日経平均の予想: <20090903>日経平均の今後の見通し

Thursday, September 03, 2009

<20090903>日経平均の今後の見通し

[市況]
2日のNY DowとNASDAQが下落したことを受けて、3日の日経平均先物は、前日比60円安で寄り付き、前場に120円安まで売られましたが、後場寄付直後に10円安まで戻す場面もありました。その後は再び軟調に推移し、最終的に前日比110円安で終わりました。日経平均は65円安で引け、出来高は17.5億株と低水準でした。寄り付き前の外国人は210万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、”売り”が有利な状態です。

2日の米国市場では、アナリストが投資判断を引き下げたAIGが大幅安となったことがきっかけとなり、金融機関の財務不安が蒸し返されて金融株に売りが集まりました。午前に発表された8月のISM製造業景況感指数は50.0を2008年1月以来初めて上回ったことで発表直後は好感して買われる場面がありましたが、買い一巡後は見切り売りが広がりました。
3日の日本市場では、米市場安や円が一時91円台まで円高となり、輸出企業中心に売りが優勢となりました。後場寄付きに上海株の上昇から、日経平均も持ち直す場面もありましたが、長くは続かず、利益確定売りが優勢でした。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。一方、日経平均の総合乖離率は+15.4%となり、プラス幅が縮小しました。200日線との乖離率は+14.5%となり、プラス幅は縮小しました。一目均衡表では雲の上に在ります。3つともプラスですので、中期的トレンドは、青信号が点灯しています。ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)では200日線、75日線、25日線、一目均衡表の雲の上に在りますが、9日線の下に在ります。
NY Dowは200日線、75日線の上に在りますが、9日線、25日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。NASDAQは、200日線、75日線の上に在りますが、9日線、25日線の下に在ります。一目均衡では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、3.1ポイント割安にある状態となり、日米市場のテクニカル面の割安幅は拡大しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2009年の実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタルには、日本市場が0.3ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国・中国の実体経済の見通し」、「欧米の金融機関の損失拡大による金融危機再来」といった問題を主要なテーマにしているようです。1つめについては、米企業の4-6月決算は順調で、住宅関連指数はさらに底打ち感が顕著になってきました。4-6月期の米GDPや8月の景気指数も大幅に改善しています。一方、7月の雇用統計は改善しましたが、8月は改善度が小さいようです。消費関連経済指標は相変わらず景気の弱さを示しており、米国の設備投資の伸びなやみや中国当局の景気引き締め政策が足かせとなっています。2つめについては、ストレステストの結果発表により金融危機は短期的には遠のきましたが、不良資産が本当に減少しているか否かは時価会計基準が緩和されたこともあり、不透明です。しかし、主要金融機関の4-6月期業績は概ね順調で、FRBも当面低金利政策維持の方向です。しかし、米地銀の不良債権問題はくすぶっています。9月に入り、大手金融機関の不良債権問題も蒸し返しの兆しが少し見えてきました。引き続き、金融機関の決算での不良債権に注目する必要があります。
一方、中長期的に見ると、世界景気は底打ちの気配があるものの、前年からの落ち込み幅は大きく、輸出の低迷や雇用の減少傾向は世界的に続いています。2010年まで続くと言われる商業用不動産価格の下落や個人向けローンのこげつきから、金融機関の不良債権増加懸念は払しょく出来ず、個人消費や企業の資金調達への悪影響を与え続けます。新型インフルエンザの蔓延による欧米やアジア経済の停滞懸念もあります。先安感は今後も居座り続けるでしょう。引き続き、金融機関の株価の推移や経済指標などに留意することが肝要と思われます。
ちなみに、シティグループの株価は2日、上昇しました。(1月高値7.59ドルと3月安値1.02ドルに対し、現在4.56ドル)61.8%戻しを達成後下落しています。
一方、日経平均採用銘柄に関しては、予想PERは39.7となりました。PBRは1.31となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、NY Dowの下落に連動して下げました。結果、NY Dowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.1%(100円の割安高)となっており、日経平均のプレミアムはプラス幅を拡大しました。プレミアム値は、ここ1週間は、-90円~-+360円の間で推移しています。ここ数日の日経平均は、NY Dowと、ほぼ連動する動きとなっています。
日・米市場の短期トレンドは赤信号となりました。米国市場は悪材料に敏感になりつつあるようです。上海市場は堅調でしたが、日本市場にはあまり影響しませんでした。大幅下落した時だけ影響するようです。今夜の米国市場では8月のISM非製造業景況指数の発表がありますが、明日の雇用統計発表を控えていますので、影響は限定的と思われます。3日の米国市場は、揉み合いとなりそうです。引き続き、日経平均先物が10130円の節目を下回るか否かを注視したいと思います。下回れば、一段下げも考えなければならないようです。


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