前中は190円高から20円安の間で上下し、午後は80円高から90円安と下落に転じて、結局、50円安で取引を終えました。日経平均の終値は68円安の37608円で、出来高は16.57億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を5日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。
3月21日の米国市場では、貿易戦争激化への懸念から売りが先行しましたが、トランプ大統領が4月2日から発動される予定の相互関税について「柔軟性がある」との見解を示した旨が伝わると、市場の警戒感がいったん薄れ、引けにかけて買いが優勢となりました。NYDowとNASDAQは反発しました。
3月24日の日本市場では、米関税政策の不透明感が引き続き投資家心理の重石となり、売りが優勢となりました。一方で、個人投資家による配当取り狙いの買いが相場の下値を支えました。日経平均は3日続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線の上にありますが、25日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は-6.0%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-2.5%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の下にあり、9日線を下回りました。
NYDowは、9日線の上にありますが、25日線と200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線の上にありますが、25日線と200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには赤信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+1.4ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が530円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、-2.1ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が790円ほど割安であることを示しています。
日経VIは21.77と前日よりやや上昇し、VIXは19.28と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.5と日本が4.5ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.37ポイント(日経平均換算で40520円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP改定値は前期比年率2.3%増で、速報値の2.3%増と同水準でした。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産指数、2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月の消費者物価指数、2月のISM製造業景況指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比15.1万人増で、市場予想の16万人増を下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
2月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、3月の住宅市場指数、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、5会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.5%としました。日銀は、3月の金融政策決定会合では0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.41、PBRが1.41となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は+6.9%で、こちらは3か月前より2.6ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.7%となり、日経平均の割高幅は400円から260円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+260円~+940円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.74ポイントから2.75ポイントに拡大しました。ドル円相場はもみあっています。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。日経平均も同様に、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。
3月24日の米国市場では、3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が注目されるでしょう。引き続き、関税政策の景気への影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを190円ほど下回り、下値は想定ラインを370円ほど上回りました。目先は、25日線+300円(現在38140円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+100円(現在37140円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、目安の20を上回っています。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は、25日線を越えられない状態が続いています。年度末までは、下降中の25日線を挟んだ動きが続きそうです。
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