[市況]
2月12日、NYDowは下落し、NASDAQは小幅上昇しました。2月13日の日経平均先物は、前日比190円高で寄り付くと、午前中は110円高から510円高と上昇幅を拡げ、午後は600円高から440円高の間でもみあって、結局、440円高で取引を終えました。日経平均の終値は497円高の39461円で、出来高は20.32億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を5日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。
2月12日の米国市場では、朝方に発表された1月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことから、物価の上昇圧力は依然として強く、FRBによる次の利下げは遠のいたとの観測が強まり、株売りにつながりました。ただ、その後、相互関税のありかたをめぐって、トランプ大統領が自動車や薬品など例外を設ける案を検討中、と伝わると、投資家のリスク回避姿勢はやや後退しました。結局、NYDowは反落し、NASDAQは小幅に反発しました。
2月13日の日本市場では、外国為替市場の円安ドル高進行を受け、輸出関連株を中心とした幅広い銘柄に買いが向かいました。米政権が自動車や製薬など一部カテゴリーについて相互関税の免除を検討していると伝わったことも安心感につながりました。また、国内長期金利の上昇を背景に、銀行株への買いも目立ちました。日経平均は3日続伸しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から青信号に変わりました。
総合乖離率は+4.1%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+2.1%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上に出ました。3つの要素すべてがプラスとなり、中期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-5.4ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2130円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-4.4ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1740円ほど割安であることを示しています。
日経VIは20.06と前日より低下し、VIXも15.89と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.2、米国+0.2と日本が5.4ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.21ポイント(日経平均換算で72560円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP速報値は前期比年率2.3%増で、予想値の2.5%増を下回りました。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
1月の消費者物価指数、1月のISM製造業景況指数、12月の鉱工業生産指数、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、1月の耐久財受注は市場予想と一致しました。一方、2月のミシガン大学消費者信頼感指数、1月のISM非製造業景況指数、12月の製造業受注、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月の小売売上高、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です
米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.3万人増で、市場予想の17万人増を下回りました。一方、失業率は4.0%で、前月の4.1%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
12月の新築住宅販売件数、12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数、1月の住宅市場指数、11月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。また、11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.3%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は6勝0負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBはトランプ政権の政策を見極める必要があるとし、1月のFOMCで利下げを一旦停止しました。ECBは、4会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.75%としました。一方、日銀は、1月の金融政策決定会合で0.25ポイントの利上げを決定し、金利水準を0.5%としました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.39、PBRが1.42となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+6.6%で、こちらは3か月前より0.7ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.7%となり、日経平均は220円の割安から270円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-220円~+270円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.21ポイントから3.27ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
2月13日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、1月の生産者物価指数(PPI)のほか、アプライド・マテリアルズ、エアビーアンドビー、アメリカン・エレクトリック・パワー、CBREグループ、DTEエナジー、パシフィックパワー&ライト、ムーディーズ、パシフィックガス&エレクトリック、デューク・エナジーなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを240円ほど上回り、下値も想定ラインを560円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-100円(現在40010円近辺)が上値の目安に、25日線-100円(現在39040円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、目安の20を上回る高水準にありますが、低下傾向にあります。また、信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。日経平均は3日続伸し、25日線を明確に上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在40107円)近辺までの上昇が期待できそうです。
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