[市況]
3月12日、NYDowは小幅下落し、NASDAQは上昇しました。3月13日の日経平均先物は、前日比330円高で寄り付くと、午前中は540円高から280円高の間でもみあい、午後は380円高から40円安と下落に転じて、結局、40円安で取引を終えました。日経平均の終値は29円安の36790円で、出来高は17.75億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を3日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
3月12日の米国市場では、貿易戦争激化への警戒感が引き続き投資家心理の重石となりました。一方、値ごろ感からエヌビディアなど一部のハイテク株には見直し買いが入り、相場を下支えしました。2月の消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回りましたが、関税政策の影響でインフレ圧力は高まるとみられており、積極的な買いにはつながりませんでした。結局、NYDowは3日続落し、NASDAQは3営業日ぶりに反発しました。
3月13日の日本市場では、前日の米ハイテク株高を受けて値がさの半導体関連株に買いが先行し、指数を押し上げました。ただ、米景気や米関税政策の先行き不透明感は引き続き投資家心理の重石であり、買い一巡後の指数は伸び悩みました。円相場が対ドルで強含んだことも重石となり、結局、日経平均はマイナスに転じて終えました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-13.5%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は-4.7%と前日比横ばいでした。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-0.1ポイントとマイナスに転じ、日経平均が40円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-3.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1100円ほど割安であることを示しています。
日経VIは26.65と前日より低下し、VIXも24.23と前日より低下しました。両指数ともに、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.4と日本が4.8ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.68ポイント(日経平均換算で44080円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP改定値は前期比年率2.3%増で、速報値の2.3%増と同水準でした。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月の耐久財受注、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の鉱工業生産指数は市場予想を上回りました。また、1月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、2月の消費者物価指数、2月のISM製造業景況指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、2月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は8勝4負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースがにぶるという面では弱気材料です。
米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比15.1万人増で、市場予想の16万人増を下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
12月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数、1月の住宅着工件数、2月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBはトランプ政権の政策を見極める必要があるとし、1月のFOMCで利下げを一旦停止しました。ECBは、4会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.75%としました。一方、日銀は、1月の金融政策決定会合で0.25ポイントの利上げを決定し、金利水準を0.5%としました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが14.83、PBRが1.36となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+7.1%で、こちらは3か月前より2.5ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.1%となり、日経平均の割高幅は1120円から1150円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+500円~+1150円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.76イントから2.76ポイントと横ばいでした。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。日経平均も同様に、短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。
3月13日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、2月生産者物価指数(PPI)のほか、ドキュサイン、アルタ・ビューティ、ダラー・ゼネラルなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税政策の景気への影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを150円ほど上回り、下値は想定ラインを400円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+100円(現在37380円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ+100円(現在36470円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、目安の20を大きく上回っています。一方、信用の売り圧力は、弱まりました。日経平均は小幅に反落しました。下降中のボリンジャーバンド-2σを挟んだ動きからは脱したように見えますが、しばらくは変動幅の大きい不安定な動きが続きそうです。
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