日経平均の予想: [2022/06/13]今後の日経平均の見通し

Monday, June 13, 2022

[2022/06/13]今後の日経平均の見通し

[市況]

610日、NYDowNASDAQは大幅下落しました。613日の日経平均先物は、前日比650円安で寄付くと、午前中は630円安から900円安と下落幅を拡げ、午後は760円安から1010円安と下落幅を拡げて、結局1010円安で取引を終了しました。日経平均の終値は836円安の26987円で、出来高は12.19億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。

また、空売り比率は、5日平均を3日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強い状態です。

 

610日の米国市場では、5月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が市場予想を上回ったことから、インフレ再加速を受けてFRBが秋以降も積極的な利上げを進め、景気を冷やすとの見方が強まり、幅広い銘柄に売りが膨らみました。ミシガン大学が発表した6月の消費者態度指数が統計開始以来最低となったことも重石となりました。主要3指数はそろって大幅に続落しました。

613日の日本市場では、インフレ再加速への懸念を背景に前週末の米株式市場で主要3指数がそろって下落した流れが引き継がれ、幅広い銘柄に運用リスク回避の売りが膨らみました。外国為替市場では円相場が1ドル135円台前半まで下落しましたが、景気の先行きに対する懸念が勝り、輸出関連株の支えとはなりませんでした。米長期金利の上昇も重石となりました。日経平均は大幅に続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線を下回りました。短期トレンドは青信号から赤信号に変わりました。

総合乖離率は-3.1%とマイナスに転換し、200日線との乖離率は-3.4%と前週末よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+16.6ポイントと前週末よりプラス幅を縮め、日経平均が4480円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差も、+5.9ポイントと前週末よりプラス幅を縮め、日経平均が1590円ほど割高であることを示しています

 

日経VI25.79VIX27.75と、日米市場のボラティリティーは上昇しました。VIXは投資家の不安心理がかなり高まっているとされる25を上回っており、日経VI25を上回りました。NYDowと比較して、日経平均は強い状態が続いていますが、前週末より強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.5、米国-2.7と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.5、米国が+4.9)1.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.39ポイント(日経平均換算で21110円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.5%減で、速報値の1.4%減を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちでした。

 

経済指標を見てみます。

5月の消費者物価指数、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月の鉱工業生産指数は市場予想を上回りました。また、4月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、4月の耐久財受注、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立材料です

 

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比39.0万人増で、市場予想の31.8万人増を上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.6%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

4月の新築住宅販売件数数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+21.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが速まらないという面では強気材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに5回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、7月に0.25%利上げし、量的緩和策を終了させることを決定しました。日銀は、金融緩和政策を継続しています。2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では68 1.6877% 69 1.7212% 610 1.7447%と上昇中であり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%がここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.95PBR1.16となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+0.4%で、こちらは3か月前より28.1ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの下落と連動して、大幅に下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.7%となり、日経平均は60円の割高から470円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-470円から+60円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.80ポイントから2.91ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に下降トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

613日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、ウクライナ情勢や原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを780円ほど下回り、下値も想定ラインを460円ほど下回りました。目先は、25日線+300円(現在27340円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+200円(現在26580円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を3日連続で上回り、信用の売り圧力はかなり強い状態です。日経VIは、投資家の不安心理がかなり高まっているとされる25を上回りました。日経平均は、もう一段下げる可能性が高そうです。



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