Wednesday, July 19, 2017

[2017/07/19]今後の日経平均の見通し

[市況]
18日のNYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。19日の日経平均先物は、前日比20円安で寄り付くと、午前中は50円安から30円高と上昇に転じ、午後は30円高から20円安の間でもみあって、結局30円高で取引を終えました。日経平均の終値は20円高の20020で、出来高は16.41億株と比較的低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は130万株の買い越しでした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。

18日の米国市場では、四半期決算を発表したゴールドマン・サックスが売られました。また、オバマケアの代替法案が再び頓挫したことも投資家心理を冷やしました。NYDowが下落した一方、主力のIT株が買われたため、NASDAQは上昇し、最高値を更新しました。
19日の日本市場では、円相場が111円台後半まで上昇したことが嫌気され、売りが先行しました。売り一巡後は内需株を中心に買い戻される展開となりましたが、円高への警戒感は強く、上値は限定的でした。

 [テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあり、短期トレンドには赤信号が点灯しています。総合乖離率は+7.7%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+5.8%とプラス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と200日線の上にありますが、25日線の下にあります。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)+4.4ポイントとなり、中長期的には日本市場が880円ほど割安となっています(前日比0.3ポイント拡大)。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、今年6月に更新されたOECD2018年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ2.45ポイント(日経平均で10870円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ大統領選出の金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。

米国の1-3月期のGDP確定値1.4%となり、改定値の1.2%増から上方修正されました。1-3月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標では、6月のISM非製造業景況指数、6月のISM製造業景況指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、は市場予想を上回り、6月の鉱工業生産は予想と一致しましたが、7月のNY連銀製造業景気指数、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月の小売売上高、5月の製造業受注、5月の耐久財受注は予想を下回りました。65負で景気面ではやや強気材料ですが、利上げし易い点では弱気材料です。

6月の雇用統計は就業者数が前月比22.2万人増で、市場予測の17.9万人増を上回り、失業率は先月の4.3%から4.4%に上昇しました。景気面では強気材料ですが、利上げし易い点では弱気材料です。

一方、住宅関連では、5月の新築住宅販売件数、5月の中古住宅販売件数は予想を上回りましたが、7月の住宅市場指数、5月の中古住宅販売仮契約指数、5月の住宅着工件数は予想以下でした。また、4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.7%で、市場予想の+5.9%を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げがしにくくなるという面では強気材料です。

全世界的に、景気は持ち直しつつあるようです。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうですが、ここにきて先進国は大規模な財政出動容認に変わりつつあり、景気回復傾向ですが、長期金利は上昇傾向に変わる気配はまだ顕著ではありません。

このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持していますが、20174月から800億ユーロから600億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続し、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化するなどの金融緩和策が継続されています。

金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、0713 1.3036 0714 1.3036 0717 1.3061 となっています。20155月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、20155月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を大きく上回っていますので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準が続いています。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、約一年間上昇が続いています。ここ5年の最高金利は20170717日の1.3061%です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.4PBR1.29となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、3か月前より1.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+8.5%で、3か月前より2.9ポイント改善しています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.7%となり、日経平均の割安幅は250円から150円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-320円 から-150円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドルベースでは米国市場より弱い動きとなっていますが、今日は弱い動きが減速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタル面ではかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。長期金利差は2.24ポイントから2.21ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。直近の米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。

テクニカル面では、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利が、ここ5年来の最高値を更新して上昇しています。金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国市場では、目先の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断して、追加利上げが予想されます。対ドルで円安要因です。ただ、目先の長期金利は低下傾向が続いています。
一方、欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されています。

このような相場環境の中、19日の米国市場では、6月の住宅着工件数や、USバンコープ、クアルコム、アメリカン・エキスプレス、モルガン・スタンレーなどの四半期決算が注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを140円ほど下回り、下値は想定ラインを80円ほど上回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ (現在20170円近辺)、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在19870円近辺)と想定されます。



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