[市況]
3月3日、NYDowとNASDAQは大幅下落しました。3月4日の日経平均先物は、前日比540円安で寄り付くと、午前中は430円安から1050円安と下落幅を拡げ、午後は870円安から480円安と下落幅を縮めて、結局、500円安で取引を終えました。日経平均の終値は454円安の37331円で、出来高は19.65億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を4日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。
3月3日の米国市場では、「中国の業者が、米国の輸出規制を回避してエヌビディアのAI半導体を注文している」との報道を受け、政権が半導体の対中輸出規制を強化するとの観測が強まり、エヌビディアやブロードコムなど関連株が売られ、相場を押し下げました。2月のISM製造業景況指数が市場予想を下回ったことも投資家心理の重石となりました。NYDowとNASDAQは大幅に反落しました。
3月4日の日本市場では、貿易戦争激化への警戒感が強まるなか、米国がウクライナへの軍事支援を停止すると表明したことや、トランプ大統領が日本の通貨安誘導策を非難する発言をしたことなどが投資家心理を冷やし、幅広い銘柄にリスク回避の売りが膨らみました。日経平均の戻りの鈍さも嫌気されたようです。一方で、ディフェンシブ株や防衛関連株の一角には買いが向かい、相場を下支えしました。日経平均は反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-11.4%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-3.4%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、25日線の下にあり、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下に出ました。NASDAQは、9日線と25日線の下にあり、200日線を下回りました。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドには黄信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-2.8ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1050円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-6.4ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2390円ほど割安であることを示しています。
日経VIは27.06と前日より上昇し、VIXも22.78と前日より上昇しました。両指数ともに、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.3、米国-0.5と日本が4.8ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.71ポイント(日経平均換算で46430円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP改定値は前期比年率2.3%増で、速報値の2.3%増と同水準でした。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
2月の耐久財受注、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の鉱工業生産指数、1月の消費者物価指数は市場予想を上回りました。また、1月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、2月のISM製造業景況指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、2月のミシガン大学消費者信頼感指数、1月のISM非製造業景況指数、12月の製造業受注、1月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.3万人増で、市場予想の17万人増を下回りました。一方、失業率は4.0%で、前月の4.1%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
12月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数、1月の住宅着工件数、2月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBはトランプ政権の政策を見極める必要があるとし、1月のFOMCで利下げを一旦停止しました。ECBは、4会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.75%としました。一方、日銀は、1月の金融政策決定会合で0.25ポイントの利上げを決定し、金利水準を0.5%としました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが14.93、PBRが1.37となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+6.6%で、こちらは3か月前より2.3ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.6%となり、日経平均は60円の割安から210円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-130円~+1010円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.83ポイントから2.74ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。
3月4日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。ベストバイ、ターゲット、オートゾーン、クラウド・ストライクなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税政策の行方や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを550円ほど下回り、下値も想定ラインを480円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ-200円(現在37940円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-3σ+200円(現在37050円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、目安の20を上回っています。また、信用の売り圧力は、強まりました。日経平均は反落しました。2月28日の高値(37925円)を上回ることはできず、逆にザラ場では安値を下回ったので、下落圧力は強く、目先は下降中のボリンジャーバンド-2σを挟んだ動きとなりそうです。
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