日経平均の予想: [2025/02/28]今後の日経平均の見通し

Thursday, February 27, 2025

[2025/02/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

227日、NYDowNASDAQは下落しました。228日の日経平均先物は、前日比650円安で寄り付くと、午前中は580円安から1260円安と下落幅を拡げ、午後は1460円安から1100円安の間でもみあって、結局、1190円安で取引を終えました。日経平均の終値は1100円安の37255円で、出来高は27.09億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。

 

227日の米国市場では、トランプ大統領がカナダとメキシコからの輸入品に予定どおり関税を課し、加えて既に追加関税が発動している中国には追加で10%を課す、との考えを示したことから、米国内のインフレ圧力が高まって個人消費が減速するとの懸念が強まり、リスク回避の動きが優勢となりました。また、AI需要減速への警戒感からエヌビディアが売られ、他のハイテク株に売りが波及したことも重石となりました。NYダウは続落し、NASDAQは反落しました。

228日の日本市場では、前日の米ハイテク株安を受けて値がさの半導体関連株が売られ、指数を押し下げました。米国の関税政策が業績に与える悪影響への警戒感から、自動車株や中国関連株にも売りが向かいました。日経平均は大幅に反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-13.3%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-3.9%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線の下にあり、25日線と200日線を下回りました。

 

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQも、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-4.5ポイントとマイナス幅をやや縮め、日経平均が1680円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-7.1ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2650円ほど割安であることを示しています

 

日経VI26.98と前日より上昇し、VIX21.13と前日より上昇しました。両指数ともに、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.4、米国-0.2と日本が5.2ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.13ポイント(日経平均換算で57690円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率2.3%増で、速報値の2.3%増と同水準でした。また、1012月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

2月の耐久財受注、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の鉱工業生産指数、1月の消費者物価指数、1月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、1月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、2月のミシガン大学消費者信頼感指数、1月のISM非製造業景況指数、12月の製造業受注、1月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です

 

米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.3万人増で、市場予想の17万人増を下回りました。一方、失業率は4.0%で、前月の4.1%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

12月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数、1月の住宅着工件数、2月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはトランプ政権の政策を見極める必要があるとし、1月のFOMCで利下げを一旦停止しました。ECBは、4会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.75%としました。一方、日銀は、1月の金融政策決定会合で0.25ポイントの利上げを決定し、金利水準を0.5%としました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。


日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.72PBR1.35となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+6.9%で、こちらは3か月前より2.2ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.3%となり、日経平均は1010円の割高から130円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-130円~+1150円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.88ポイントから2.87ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。

 

228日の米国市場では、1月個人の消費支出やPCEデフレーターが注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを640円ほど下回り、下値も想定ラインを730円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-2σ+200円(現在37970円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-3σ(現在37170円近辺)が下値の目安となります。

 

日経VIは、目安の20を上回っています。また、信用の売り圧力は、強まりました。日経平均は大幅に反落し、レンジの下限を大きく下回りましたが、出来高を伴っておらず、安値更新銘柄数もさほど多くないので、ここで下げ止まりとは考えるのは早計と思われます。目先、一段安となることも覚悟しておく必要がありそうです。



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