[市況]
10月24日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。10月25日の日経平均先物は、前日比90円安で寄り付くと、午前中は80円安から400円安と下落幅を拡げ、午後は430円安から150円安の間と下落幅を縮めて、結局、150円安で取引を終えました。日経平均の終値は229円安の37913円で、出来高は15.66億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態ですが、売られ過ぎの水準です。
空売り比率は、5日平均と一致しました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや弱まりました。
10月24日の米国市場では、市場の期待を下回る四半期決算を発表したIBMとハネウェル・インターナショナルや、ストライキに直面しているボーイングが大きく売られ、指数の重石となりました。一方、テスラや半導体製造装置のラムリサーチは決算を手がかりに買われ、投資家心理を支えました。結局、NYDowは4日続落し、NASDAQは反発しました。
10月25日の日本市場では、前日の米株式相場でNYDowが下落したことや、外国為替市場で円相場が円高ドル安に振れたことが投資家心理の重石となり、株売りをさそいました。また、衆院選の投開票を27日に控え、持ち高調整の売りも出ました。衆院選後も主要企業の決算発表や重要な経済指標の発表が相次ぐとあって、買い手控えムードが支配的でした。日経平均は反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-3.5%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-0.9%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-9.7ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が3680円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-7.6ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2880円ほど割安であることを示しています。
日経VIは32.14と前日より上昇し、VIXは19.08と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として大きく上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.6、米国+0.0と日本が5.6ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.73ポイント(日経平均換算で99140円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.0%増で、改定値の3.0%増から変わりませんでした。また、4~6月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
9月の小売売上高、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月の消費者物価指数、9月のISM非製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、8月の耐久財受注は市場予想と一致しました。一方、9月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月のISM製造業景況指数、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、8月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.4万人増で、市場予想の15.0万人増を大幅に上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
9月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、9月の中古住宅販売件数、8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+5.9%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは9月のFOMCで0.5%の大幅利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.28、PBRが1.34となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.8%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.1%で、こちらは3か月前より0.9ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-4.3%となり、日経平均の割安幅は1990円から1730円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-2500円~-1270円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.26ポイントから3.23ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。
10月25日の米国市場では、9月の耐久財受注のほか、エーオン、コルゲート・パルモリブ、HCAホールディングス、センティーンなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを610円ほど下回り、下値は想定ラインを80円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+200円(現在38130円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ(現在37220円近辺)が下値の目安になりそうです。
日経VIは、依然として高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、やや弱まりました。日経平均は反落しました。週明けは、選挙結果を受けて政局の不透明感が解消されるか、あるいは強まるかどうかで、上下どちらかに大きく動くことになりそうです。
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