[市況]
2月20日、NYDowとNASDAQは下落しました。2月21日の日経平均先物は、前日比170円安で寄り付くと、午前中は260円安から100円高と上昇に転じ、午後は110円安まで下落したのち90円高まで戻して、結局、80円高で取引を終えました。日経平均の終値は98円高の38776円で、出来高は19.47億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を3日連続で上回りましたが、個別銘柄への信用の売り圧力は弱まりました。
2月20日の米国市場では、ウォルマートが市場予想を下回る慎重な業績見通しを発表したことを受け、消費関連株に売りが広がりました。トランプ政権の政策が米経済に与える影響が不透明であることも、引き続き投資家心理の重石となりました。NYDowダウは3営業日ぶりに反落し、NASDAQも6営業日ぶりに反落しました。前日に過去最高値を更新したS&P500も、利益確定の売りに押されて下落しまた。
2月21日の日本市場では、前日の米株安を受けて売りが先行しましたが、日銀の植田総裁が衆議院の予算委員会で「金利が急激に上昇するような局面では、機動的に国債買い入れを増額する」と発言した旨が伝わると、円相場が下落し、株買いを誘いました。午後は材料難から方向感に乏しい相場展開となりましたが、日経平均は結局、3日ぶりに反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-1.4%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は+0.3%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-8.3ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が3220円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-5.4ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2090円ほど割安であることを示しています。
日経VIは20.78と前日よりやや低下し、VIXは15.66と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.2、米国+0.0と日本が5.2ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.11ポイント(日経平均換算で64240円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP速報値は前期比年率2.3%増で、予想値の2.5%増を下回りました。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の鉱工業生産指数、1月の消費者物価指数、1月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、1月の小売売上高、1月の耐久財受注は市場予想と一致しました。一方、2月のミシガン大学消費者信頼感指数、1月のISM非製造業景況指数、12月の製造業受注、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は7勝5負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です。
米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14.3万人増で、市場予想の17万人増を下回りました。一方、失業率は4.0%で、前月の4.1%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
12月の新築住宅販売件数、12月の中古住宅販売件数、11月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、1月の住宅着工件数、2月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.3%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍化するという面では弱気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBはトランプ政権の政策を見極める必要があるとし、1月のFOMCで利下げを一旦停止しました。ECBは、4会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.75%としました。一方、日銀は、1月の金融政策決定会合で0.25ポイントの利上げを決定し、金利水準を0.5%としました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.19、PBRが1.39となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+6.9%で、こちらは3か月前より2.0ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.9%となり、日経平均の割高幅は280円から720円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+280円~+720円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.08ポイントから3.08ポイントと横ばいでした。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。
2月21日の米国では、2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)などが注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを230円ほど下回り、下値も想定ラインを220円ほど上回りました。目先は、25日線(現在39140円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ(現在38330円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、目安の20を上回っています。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は2月3日の安値(38402円)を下回らずに反発しました。下降トレンド入りとはならず、もみあいが継続する可能性も残っています。
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