[市況]
10月21日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。10月22日の日経平均先物は、前日比30円高で寄り付くと、午前中は40円高から820円安と下落に転じ、午後は650円安から460円安の間でもみあって、結局、590円安で取引を終えました。日経平均の終値は542円安の38411円で、出来高は16.85億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅をやや縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を4日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は強まりました。
10月21日の米国市場では、連日の株価上昇の反動で、アメリカン・エキスプレスやホーム・デポなど主力株の一角に利益確定の売りが出ました。長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が強まったことも重石となりました。一方、エヌビディアやAMDなど半導体株の一角は買われました。結局、NYDowは4営業日ぶりに反落し、NASDAQは4日続伸しました。
10月22日の日本市場では、海外短期筋による株価指数先物への売りがかさみました。27日に迫る衆院選で与党が過半数割れする情勢との報道を受け、政治の先行き不透明感が意識されたほか、米大統領選で財政拡張的な政策を掲げるトランプ前大統領が勝利するとの思惑から、日米で長期金利が上昇していることも重石となりました。日経平均は続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線の下にあり、25日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。
総合乖離率は+0.8%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+0.6%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-9.3ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が3570円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-7.7ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2960円ほど割安であることを示しています。
日経VIは27.22と前日より低下し、VIXは18.37と前日より上昇しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を依然として大きく上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.5、米国+0.1と日本が5.6ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.71ポイント(日経平均換算で100940円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.0%増で、改定値の3.0%増から変わりませんでした。また、4~6月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
9月の小売売上高、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月の消費者物価指数、9月のISM非製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、8月の耐久財受注は市場予想と一致しました。一方、9月の鉱工業生産指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月のISM製造業景況指数、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、8月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.4万人増で、市場予想の15.0万人増を大幅に上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
9月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+5.9%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは9月のFOMCで0.5%の大幅利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.39、PBRが1.35となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.8%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.9%で、こちらは3か月前より0.7ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-4.7%となり、日経平均の割安幅は1270円から1860円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1860円~-780円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.13ポイントから3.25ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。
10月22日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。GE、GM、3M、TI、ムーディーズ、ベライゾン・コミュニケーションズ、レイセオン、ロッキード・マーチン、キンバリー・クラーク、フィリップモリスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを460円ほど下回り、下値は想定ラインを140円ほど下回りました。目先は、25日線+400円(現在38840円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+400円(現在37830円近辺)が下値の目安になりそうです。
日経VIは、依然として高水準にあります。また、信用の売り圧力は強まりました。日経平均は続落しました。衆院選後の政局の混乱が懸念されており、今週は調整が続く可能性が高そうです。
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