[市況]
10月14日、NYDowとNASDAQは上昇しました。10月15日の日経平均先物は、前日比470円高で寄り付くと、午前中は310円高から630円高と上昇幅を拡げ、午後は590円高から240円高と上昇幅を縮めて、結局、240円高で取引を終えました。日経平均の終値は304円高の39910円で、出来高は18.57億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。
10月14日の米国市場では、米景気の先行きに対する楽観的な見方が広がるなか、FRBのウォラー理事が利下げ路線を支持する発言をしたことや、主要企業の決算発表に対する期待が追い風となり、ハイテク株やディフェンシブ株を中心に買いが優勢となりました。NYDowは続伸し、連日で過去最高値を更新しました。NASDAQも続伸し、およそ3か月ぶりの高値で終えました。
10月15日の日本市場では、連休中の米株高や外国為替市場の円安ドル高進行が好感され、運用リスクをとる動きが優勢となりました。また、米エヌビディアの活況を受けて半導体関連株に買いが集まりました。ただ、日経平均が節目の4万円を上回ったことによって短期的な過熱感も意識され、戻り待ちの売りや利益確定の売りが上値を抑えました。日経平均は4日続伸しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+14.3%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+4.9%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-5.3ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2120円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-4.1ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1640円ほど割安であることを示しています。
日経VIは27.14と前日より低下し、VIXも19.70と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として大きく上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.3、米国-0.1と日本が5.2ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.32ポイント(日経平均換算で87540円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.0%増で、改定値の3.0%増から変わりませんでした。また、4~6月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
9月の消費者物価指数、9月のISM非製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の鉱工業生産指数、8月の小売売上高、9月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、8月の耐久財受注は市場予想と一致しました。一方、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月のISM製造業景況指数、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は9勝3負で、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.4万人増で、市場予想の15.0万人増を大幅に上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
8月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+5.9%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは9月のFOMCで0.5%の大幅利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、9月26日 4.8652% → 9月27日 4.8549% → 9月30日 4.8537%と、ここ5年の最高値圏からピークアウトしています。なお、2021年9月9日の0.1141%が直近の最低金利で、2023年10月10日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.89、PBRが1.39となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.8%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.1%で、こちらは3か月前より1.3ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.1%となり、日経平均60円の割高から430円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-430円~+110円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.13ポイントから3.14ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安基調ですが、日中は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。
米国では、経済のハードランディングを避けるべく、0.5%の利下げが決まりました。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げを継続しています。
10月11日の米国市場では、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数のほか、J&J、シティグループ、ユナイテッドヘルス・グループ、ゴールドマン・サックス、PNCファイナンシャル、プログレッシブ、ステート・ストリート、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、バンク・オブ・アメリカなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを140円ほど上回り、下値は想定ラインを790円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-200円(現在40320円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在39120円近辺)が下値の目安になりそうです。
日経VIは、依然として高水準にありますが、前日比で低下しました。また、信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。日経平均は4日続伸し、取引時間中に心理的節目の4万円を上回りました。ボリンジャーバンドの幅も拡大傾向にあり、上昇基調はまだしばらく続きそうです。
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