[市況]
2月26日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。2月27日の日経平均先物は、前日比40円安で寄り付くと、午前中は170円高から130円安の間で上下し、午後は150円安から100円高の間で上下して、結局、80円高で取引を終えました。日経平均の終値は113円高の38256円で、出来高は18.01億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を6日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
2月26日の米国市場では、足元で下げが目立っていたハイテク株の一角に見直し買いが入り、午前の相場を支えました。ただ、トランプ大統領がEUに対して関税を課す考えを示し、メキシコとカナダへの関税は4月2日に発効することが確定した、と伝わると、リスク回避目的の売りが優勢となりました。結局、NYDowは3営業日ぶりに反落し、NASDAQは5営業日ぶりに反発しました。
2月27日の日本市場では、日経平均の底堅さが意識され、株価指数先物に断続的に買いが入り、指数を支えました。一方、米景気の先行き不透明感や為替の円高ドル安基調は引き続き投資家心理の重石となりました。米エヌビディアは好決算を発表しましたが、同社の株価が一進一退となったこともあり、日本の半導体関連株の反応は限定的でした。日経平均は3営業日ぶりに反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-5.2%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-1.1%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-4.6ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1760円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-4.8ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1840円ほど割安であることを示しています。
日経VIは22.39と前日より低下し、VIXも19.10と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.2と日本が5.0ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.97ポイント(日経平均換算で57360円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP速報値は前期比年率2.3%増で、予想値の2.5%増を下回りました。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の鉱工業生産指数、1月の消費者物価指数、1月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、1月の小売売上高、1月の耐久財受注は市場予想と一致しました。一方、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、2月のミシガン大学消費者信頼感指数、1月のISM非製造業景況指数、12月の製造業受注、1月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は7勝5負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です。
米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.3万人増で、市場予想の17万人増を下回りました。一方、失業率は4.0%で、前月の4.1%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
12月の中古住宅販売件数、11月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、1月の新築住宅販売件数、1月の住宅着工件数、2月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBはトランプ政権の政策を見極める必要があるとし、1月のFOMCで利下げを一旦停止しました。ECBは、4会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.75%としました。一方、日銀は、1月の金融政策決定会合で0.25ポイントの利上げを決定し、金利水準を0.5%としました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.09、PBRが1.38となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+6.3%で、こちらは3か月前より2.3ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.7%となり、日経平均の割高幅は780円から1010円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+720円~+1150円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.97ポイントから2.88ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。
2月27日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、10~12月期のGDP改定値、1月の耐久財受注、1月の中古住宅販売仮契約指数のほか、デル・テクノロジーズ、HP、オートデスク、ユニバーサル・ヘルス、ノルウェー・クルーズ・ライン・ホールディングスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを210円ほど下回り、下値も想定ラインを340円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+200円(現在38780円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-200円(現在37890円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、目安の20を上回っています。一方、信用の売り圧力は、弱まりました。きょうの日経平均は反発しましたが、戻りの勢いは鈍く、まだ底を打ったとは言えない状態です。
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