[市況]
2月19日、NYDowとNASDAQは上昇しました。2月20日の日経平均先物は、前日比320円安で寄り付くと、午前中は220円安から670円安と下落幅を拡げ、午後は720円安から460円安と下落幅を縮めて、結局、460円安で取引を終えました。日経平均の終値は486円安の38678円で、出来高は18.78億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。
2月19日の米国市場では、メルクやユナイテッドヘルス・グループ、トラベラーズなどディフェンシブ株の一角に買いが入り、指数を支えました。FOMC議事要旨で、量的引き締めの一時停止への言及があったことも好感されました。一方、トランプ政権の関税政策への警戒感は、引き続き投資家心理の重石となりました。結局、NYDowは続伸し、NASDAQも5日続伸しました。
2月20日の日本市場では、日銀の追加利上げ観測を背景に外国為替市場で円が対ドルで強含んだことから、輸出関連株を中心に売りが優勢となりました。短期筋による株価指数先物への売りも重石となりました。ただ、午後には値ごろ感からの買いや売り方の買い戻しが入り、指数を下支えしました。日経平均は続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線を下回りました。短期トレンドは青信号から赤信号に変わりました。
総合乖離率は-2.1%とマイナスに転換し、200日線との乖離率は+0.0%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下に出ました。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-9.2ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が3560円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-6.8ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2630円ほど割安であることを示しています。
日経VIは20.81と前日より上昇し、VIXは15.27と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回りました。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.2、米国+0.1と日本が5.3ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.12ポイント(日経平均換算で64340円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP速報値は前期比年率2.3%増で、予想値の2.5%増を下回りました。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の鉱工業生産指数、1月の消費者物価指数、1月のISM製造業景況指数、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、1月の小売売上高、1月の耐久財受注は市場予想と一致しました。一方、2月のミシガン大学消費者信頼感指数、1月のISM非製造業景況指数、12月の製造業受注、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は7勝5負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です。
米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.3万人増で、市場予想の17万人増を下回りました。一方、失業率は4.0%で、前月の4.1%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
12月の新築住宅販売件数、12月の中古住宅販売件数、11月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、1月の住宅着工件数、2月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.3%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBはトランプ政権の政策を見極める必要があるとし、1月のFOMCで利下げを一旦停止しました。ECBは、4会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.75%としました。一方、日銀は、1月の金融政策決定会合で0.25ポイントの利上げを決定し、金利水準を0.5%としました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.15、PBRが1.39となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+6.9%で、こちらは3か月前より2.0ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.7%となり、日経平均の割高幅は460円から280円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+70円~+590円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.12ポイントから3.08ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。
2月20日の米国では、週間の新規失業保険申請件数や、2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数のほか、ウォルマート、センターポイント・エナジー、サザン、クアンタ・サービシーズ、ハズブロなどの四半期決算が注目されます。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを570円ほど下回り、下値も想定ラインを250円ほど下回りました。目先は、25日線-100円(現在39030円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-100円(現在38210円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、目安の20を上回りました。また、信用の売り圧力も、強まりました。日経平均は続落し、三角持ち合いを下離れしました。2月3日の安値(38402円)を下回るかどうかが、下降トレンド入りするかどうかの判断材料となるでしょう。
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